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6月, 2024の投稿を表示しています

国際社会でウィンウィンの関係を構築できない未熟な中国外交。

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< 「地球温暖化を最も恐れているのは中国国民」と欧州機関の意識調査で明らかに...その3つの理由とは?  <国民が温暖化に高い関心を示す理由の一つには、実際にその被害に遭いやすいことが挙げられる> ・欧州投資銀行が行った意識調査によると、「生活を最も脅かす原因」として地球温暖化をあげた回答者は中国で73%にのぼり、アメリカやEUと比べても高い水準だった。 ・温暖化への警戒とその対策を重視する傾向が中国で強い大きな背景としては、実際にその被害に遭いやすいことが考えられる。 ・ただし、それに加えて、温暖化対策を進めることが共産党公認のスローガンであること、そして環境対策が経済成長につながることへの期待があることも無視できない。 温暖化をめぐる中国世論  欧州投資銀行は昨年、アメリカ、EU、中国で行った、地球環境問題に関する意識調査の結果を発表した。  それによると「生活を最も脅かすのは」という質問に対して、 “地球温暖化” と回答した割合が中国では73%にのぼり、アメリカ(39%)やヨーロッパ(47%)を上回った。  ちなみにそれ以外には “失業” 、 “健康と医療サービス” などの選択肢があったが、中国ではこのうち “温暖化” が他の二つ(それぞれ47%、33%)を上回った。  ヨーロッパでも “温暖化” が他の二つ(どちらも39%)を上回ったが、その差は8ポイントにとどまった。これに対して、中国のそれは20ポイント以上だった。  この結果を踏まえて欧州投資銀行は「地球温暖化を最も恐れているのは中国人」と結論した。この調査結果に違和感を感じる人もあるかもしれない。  スウェーデンの環境保護活動家グレタ・トゥンベリ氏は2021年、中国がいまや世界最大のCO2排出国になったのに環境対策が進んでいないと批判し、「相変わらず開発途上国」と評した。とすると、この意識調査の結果とは矛盾があるようにもみえる。しかし、政策レベルでの進展と国民レベルの意識は、本来別のものだ。中国の一般世論が温暖化に高い関心を示すことには、大きく3つの理由が考えられる。 実際に悪影響が出ているから  第一に、中国で地球温暖化の悪影響が広がっていることだ。  異常な熱波、干ばつ、大雨、洪水など、地球温暖化の影響とみられる異常気象や災害は世界各地で増えていて、それに比例して人的被害はもちろん、建造物やインフ

インバウンド規制を行え。

< 京都・祇園祭で富裕層インバウンド客向け特等席でひと悶着  日本三大祭りのひとつ京都・祇園祭のあり方を巡って、地元でひと悶着が起きている。京都市観光協会は昨年より、高額な「プレミアム観覧席」の販売を開始した。今年も同様の席を設けようとしたところ、八坂神社の宮司が「祇園祭はショーではない」として猛反発したのだ。  京都は空前のインバウンド需要が続く。市は、祭りを維持するために富裕層を取り込みたい意向を示しているが、寺社の思惑とは必ずしも一致していない。観光イベントと宗教行事はどう折り合いをつけていくべきか。  祇園祭は例年、7月の古都でひと月間にわたって開催される盛大な祭りである。「コンチキチン」の祇園囃子の音色と、豪華絢爛の山鉾が繰り出されるさまは、実に壮観だ。東京の神田祭、大阪の天神祭と並び、日本三大祭の一角をなす。また、葵祭、時代祭とあわせて京都三大祭としても知られている。  祇園祭のはじまりは869(貞観11)年まで遡る。京都に疫病が流行し、人々は祇園精舎の守護神・牛頭天王ごずてんのうの祟りだと畏れた。そして、現在の二条城の南側にある真言宗寺院「神泉苑」に当時の国の数である66の鉾を立てて「露払い」とし、祇園社(明治期に八坂神社として再編)の神輿を迎えたのが始まりとされている。祇園祭は神仏習合の祭りなのだ。  戦後の高度成長期には、観光促進と交通渋滞緩和のために、期間が縮小。本来の祇園祭の姿である前祭さきまつりと後祭あとまつりを合同にして、17日に祭りのハイライトである山鉾巡行がまとめて実施されていた。ことわざの「後の祭り」とは、「もはや手遅れ」という意味で使用されるが、祇園祭の後祭が語源とも言われている。  2014(平成26)年からは、前祭・後祭の両方が、49年ぶりに復活した。かれこれ半世紀が経過し、このままでは祭り本来の姿が永遠に失われてしまうという危機感などから、元の前祭・後祭のかたちに戻そうということになったのだ。  コロナ禍では3年連続で山鉾巡行は中止に。長期間、祭りが中断すると、資金や技術の継承などが行き詰まってしまう。コロナ禍が開けた後の祇園祭はインバウンド急増の後押しもあって、大いに盛り上がっている。昨夏は82万人もの集客があった。今年はさらに増えることが予想される。  京都市観光協会は祇園祭の保全・継承のための収益源確保などを目的にして昨

国交省が仕立て上げた「型式認定不正」。

< 「校則違反」で締め上げる  よくありがちなのは、「目的」と「手段」を取り違えることである。そして、それは国土交通省やオールドメディアなどが騒ぎ立てる「認証不正問題」にも起こっている。「型式認証」の「目的」は、国民に「安心・安全」を提供するためのものである。だから、国民にとって「(真に)危険」なものを排除しなければならない。  また、国土交通省は、国民の信託を受けた政府の機関として自動車業界だけでは無く、日本の産業を発展させ、国民がより豊かな生活を享受できるようサポートする責務も負っている。  ところが、現在の国土交通省は、これらの目的の「手段」である「認証」そのものを「目的」にしてしまっている。「認証」を行うべき「目的」を見失って、ただ(目的を示さずに)「お前は認証違反だ!」と詰め寄っているのだ。  そもそも、日本には形骸化してしまい意味を失った「規則」が多数存在する。「元々意味がない『規則』」も同様だ。6月15日公開「なぜ日本企業から『大物経営者』が出なくなったのか…この国をダメにした『4つの原因』」は、実は民間企業だけの問題ではない。 「4つの原因」の中でも、特に2019年8月10日公開「日本の企業と社会を破滅させる『過剰コンプライアンス』のヤバイ正体」で述べた、「社内ゲシュタポ」と呼ばれるような組織による「締め付け」が企業の活力を奪っている。  国土交通省を始めとする官僚・役人も「過剰認証」によって、自動車産業に代表されるような「日本を支える重要産業」を弱らせているのだ。  戦後の復興期には、官僚・役人の中にも「日本を発展させようという大志」を持った人物が存在した。これは、前記「なぜ日本企業から『大物経営者』が出なくなったのか…この国をダメにした『4つの原因』」で述べたように、政治家や民間企業経営者にも共通した現象である。  だが、大変残念なことに、現在の国土交通省を始めとする官僚・役人は、前述の「社内ゲシュタポ」に準じるような、(自らの保身のための)「重箱の隅つつき」に熱中する人々が中心のように思える。  そして、最悪なのは「政治問題化」しやすい外国の製品については見て見ぬふりをするのに、行政に対して弱い立場にある国内メーカーの製品だけを締めあげることだ。 「小物」化した官僚・役人は、自分の地位さえ守られればよいのだろうが、その行為によって日本の産業は大

IMFが米国の財政批判しているが、IMFの財政規律論に騙されるな。

< IMFが異例の米国批判-過大な財政赤字や債務、通商政策巡り ◎公的債務のGDP比は持続的に上昇傾向、反転させることが急務 ◎貿易制限の継続的拡大などは重大な下振れリスク-年次経済審査  国際通貨基金(IMF)は27日、米国が大き過ぎる財政赤字を抱え、過大な債務に圧迫されていると指摘し、攻撃性を強める通商政策による危険性もあると警告した。  IMFは米国について「強固でダイナミックかつ適応力がある」と評価した一方で、最大の出資国に対して異例の厳しい批判を行った。また、今年の米経済成長率見通しを2.6%と、4月時点の予想から0.1ポイント下方修正した。  米経済に関する年次審査の要旨は「財政赤字が大き過ぎて、公的債務の国内総生産(GDP)比が持続的に上昇傾向にある」と指摘。「貿易制限の継続的拡大と、2023年の銀行破綻で露呈した脆弱(ぜいじゃく)性への対処が十分に進展していないことは、いずれも重大な下振れリスクをもたらしている」と分析した。  超党派の米議会予算局(CBO)は今月、2024会計年度(23年10月-24年9月)の米財政赤字予測を27%引き上げて約1兆9200億ドル(約310兆円)とした。  GDPに占める米財政赤字の割合は24年度に6.7%と拡大が見込まれる。2月時点では5.3%が予想されていた。一方、欧州連合(EU)は財政赤字を3%以下に抑えることを指針としている。CBOによれば、米国は過去50年間の平均が3.7%だった。  IMFは「公的債務のGDP比上昇が続いている状況を反転させることが急務だ」とし、「こうした慢性的な財政赤字は、重大かつ持続的な政策の不均衡を反映しており、早急に対処する必要がある」と指摘した>(以上「Bloomberg」より引用)  米国は第二次世界大戦後からほぼ毎年、財政赤字を計上しているのは引用記事が指摘する通りだ。ことに近年ではその規模が拡大していて、2023会計年度(2022年10月~2023年9月)の財政赤字は、GDP比5.8%、約1兆6840億ドルに達し、これは第二次世界大戦直後以来の高水準だ。  IMFはそのことを問題視していて「異例の米国批判」をし、Bloombergが記事として取り上げた。しかしIMFが「国際通貨基金」としての立場を超えて、米国の財政を批判するとは穏やかでない。  確かに米国政府の財政赤字は米国

暴走族と化す中国の若者たち。

< 滁河(じょが)の水質汚染に対して無責任な幹部 「緑の水と青い山こそは、金山であり銀山だ」――習近平主席の「金句」(模範とする常套句)の一つである。中国政府系のマスコミは、この「金句」を頻繁に宣伝し、習近平主席が環境保護を重視するシンボル的なキーワードとなっている。  5月28日に、中国中央テレビ(CCTV)が、あるVTRを公表した。安徽(あんき)省を流れる滁河(じょが)の水質汚染がひどく、異常な臭いが発生し、川魚などが死んだという。  中央テレビの取材に、地元の幹部の発言は信じられないほど無責任で、環境保護への無責任さが垣間見られた。安徽省滁州(じょしゅう)市全椒(ぜんしょう)県(注:中国で「県」は「市」の下属自治体)の生態環境分局の竇平(どく・へい)局長は、記者の質問にこう答えたのだ。 「(川魚などが死んでも)水質の毒性を分析する必要はない。茅台(マオタイ)酒(高級白酒)を飲んで死ぬ人もいる。茅台酒を毒性分析するか?」  このあまりにも無責任な発言に、人々は不満を爆発させた。 「これが環境管理部門の幹部なのか」 「環境分局はもはや必要がない」 「お前たちたちだけが浄化された水を飲んでいるのだろう」……。 SNS上で批判が相次ぐ  中国版「X」のWeibo(微博)を始め、SNS上で議論が沸騰し、批判が相次いだ。中国メディアも一斉に、批判した。 「幹部が茅台酒を汚水と比較し、根拠のない言葉を発したのは責任逃れだ」(『中国青年報』)「茅台酒を飲んで死んだ人がいるというたとえは、何ともおかしな態度だ」(『南方網』) 「茅台酒をたとえとしたことで、県は信頼を損なった」(「紅星新聞」)  この重大な汚染水の一件は、5月7日に始まった。その日、県所属の「富信石油助剤有限公司」の原料倉庫で火事があった。そこから化学原料が、河川に漏れたのだ。  汚染源となった化学物質の一部は回収できたが、5月11日に雨が降った。回収しきれなかった汚染物が、雨でダムなどに流れ、近くを流れる襄河(じょうが)を汚染した。  5月22日、全椒県政府(県庁)は、生活用水を確保するため、長江から水を汲み上げると同時に、汚染された襄河の水門を開放した。すると汚染物が滁河に流れ、川魚などが死んだ。 環境保護の実態はほとんど報じない中国のテレビ  県政府は、一応調査チームを設け、関係する幹部数人が免職となった。

野生動物の生息数の把握を急げ。

<TRAFFIC(トラフィック)は、野生生物の取引を調査・モニターするNGOです。  WWF(世界自然保護基金)とIUCN(国際自然保護連合)の共同事業として設立され、世界10地域の拠点を中心に世界中に広がるネットワークを通じて活動しています。  そのミッションは、国内法および国際法や協定に基づき、 調査・モニター・報告・政策提言を通じて、特に動植物にとって有害な取引をなくすことです。  日本においては、WWFジャパンの中に拠点を置き野生生物保全部門の一端を担い、共に協力しながら活動しています。 <ニュースで見るけど、最近どうしてクマは人間のいるそばに出てくるの?> ■予想される出没理由その1《異常気象や台風、害虫などの影響でその年の食べ物が不作だったから》  ツキノワグマの主食であるブナやミズナラの実(ドングリ)が不作になると、冬眠を前にして、食べ物に困ったクマ、とくに山でじゅうぶんに食べ物をとることがまだ上手でない若グマや行動的なオスグマが人里に降りてきてしまうことが多いといわれます。ちなみに今回実際に捕獲されたクマは、8割程度が成獣で、若い個体は少なかった。 ■予想される出没理由その2《近年、里山の荒廃により、クマとヒトの生活圏が隣り合わせになりつつあるから》  里山とは、山村の集落や田畑周辺の山林のことで、かつては薪をとるためなどに利用していた場所。下草刈りや木の間伐など適度に人の手によって管理されていたので、見通しがよく、基本的に臆病なクマはわざわざ危険を冒してまで、里山には入ってこなかった。このようにクマとヒトのすむ場所のちょうど中間に位置していた里山が、お互いの緩衝地帯になっていたため、クマは里山を越えてまでヒトのすむエリアに近寄らなかった。けれども、近年、山村の高齢化や、薪の需要がなくなったことなどから、里山を従来のように管理する人間がいなくなり、荒廃。人里ぎりぎりまでうっそうとした森でひと続きになってしまったので、すぐそばまでやってくるようになり……すると民家のカキや、トウモロコシ畑、養蜂家の育てている蜂蜜箱など、クマが簡単に採れる、おいしい食べ物がひとところに集まっていることを知ってしまった。 ■予想される出没理由その3《ヒトもクマのエリアに容易に入るようになったから》  基本的に、天然の広葉樹林は、開発などにより全体的に減少していた

中国民の不満が外国人へ向けられ、外国人殺傷事件が起きている。これも歴史で見て来た繰り返しだ。

<中国の江蘇州蘇州市で、24日、中国人とみられる男が、バス停にいた日本人の男の子とその母親、さらに中国人女性を刃物で襲う事件があった。中国人女性は、日本人親子をかばったとみられていて、病院に運ばれたが、意識不明の重体。  25日午後、蘇州市の警察当局は、今回の襲撃事件で52才の男を現行犯逮捕していたと発表した。男は無職で、最近蘇州に来たばかりだという。 白昼の街中で3人が襲われるという衝撃の事件だが、現場周辺の中国人に話を聞くと、「(きのうの事件は?)知らない。(ニュースは?)見たことない」「(きのうの事件は?)知らない、聞いてもいない」などと答えた。 実はこの事件、現地では一切報じられていないのだ。一体、どのような理由があるのか。 中国・蘇州市で日本人の親子が“刃物男”に襲われる  中国の蘇州市で24日、日本人学校のバスを待っていた日本人の親子が、中国人とみられる男に刃物で襲われる事件が起きた。また男は、日本人親子2人をかばったとみられる中国人の女性従業員も刺した。 襲われた男の子は入院して治療を受けているものの、母親と共に命に別条はないという。しかし、従業員の中国人女性は重体となっている。 事件を受け、蘇州の日本人学校は25日、臨時休校になった。 近くに住む日本人は、「日本人が多く住んでいて、比較的治安がいいところだと思っていたが、ちょっと心配」などと話した。 3人を襲った男は、警察に身柄を確保された。 当局による“情報統制”?専門家「対外的に危ないというイメージを嫌がる」  しかし、今回の事件について中国のSNSで検索をしてみると、日本や海外メディアの記事は確認することができるが、中国の主要メディアでは記事を確認することができない。 当局による情報統制が行われているとみられ、3人を襲った男の動機などが明らかになるのか不明だ。 現場近くに住む日本人男性は、「(事件について)下手に中国版のSNSで発信すると、やはりその部分でいろいろ生活に支障が出てくる恐れがあるので、日本人と直接会ったときじゃないと話しづらいなというところはすごく感じる」と話す。   中国では、2週間前にもアメリカ人の大学教員4人らが、55歳の中国人に刃物で刺される事件が起きたばかりだ。この事件も発生当初、中国当局は情報を出していなかった。   神田外語大学・興梠一郎教授は、「対外的には、中国が危

万博会場はメタンガス発生源だった。

<大阪・関西万博の会場予定地の夢洲で、これまでに少なくとも76回、安全に支障をきたす濃度のメタンガスが発生していたことが明らかになりました。  今年3月、大阪・関西万博の会場内の東トイレで、溶接作業中の火花がメタンガスなどの可燃ガスに引火して爆発し、コンクリートの床が壊れるなどしました。  これについて、万博協会は24日、会見を開き、事故が起きた東トイレ棟では作業を行うことが不可能なメタンガスの値を、これまでに少なくとも76回検知していたと明らかにしました。また、これまで、そのほかのエリアでは基準値を超える値は検知されていないと説明してきましたが、パビリオンが立ち並ぶエリアでも検知されていたと発表しました。 メタンガスの対策について万博協会はー。  日本国際博覧会協会 藁田博行 整備局長  「(工事期間中)ガスの測定濃度を月に1回公表、会期中についても『きょうのメタン濃度』みたいな感じで、毎日、人を入れる前にお知らせしようかな」  協会側は「継続的な測定調査と換気を行えば、リスクはない」とし、会場の安全性に対して理解を求めました>(以上「YTVニュース」より引用) 「 万博会場「メタンガス」基準値超え76回検知 安全に支障きたす濃度 パビリオンが立ち並ぶエリアでも 」とは驚く。今年3月にAトイレ地下ピットがメタンガス爆発したが、それ以後万博協会は「問題ない」としてきた。  しかし実際にはAトイレでは76回も「ただちに避難すべき濃度」のメタンガス発生を76回も検知していたという。それを発表して来なかったことも問題だが、他の地点でもメタンガスが発生していたことも明らかになった。  そもそも夢洲はゴミ捨て場だった。夢洲はの地下には生ゴミが大量に廃棄され、その上に万博会場が整備されている。だからメタンガスが発生することは万博会場として整備する以前から十分に想定されていた。  今後ともメタンガスは発生する。それを根絶することは不可能だ。協会側は「継続的な測定調査と換気を行えば、リスクはない」と安全を強調しているというが、安全だとする根拠は何もない。たとえば地下から発生するメタンガスを万博会場外へ導く地下換気装置を埋設した、というのなら装置が稼働している限り「安全」だと宣言できるだろう。  しかし万博協会はそうした基礎的な安全装置を夢洲の地下に設置したという話は全く聞かない。た

EV技術はヒトの命を託すには未熟な技術だ。

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< ブルガリアは石炭火力発電を2038年まで延長  脱炭素化に向かって邁進する欧州連合(EU)は、温室効果ガスを多く排出するとして、石炭火力発電の廃止を声高に主張している。  そのEUで、石炭火力発電の延命を模索する国が出てきた。それは南東欧の小国、ブルガリアである。同国の人口は700万足らず、一人当たりの所得水準も11400ユーロ(180万円)程度と、EUの最貧国の1つだ。  南東欧諸国のニュースサイトであるSeeNewsなどが報じたところによれば、ブルガリアのニコライ・デンコフ首相が率いる連立政権は、国内の石炭火力発電所の運転期間を2038年まで延長すると決定した模様だ。従来、ブルガリア政府は2038年までに石炭火力発電を段階的に廃止する方針だったが、それを撤回したことになる。  さらにデンコフ政権は、石炭火力発電の廃止の期限を明示せず、2038年以降もその利用を継続する余地を残した。ブルガリア政府は9月28日、鉱業地帯などの脱炭素化を支援するために設けられた「公正な移行基金」から資金の配分を受けるための計画書をEUに対して提出したが、そこにも廃止の期限は明記されなかったようだ。 脱炭素を推し進めるEUは容認できるのか  注目されるのがEUの対応である。EUの執行部局である欧州委員会が年内にブルガリアの計画を承認すれば、ブルガリアは「公正な移行基金」から、対象となっている国内の3州の脱炭素化を促すための資金を得ることができる。  それ以上に注目されるのが、ブルガリアによる脱炭素化戦略の修正を、欧州委員会が容認するかどうかという点だ。  EUは英国とともに、脱炭素化の旗手として石炭火力発電の早期廃止を世界に呼び掛けた経緯がある。石炭火力は依然として重要な電源である途上国にも、EUはその早期廃止を国際公約にさせようとした。  にもかかわらず、そのEUの構成国であるブルガリアが石炭火力の早期廃止目標を後退させることを、欧州委員会が容認できるのだろうか。 労働者の反発を無視できないデンコフ政権  ブルガリア政府が石炭火力の延長に踏み切った最大の理由は、石炭火力の廃止で失業する労働者の反発を受けたためである。  そもそもブルガリア政府は、3つの炭鉱と石炭火力発電所の閉鎖で失業する労働者に対して最大15万レバ(約1200万円)の給付金を支給するとともに、産業転換のための国有

終身雇用制度は「古い」人事制度なのか。

< 人事制度そのものを一変させよ  従業員の向上心を引き出すためには、成果と能力をきちんと評価することもポイントとなる。それには、人事制度そのものを見直し、年功序列をやめることである。  そもそも年功序列や終身雇用という日本特有の労働慣行は人口減少社会では成り立たない。年功序列は定年などで退職する従業員数と同規模か上回る規模の新入の従業員がいてこそ可能だが、若年人口ほど減っていくので今後はこうした世代循環はスムーズにいかなくなる。  中途採用を含めた新規採用者で退職者数を穴埋めできなければ、組織の規模は徐々に縮小していく。その時点で「戦略的に縮む」方向へと経営モデルを切り替えればいいのだが、多くの企業は目の前の人手不足に対処すべく定年延長や再雇用による辻褄合わせに走る。これでは、会社内で若い社員ほど少ない「少子高齢化」状況を企業内に作り出しているようなものだ。  しかも、日本では家族的な組織文化を大切に守っている企業も多い。定年延長になった60代前半の従業員のポストをそのままにしたり、再雇用者の賃金を大胆に抑制することを憚ったりする雰囲気が残っている。  こうした取り組みは年配者のモチベーション維持には一定の効果を上げるが、一方で20代~30代の若い従業員の閉塞感を高める。これまで以上にポスト待ちが長くなり、なかなか昇進できなくなるためだ。どの企業も総人件費を簡単には増やせないので、年功序列と定年延長がセットとなると必然的にすべての年代も賃金を抑え込まなければならなくなる。これでは若い従業員の意欲は減退する一方だ。生産性向上が望めなくなるどころか、転職者が増えるだろう。 年功序列・終身雇用の終焉  そうでなくとも、国内マーケットの縮小は産業の再編を促す。激変の時代というのは新たなニーズが生まれやすく、企業同士の合併や連携の動きが強まりやすいからだ。企業は戦略的に縮みながら成長分野へとシフトさせていかざるを得なくなるので、若者のみならず中高年にも雇用流動化が起きて終身雇用は終わりを迎える。  入社年次をことさら重視する年功序列は、勤続年数や年齢が高くなればなるほどスキルやノウハウ、経験が蓄積されることを前提としているが、そうした"常識"は崩壊する。従業員1人あたりの労働生産性を向上させるために個々のスキルアップが求められるようになるのだから、当然の

日本の真面目な国民性が世界的な半導体投資を呼び込んだ。

< 半導体大手・エヌビディアが時価総額で世界首位に  足許、国内で半導体の工場、データセンターの建設ペースが加速している。わが国経済を概括すると、個人消費の伸び悩み・自動車の認証不正問題などの悪材料と、半導体とAI向けデータセンターの“建設ラッシュ”の好材料が混在する状況だ。ただ、半導体・データセンターの建設ラッシュは今後も続くとみられ、長い目で見てわが国経済の下支えになるはずだ。  半導体工場の建設増加は、世界的なAI分野の成長加速によるところが大きい。その証拠に18日、米エヌビディアの時価総額は3兆3400億ドル(約527兆円)に達し、マイクロソフトを抜いて世界最大の企業となった。  AIチップの需要は旺盛で、当面、供給は需要に追いつきそうもない。それに伴い、AIチップ開発に参入する企業も増えた。そうした状況下、世界の有力半導体企業は半導体部材メーカーが集積するわが国を重視し始めており、これからも半導体工場の建設ラッシュが続くとみられる。 台湾は九州に“大規模産業都市”を構想か  AIの成長には、データセンターの機能が欠かせない。データセンターは、AIの成長に必要不可欠の要素だ。高性能のAIチップを搭載したデータセンターの導入で、トレーニングの成果も高まる。自国民のデータ(住所、職業、性別など)の安全な管理のためにも、大型のデータセンターの必要性は高まる。  今後、AIチップの供給力、データセンターの増加は、経済安全保障により多くの影響を与える。企業は収益源の拡充をめざして、半導体・AI分野で設備投資を増やすことになるだろう。政府は政策面からその動きを支援し、本格的な景気の回復につなげることが重要だ。  AIの加速度的な成長で、世界的な産業構造は急速に変化している。足許、わが国でも、半導体工場やデータセンターの建設ラッシュが起きている。  5月下旬、台湾の郭智輝経済部長(経済相)は九州に、より大規模な産業都市を整備したいとの考えを示した。現在、TSMCは台湾の“新竹科学園区(サイエンスパーク)”で、回路線幅3ナノ(ナノは10億分の1)メートルの最先端AIチップなどを製造している。 三菱電機、ローム、キオクシア…続々と工場建設進む  一方、台湾で半導体人材は不足している。中国からの圧力や地震など災害の懸念もある。水や電力の不足も発生した。課題の克服、より効率的な事

核戦争を想定するのは現実的でない。

< 沖縄県会議員選挙で見られた異変  沖縄県議会は、選挙前には、与野党とも24議席で拮抗していたが、選挙の結果、野党の自民党、中立的な立場を表明する公明党や日本維新の会などが28議席と増え、玉城与党は20議席と少数派となった。  今後は、玉城知事は厳しい議会運営を迫られることになる。投票率は45.26%と過去最低であった。  何がこのような結果をもたらしたのか?  第一の理由は、経済情勢の悪化で、物価高など生活が苦しくなったことである。米軍基地問題も重要だが、それよりも目先の生活が大事だという切実な認識を持つ有権者が増えたのである。  沖縄県は、子どもの貧困率が全国平均の2倍であり、この問題も大きな争点となった。中学生の学校給食無償化について、県と市町村の間で費用分担を巡ってもめている。この問題は、沖縄の経済状況を示す象徴的な問題である。  第二の理由は、ウクライナ戦争、北朝鮮の核ミサイル開発や台湾有事である。ロシアがウクライナに軍事侵攻したことは、日本もウクライナと同様な事態に直面するかもしれないという危機感を日本国民に与えている。沖縄県も例外ではない。  そのアジア太平洋地域の戦略的に重要な位置にあるという地理的条件は、普天間基地の辺野古沖移転も現実的な解決策として受け入れざるを得ないという認識が広まっている。鳩山由紀夫元首相の「米軍基地は最低でも県外」というようなユートピア的な発想を否定する現実が進行している。  辺野古移転についての代執行訴訟で、昨年12月に国が勝訴し、辺野古移設反対を最大のスローガンとする玉城知事には、もはや移設工事を止める手段がなくなった。今回の県議選での大敗は玉城知事の求心力低下を示すものである。  何よりも台湾と目と鼻の先にある沖縄県そのものを外敵の侵入から守るために、自衛隊や米軍の存在が不可欠となっている。  陸上自衛隊は、2016年に与那国駐屯地、2019年には宮古島駐屯地、2023年には石垣駐屯地を開設している。宮古島と石垣島には地対艦、地対空のミサイル部隊が配備され、与那国にも電子戦部隊とミサイル部隊が追加配備される。  今回の県議選で、辺野古のある名護市(2議席)では、自民党の比嘉忍候補が10,447票(52.1%)で1位、玉城与党の山里将雄候補が8,510票(42.4%)で2位の当選であった。  宮古島市(2議席)では、野

円安で1980年代のように経済成長しないワケは。

< 円安によって多くの日本人は再び豊かになる  4月末~5月初旬に通貨当局(政府・日銀)が約10兆円規模の大規模な円買い介入を実施してから1カ月余が経過した。ドル円は5月に入って一時1ドル=151円台まで円安修正が進んだものの、現在は1ドル=150円台半ばから後半で推移している。   1985年以来の円安水準となる1ドル=160円に近づく中での当局の対応をうけて、「円安が行きすぎている」という認識がさらに強まった。「通貨安=日本衰退の象徴」との思いなどから、「円安が大きな問題なのだから、円安が止まらなければ、経済状況が悪くなる」との考えを抱く人が多いようである。 ■円安は対外的な価格競争力を強めている   だが、実際には、アメリカの金利上昇や金利の高止まり期待によって続いている円安は、「行きすぎている」とは言えないだろう。筆者は「円安は問題である」との議論に対して、強い違和感を覚えている。   2022年から円安に拍車がかかり、それが長引いていることは、日本経済の成長率を高めて2%インフレの定着をもたらす。大幅な通貨安は、完全雇用には至っていない日本経済にとっては望ましく、将来にわたって日本人の生活を豊かにする可能性が高いと考えている。  2024年の1ドル=150円台での推移は、IMF(国際通貨基金)が算出するドル円の購買力平価(1ドル=約90円)からみると、40%以上も割安である。   確かに輸入企業などからみれば円の購買力が40%目減りしているが、同時に、日本企業が供給する製品やサービスが40%以上割安であり、価格競争力が高まっていることになる。大幅な円安が日本の企業利益を過去最高水準に押し上げるだけではなく、日本企業の対外的な価格競争力を強めている。  現在、製造業では「中国離れ」もあって国内回帰が促され、サービス輸出である訪日外国人によるインバウンド需要も大きく増えている。企業の価格競争力の高まりは、製造業に加えて観光サービスなどの国内企業にも広がっており、こうした状況が数年続けば経済成長率を長期的に高めるだろう。かつてアメリカの背中を追って経済成長していた40年前のような輝きを、日本経済が取り戻しても不思議ではない。   歴史を振り返ると、現在のように購買力平価対比で明らかに割安だった時期は1984年以来である。このときは1985年のプラザ合意前の1ドル

最後の調停官の登場はまだ先だ。

< 停戦の“トリガー”はあるのか。もはや世界に届かないゼレンスキーの声 「一生懸命に、あの手この手を尽くして仲介にあたっているが、もう万策尽きたかもしれない。今回の提案がまたどちらかから拒絶されたら、真剣に仲介の任を降りることを考えないといけない」  エジプトとカタールの担当官が心の内を吐露した内容です。その上で「ところであなたがこの案件の仲介を引き受けるなら、どうする?」と尋ねられました。  私からの回答は 「何ら依頼を受けていないので、これから言うことはあくまでも得ている情報と分析内容に基づいた話になるが、最初にイスラエル政府とハマスを当事者として同列に置き、外野からいろいろと言ってくる存在を調停のプロセスから一旦外す。本来ならそこで国連を中立な第3者として関与させるが、本件ではイスラエルがそれを拒むため、調停プロセスから国連も外さないといけないだろう。カタール政府とエジプト政府は、双方が拒まない限りは調停の輪に入れておき、back channelとして活躍してもらうようにするのが適切だと考える」 「アメリカやEU、その他の国々、そして国連については、ガザの復興が具体的に机上に上る段階になって支援国・組織として話し合いに加わってもらうべきだろう。その復興支援会議の音頭をエジプトとカタールが取るべきだと考える。または、復興支援会議の回しが上手な日本政府に頑張ってもらうのもいいかもしれない」 「何よりも今は、特殊事情のため、アメリカをはじめとするバックテーブルがあれこれ口を出しすぎるし、鮮明にサイドを取っている(中立ではない)ことから、仲介・調停のプロセスの害になっている。まずはその排除から始めるだろう」  という内容になりました。  賛否両論あるかもしれませんが、現時点では私はこのように見ています。  ではロシアとウクライナの戦争についてはどうでしょうか?  同じく延々と戦いが続き、戦況は膠着状態にありますが、もし解決のための障壁を一気に壊し、停戦に導くためのブレークスルーが起こるとしたら、何がトリガー(きっかけ)になるでしょうか? まずウクライナ側から見てみたいと思います。   冷めきってしまったゼレンスキー大統領への熱狂  大事なのは【ゼレンスキー大統領の立ち位置と役割をどうするか】です。  これまでの2年ちょっと、ゼレンスキー大統領はロシアによる不条理に対し

支離滅裂なエミン・ユルマズ氏の「予言」。

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< 地政学的追い風が日本を再び高成長に導く  日本は戦後、朝鮮戦争(1950~1953年)の特需をきっかけに高度経済成長を遂げた。その背景に米ソ冷戦があった。日本や西ドイツ(当時)を共産主義から守り、経済的に豊かにしようという米国の方針が恩恵をもたらしたといっていいだろう。日独が人的資源に恵まれていたことも大きいが、この地政学的追い風がなければ、あれほど短期間で経済成長は達成できなかった。  今、世界の中で日本にアドバンテージがあるのは、地政学的な風向きが再び日本に吹き始めているからだと私は見ている。  私が「米中新冷戦」と呼んできた状況がいっそう激しさを増している。  この新しい体制に入った2013年からの動きを見ると、第二次安倍内閣でアベノミクスが始まり、習近平が中国国家主席に就任。2014年にはロシアによるクリミア侵攻が発生。2022年にはロシアが国境を越えてウクライナへの侵攻を開始し、その後、さらにパレスチナとイスラエル、中国と台湾と、東西で戦争や紛争の激化、あるいは衝突の発生が懸念される事態が生じている。 サプライチェーンは中国から逃げ出している  新型コロナのパンデミックをきっかけに欧米諸国と中国の関係はより悪化し、実質、鎖国状態となった中国からグローバル資本だけでなくサプライチェーンが逃げ出している。それがどこに向かうかというと、世界中を探しても「代わりになる国」はそうはない。ある程度インフラや人材が揃っていて製造業が盛んな国となると、結局、日本しかないのだ。  とくに今、「21世紀の原油」とも形容される半導体の生産が、台湾に集中しすぎてしまっている現実がある。今後懸念される台湾有事が勃発すれば、生産がストップするリスクが高い。そのため、台湾のTSMCが日本の熊本に工場を作った。半導体特許の大半を握る米国政府は生産をもう一度日本に戻そうと躍起になっている。  これは有事を見越した「疎開」である。今後、台湾の半導体生産拠点の半分以上を日本に疎開させても不思議ではない。 猛烈な“日本買い”がやってくる 「グローバル投資が日本にやってくる」と言うと、世界的投資家のウォーレン・バフェットが日本の5大商社株を買っていることが話題になったことから、「外国人が日本株を買いに走る」と考える人が多いと思う。しかし、グローバル投資の形は株式だけではない。半導体工場がやって

報復外交は習近平氏の首を絞めるだけ。

< 中国がEUへの報復準備-貿易戦争、対米国ではなく対豪州型か ◎食品と農産物がしばしば貿易障壁の対象となる ◎中国が全面的な自動車関税賦課に動けば、日米の企業に影響も  中国はこれまでの貿易紛争と同様に、電気自動車(EV)への追加関税を決めた欧州連合(EU)に報復するため、一連の行動を準備しているようだ。  ただ、米国との大規模な貿易戦争とは状況が異なる。米中は互いにペナルティーを包括的に科した。中国が今狙っているのは、数年前にオーストラリアに対して講じた措置に似ている。中国政府や国営メディアはすでに、課税対象となりそうな特定の製品を公表している。 ブランデー: フランス狙い撃ち  中国が最初に照準を定めたのは欧州のブランデーだ。中国は反ダンピング調査を1月に発表。調査が1年以上かかる可能性もあるが、中国商務省は豪州産ワインに対する調査時のように、いつでも暫定関税を発表することもできる。  食品と農産物はしばしば貿易障壁の対象となる。中国はこれまで、中国が輸出国にとって大きな市場であるにもかかわらず、必要不可欠でないか、あるいは別の国からでも調達可能な商品をターゲットにしてきた。つまり、中国消費者へのダメージは少ないが、生産者への打撃は大きいということだ。  ブランデーはまさにその条件に合っている。中国の愛飲家は常に代替品を見つけることができるが、EUが行った中国製EV調査を最も強く支持してきた一国であるフランスへの影響は大きいだろう。  国際貿易センター(ITC)のデータによると、中国は2023年、フランスにとって2番目に大きなブランデー輸出市場だった。 豚肉:スペインなどに苦痛  中国政府は今週、欧州の豚肉がダンピングされている疑いがあるとして調査すると発表した。これが関税につながれば、その影響はスペインをはじめとし、デンマークやオランダのような主要供給国に集中するだろう。  中国が自国で被り得る影響は限定的かもしれない。いずれにせよ、豚肉の大半を国内の農家から調達している中国は、必要に応じてブラジルや米国といった他の輸出国に頼ることができるため、品不足や価格上昇のリスクを抑えることができる。 ワイン:主に地中海産  中国国営メディアが先月報じた記事には、乳製品や飛行機と並んで、ワインが標的にされる可能性があると指摘されていた。フランスは欧州最大の対中ワイン輸

「選挙ポスター掲示板買い」は東京都選挙管理委員会の大失態だ。

<「都知事選に30人の候補を擁立します」。政治団体「NHKから国民を守る党」が、東京都知事選(7月7日投開票)の立候補予定者を発表した4月11日の記者会見。立花孝志党首は選挙ポスター掲示板のおよそ半分を同団体のポスターで占めるイメージ画像を掲げながら、同団体に寄付した人の政治的主張をポスターに載せるプランを披露した。  立花氏によると、同団体に寄付すれば、都内に約1万4000か所ある選挙ポスター掲示板のうち1か所を選んで、自身で作成したポスターを貼れる。デザインや内容は原則、寄付者の自由で、自分や知人の氏名、犬の写真でも掲載できるという。寄付額は1口5000円以上、6月以降は1万円以上で、1口1万円で計算すると、1億4000万円の寄付収入が入る。同団体が候補者30人分の供託金(1人300万円)を支払っても、5000万円の利益が出る計算だ。  後日、候補者数を減らす方針を表明したが、擁立が決まった候補者はすでに20人を超える。当選者が1人の首長選で、同一の政党・政治団体が複数の候補を擁立するのは異例だが、立花氏は「政治に関心を持ってもらうには、多くの人が立候補を経験することが重要。立候補できない人はポスターで選挙に参加してほしい」と語る。  ただ、同団体のホームページでは「掲示板をジャックして、あなたの知名度やビジネスを広げるチャンス」などと、選挙ポスターを貼るスペースを候補者以外の人に販売するかのような宣伝を行っている。立花氏は「売買ではない」とするが、有権者が投票先を決める際の判断材料となる選挙ポスターをこのように扱うことは許されるのか。  総務省によると、選挙ポスターは他候補への応援や虚偽の内容でない限り、原則として内容は自由。販売行為は公職選挙法の想定外で、禁止規定はないという。担当者は「ポスターは候補者本人の責任で貼るもの。基本的に選挙管理委員会で内容を判断することはない」と話す。ただ、区市町村選管は立候補予定者の大幅増に伴い、前回選より大きな掲示板を用意せざるを得なくなっており、ある自治体の選管幹部は「当選を目的としているか疑わしい人たちのために、余計な税金が使われるのはおかしい」と複雑な心情を明かす。  近年の国政選や知事選を振り返れば、政見放送で候補者が個人的なトラブルの内容を相手の実名や勤務先を明かして語ったり、半裸になって卑わいな言葉を連呼したりす

「タコ足」にまで窮した中国経済。

< 異常だったマンションブーム  アジアで注目といえばやはり中国です。  これまで、世界経済を牽引してきた中国ですが、このところ経済成長に急ブレーキがかかっています。過去の成長エンジンが使い果たされたのです。  2023年には、外国の投資家の撤退やムーディーズ格付け見通しの引き下げなどがあり、中国への投資意欲は引き続き減退するとみられています。  中国はこのところずっと日本の貿易相手国1位でした。世界は中国の爆買いに期待し、多くの国が経済的に中国に依存してきました。中国がコケると、世界経済にも大きな影響があります。  中国の失速の一番大きな原因となっているのが、不動産、とくにマンション購入の停滞です。中国人はこれまで、住むためではなく、「買っておけば値段が上がる」と、投資のためにマンションを買っていました。  中国の場合、土地は国の所有物なので売買できません。土地の使用権を売買する形になります。不動産会社が土地の使用権を買ってマンションを次々と建設、それが売れて値上がりしてきたのです。あまりのブームから、地方では、「1世帯2戸まで」と購入制限をしたところもあります。そうすると、なんと偽装離婚をして、2戸ずつ購入する家庭まで出る始末。  マンションが値上がりすると、資金力のある一握りの富裕層は儲かるでしょう。しかし、本当にマイホームを買いたい人が買えない状況になり、不満が高まりました。  習近平国家主席は、「金儲けのためのマンション購入をやめさせよう」と、各銀行に対して「マンション建設業者にあまりお金を貸さないように」と、規制を始めました。 1位、2位の不動産会社が危機に  この状況は、過去の日本を思い出します。1980年代の終わり、日本でも不動産バブルに浮かれた人が大勢いました。その一方で、真面目にコツコツ働いて頭金を貯めてきたサラリーパーソンから、「不動産価格が値上がりしてマイホームが持てない」という不満の声があがりました。  そこで当時の大蔵省が始めたのが「総量規制」でした。銀行に対して「不動産を購入するために金を貸してほしい」と言ってくる企業や個人に対し、「これからは安易に貸すな」と指導したのです。  不動産取引への貸し出しは、不動産以外の分野も含めた総貸し出しの伸び率を上回らないようにするという指導だったので「総量規制」と呼ばれました。  金融機関が不動産取

財務官僚に取り入る、奇を衒う評論家たち。

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< 成田悠輔氏 物価高と言われてますが…「日本は意外にましな地獄」 G7のデータを比較  米国エール大学助教授で経済学者の成田悠輔氏がX(旧ツイッター)を更新。日本経済に関する意外なデータを披露した。   成田氏は米国のCEA(大統領経済諮問委員会)による2019~2024年のGDP実質成長率のグラフ図を貼付し「ここ5年弱のG7諸国を比べてみる」とつづった。   そのグラフについて成田氏は「1・日本はインフレ率が圧倒的に低い 2・実質GDP成長率は真ん中くらい。ドイツ・イギリス・フランスより上」と解説した。   日本の実質成長率は米国、カナダ、イタリアに次いで4番目。続いてフランス、英国、ドイツとなっている。   日本では経済の低迷が続いていることで悲観的な意見が多いが成田氏は「みんな地獄で日本は意外にましな地獄」とG7自体が地獄な状況の中で、日本は中くらい程度の地獄だと指摘している>(以上「東スポ」より引用)  成田氏は「高齢者は潔く自死する方が日本のために良い」などと発言して顰蹙を買った社会学者だ。今度は何を発言したのかと記事を読んだら「日本の地獄はましな地獄だ」などと能天気な放言をしている。  程度の良い地獄があるとすれば見せて頂きたい。どんな地獄でも、地獄は地獄だ。日本の子供の6人に一人は貧困家庭だという。その一人にとって程度の良い貧困などあり得ない。  日本の労働者所得は連続して実質マイナスを記録している。成田氏は日本のGDPは中程度の成長を記録していると云うが、果たしてそうだろうか。  内閣府の統計グラフでは国の実質GDP比較では主要七ヶ国の中で最下位だが、一人当たり比較では栄えある第四位に輝いているという。一人当たりGDPで日本を下回っているフランスや英国では政権与党が議会で過半数割れの政変が起きている。日本より上のドイツでさえ、政権与党は過半数割れして「緑の党」と連立を組まざるを得ず、ハチャメチャな政策を取らざるを得ず、ドイツ経済は低迷している。  成田氏は社会学者として、日本社会を一つのマスとして見て国民一人一人の貧困などには関心がないようだ。しかし社会は一人一人の国民によって成り立っている。国民のどれくらいが貧困だと感じるかによって、歴史は大きく動いてきた。    ちなみに同じGDPの推移を示すグラフだが、為替レートのドル換算で示せば、上記のよう