IMFが米国の財政批判しているが、IMFの財政規律論に騙されるな。

IMFが異例の米国批判-過大な財政赤字や債務、通商政策巡り
◎公的債務のGDP比は持続的に上昇傾向、反転させることが急務
◎貿易制限の継続的拡大などは重大な下振れリスク-年次経済審査

 国際通貨基金(IMF)は27日、米国が大き過ぎる財政赤字を抱え、過大な債務に圧迫されていると指摘し、攻撃性を強める通商政策による危険性もあると警告した。
 IMFは米国について「強固でダイナミックかつ適応力がある」と評価した一方で、最大の出資国に対して異例の厳しい批判を行った。また、今年の米経済成長率見通しを2.6%と、4月時点の予想から0.1ポイント下方修正した。
 米経済に関する年次審査の要旨は「財政赤字が大き過ぎて、公的債務の国内総生産(GDP)比が持続的に上昇傾向にある」と指摘。「貿易制限の継続的拡大と、2023年の銀行破綻で露呈した脆弱(ぜいじゃく)性への対処が十分に進展していないことは、いずれも重大な下振れリスクをもたらしている」と分析した。
 超党派の米議会予算局(CBO)は今月、2024会計年度(23年10月-24年9月)の米財政赤字予測を27%引き上げて約1兆9200億ドル(約310兆円)とした。
 GDPに占める米財政赤字の割合は24年度に6.7%と拡大が見込まれる。2月時点では5.3%が予想されていた。一方、欧州連合(EU)は財政赤字を3%以下に抑えることを指針としている。CBOによれば、米国は過去50年間の平均が3.7%だった。
 IMFは「公的債務のGDP比上昇が続いている状況を反転させることが急務だ」とし、「こうした慢性的な財政赤字は、重大かつ持続的な政策の不均衡を反映しており、早急に対処する必要がある」と指摘した>(以上「Bloomberg」より引用)





 米国は第二次世界大戦後からほぼ毎年、財政赤字を計上しているのは引用記事が指摘する通りだ。ことに近年ではその規模が拡大していて、2023会計年度(2022年10月~2023年9月)の財政赤字は、GDP比5.8%、約1兆6840億ドルに達し、これは第二次世界大戦直後以来の高水準だ。
 IMFはそのことを問題視していて「異例の米国批判」をし、Bloombergが記事として取り上げた。しかしIMFが「国際通貨基金」としての立場を超えて、米国の財政を批判するとは穏やかでない。

 確かに米国政府の財政赤字は米国内で大きな議論を呼んでいる。財政規律派は財政赤字の拡大が以下のような問題を引き起こす可能性があると指摘している。
1,金利上昇: 政府が赤字を穴埋めするために国債を発行すると、市場に出回る国債の量が増え、金利が上昇する可能性がある。金利上昇は、企業の借り入れコスト増加や、住宅ローンなどの金利上昇を通じて、家計の負担を増加させ、経済成長を抑制する。
2,将来世代への負担: 政府が赤字を垂れ流すと、将来世代は増税や社会保障給付の削減などの形で負担を負うことになる。
3,経済危機のリスク: 財政赤字が膨らみ続けると、政府の債務返済能力が懸念され、経済危機に繋がる危険性がある。
 しかしお解りのように、上記の財政赤字に対する批判は日本の「ザイム真理教」が唱える「財政規律論」と酷似している。IMFも「ザイム真理教」の信者なのかと疑わざるを得ない。

 財政赤字の拡大を問題視する声がある一方で、必ずしも問題ではないと主張する意見もある。それは財政は国庫の番人のためにあるのではなく、国民のためにあるからだ。
1,景気対策: 景気後退時には、政府が財政赤字を拡大することで、景気の下支えを行うことが必要だ。
2,経済成長: 政府が積極的に投資を行うことで、経済成長を促進することができる。
3,先進国における共通現象: 米国だけでなく、多くの先進国で財政赤字は拡大しており、必ずしも問題ではない。
 このように米国の慢性的な財政赤字については様々な議論がある。IMFが一方的な立場に立って、財政緊縮論を展開するのは内政干渉の懸念すらある。確かに財政赤字の拡大がもたらすリスクは考慮すべきだが、財政は国庫の番人のためにあるのではない。財政とは景気対策や経済成長促進などの効果を十分に検討して行うべき「経済政策の一環」だと理解すべきだ。もちろん適切な政策判断を行うことが重要だが、緊縮財政派に毒された「国庫の番人」に騙されてはならない。

 
<私事ながら>
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