民主党が山口県に最終処分場の設置を求めるとは。

　民主党は福一原発放射の漏れ事故に伴い大量に出た廃棄物の処分場を安倍首相のお膝元の山口県に設置するように求めるという。民主党はいかなる合理性があって山口県に廃棄物処分場設置に山口県が適しているかを説明すべきだ。
　それが時の自公政権の総理大臣の選挙区だから「嫌がらせ」として山口県と決めたのなら小学生のイジメ心理にも劣るバカバカしさと批判すべきだろう。第一福島県からわざわざ遠隔の山口の地まで放射性廃棄物を運搬し、また新たな放射能汚染地区を広げ拡散することが日本の国土と国民にとって良いことなのか、考えるまでもないだろう。

　その程度の提言をしているようでは政党として体を成しているとは言い難く、民主党は解党するしかないだろう。多くの政治評論家から自公政権に対抗すべき野党再編の中核と位置付けられている政党としては余りにお粗末だ。安倍総理大臣憎さから選挙区まで憎いというのでは子供の喧嘩に等しい。
　そもそも安倍氏が選挙区としている下関市を中心とする山口4区は安倍氏の父方の祖父安倍寛氏の出身地（大津郡日置村）だが、その長男晋太郎氏からは東京の人だ。厚かましくも選挙区を山口4区に置き続け、その地域有権者も地域出身の国会議員として支持を続けているに過ぎない。

　安倍晋三氏に到っては日置村（現・長門市）の誰とも小中学校の同級生ではない。彼は東京生まれの東京育ちだ。公職選挙法の国会議員立候補の規定に何処で立候補しても良いとされていることから山口4区を立候補地としているに過ぎない。だから安倍晋三氏が知っている山口4区とは選挙時に街宣カーで通り過ぎる沿道と演説会場の会館、それと旧安倍邸とその周辺と安倍家代々の墓のある墓苑だけだ。
　安倍晋三少年が走り回って遊んだ地は東京であり、通った学校は東京の小中学校だ。山口県の人たちとは選挙を通じて知り合ったに過ぎない。それでも安倍氏を支援する地元の人たちは選挙をどのように捉え考えているのだろうか。それでも地方の選挙区に意味があるというのだろうか。

　そうした縁で福一原発事故処理の産業廃棄物の最終処分場を山口県にせよ、という民主党の合理性は何だろうか。先入観なく合理的に考えれば福一原発事故処理に伴い大量に出てくる放射性廃棄物の最終処分地は福一原発構内であるべきではないだろうか。
　そこに放射線漏れを防ぐ厚いコンクリート擁壁で囲んだ敷地を造り、その中に最終処分の工場と処分地を設置して放射能の拡散を防ぐべきだ。いかなる方法にせよ、遠隔の地まで放射性廃棄物を運搬するとは飛んでもないことだ。日本全土に放射能物質を飛散させ、放射能汚染地を拡大するだけではないだろうか。

　自公政権は汚染水防御壁を凍土方式で実施するとしているが、将来福一原発構内に放射性廃棄物の最終処分場を造ることも視野に入れて、分厚いコンクリート擁壁を地下数十メートルから百メートル程度まで設置し、地上も50メートルほども高くして、地下水の汚染と地上・空中での拡散も防ぐ施設とすべきだ。
　凍土方式はあくまでも一時的なものでしかないが、福一原発の核燃料が原子炉から溶解し突き抜けて地下でマグマ化しているものを、いかにして回収し管理するというのだろうか。米国のスリーマイル島事故ですら溶解した核燃料を回収するのに30年を要している。それの何十倍も困難な事態に陥っている福一原発を凍土方式でその場凌ぎで処理が終わるほど簡単に収束できるとは思えない。日本の原子力ムラの連中の頭脳は大丈夫なのかと疑わざるを得ない。

　それ以上に、民主党のお粗末さには涙が零れる。突如として消費増税を管氏が口走りだして以来、民主党は常軌を逸している。なぜ1％対99％の戦いになっている構図に気付かないのだろうか。
　原発再稼働は原子力ムラの利権温存を図るため以外の何物でもない。脱原発を国会で決議すれば、その時点で沖縄電力を除く本土の9電力会社は倒産するしかない。なぜなら企業会計原則では使用しない事業資産は除却処分しなければならないからだ。つまり8電力会社の原発は不良資産となり、その額が各電力会社の資産価値を上回るからだ。
　だから電力会社は再稼働に必死なのだ。たとえ一基でも良い、原発が稼働していることが彼らにとって必要なのだ。しかし日本国民にとって必要なのは原発ではなく、自然再生エネルギーによる高効率な発電の仕組みを開発し普及することだ。その方がどれほど日本と世界の環境にとって寄与することか。そうしたマトモな議論を国会で活発に展開すべきが国会議員の仕事だ。安倍氏に子供じみた嫌がらせをすることではないはずだ。