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既存マスメディアとSNSの影響力は逆転した。

<兵庫県知事選挙で、斎藤元彦前知事が再選を果たして、話題になっている。斎藤氏は、全議員から不信任を突きつけられて失職。再出馬するも、メディア報道は厳しく、再選は困難だとされていた。  大勢が確定した直後、SNSは大きく盛り上がり、Xでは「当選確実」「兵庫県民」といったワードがトレンド入りし、再選はおおむねポジティブに捉えられた。  この結果について、マスメディアの偏向報道が批判され、SNSが投票結果を大きく左右したことが指摘されている。また、若者の票が後押ししたという声も出ている。トランプ大統領再選と比較され、政治の変化を期待、あるいは不安を表明する声も出ている。  こうした指摘は間違っているとは思わないが、少し過剰な語られ方をしすぎている点もあるように思う。  メディアやSNSの変化という視点から、今回の選挙結果を読み解いてみたい。 「若者の力」で当選したとまでは言えない  筆者は、政治および選挙の専門家ではないが、SNSの口コミを分析し、世の中の論調を探る仕事をしてきた。  2008年のアメリカ大統領選でのオバマ氏の勝利の背景には、政治意識の高いミレニアル層を取り込むためにSNSを最大限に活用したことが大きく影響したと言われている。  その直後、日本でも同様の潮流が起きるのかについて研究をしてきたし、SNSの声で選挙結果を予測することはできるのか? あるいは世論を把握できるのか? ということも検証してきた。  結果としては、有用な成果を得ることはできなかった。理由としては下記の通りだ。 1: 日本は高齢化社会であり、若年の有権者は少ない 2: SNSを積極的に活用している若年層の投票率は低い 3: SNSの論調は極論が多い(特に保守派の主張が目立つ) 4: 政治家もSNSを信用しておらず、積極的に活用する意欲も薄い  10年以上前のことなので、現状は大きく変化しているところもある。しかしながら、根本的に変わったとも言い難いのも事実だ。  今回の兵庫県知事選で斎藤氏は、若年層への訴求を中心に、マスメディアではなくSNSで情報収集、情報発信を行い、その結果として、10代、20代の若者票を集めたという意見がある。  たしかに、出口調査を見ると、若者層ほど斎藤氏に投票している傾向がある。しかしながら、50代までは2位の稲村氏より斎藤氏のほうが投票率は高いし、60代でも拮

トランプ氏の裁判が棄却されるのは当然だ。

< トランプ次期米大統領が不倫口止めに絡む事件で有罪評決を受けた問題を巡り、ニューヨーク州検察は19日、州地裁に対して有罪評決の破棄には反対すると表明し、司法手続きを続けるよう要請した。  州地裁の陪審は5月、トランプ氏が2016年の大統領選前に不倫関係にあったと訴える女性への口止め料支払いで不正な会計処理をしたと認定している。  これに伴って今月26日にトランプ氏に対する量刑の言い渡しが行われる予定だった。州検察は、量刑言い渡しを含む司法手続きの延期は受け入れる意向を示し、トランプ氏の次の大統領任期が終わるまで手続きを中断する選択肢も考慮されなければならないと説明。一方で州地裁のメルシャン判事に、トランプ氏が正式に裁判の取り消しを請求できる期限を設けて欲しいと伝えた。  7月には連邦最高裁がトランプ氏の在任中の行為が公務であれば免責されると決定。トランプ氏の弁護団は、この最高裁の判断を根拠として有罪評決は無効とするべきだと主張するとともに、次期大統領の職務に支障を来すとして裁判自体の取り消しも求めている。  ただ検察側は、口止め料支払いはあくまで個人的行為だとの見解を示している>(以上「REUTERS」より引用)  REUTERSに「 トランプ氏不倫口止め事件、NY州検察が有罪評決破棄に反対表明 」との見出しが躍っている。当然といえばきわめて当然の判断だ。  なぜなら20年近く前の「婦女暴行事件」などとっくの昔に時効だからだ。いまさらNY州検察が蒸し返してNY州地裁で有罪を勝ち取ったとしても、控訴して連邦裁判所で審理すれば無罪になることは歴然としている。  トランプ氏に関する提訴及び疑惑はこんなのばかりだ。青州の裁判所で告発が受理され有罪判決が出たとしても、客観的合理性など何もない。連邦裁判所に移ればすべて無罪評決されるものばかりだ。  青州の検察や裁判所は恥ずかしくないものだ、と感心してしまう。厚顔無恥の検察官や裁判官判事が存在する、というだけで日本人の我々には驚異だ。もちろん日本にも左派人権派の馬鹿げた検察や裁判官がいて仰天動地の判決が出ることはあるが、そんなのは極めて稀だ。  しかし米国では民主党が支配している州では前述したような、きわめて恣意的・政治的な提訴や裁判が行われている。もちろん政治的な裁判はトランプ氏に対してだけではないだろう。様々な社会活動家が

インドの宿痾は「教育」にある。

< ASEANが日本の国益につながる  EUほどの統一意思決定構造を持ちませんが、ASEANは起源や経緯はともかく、今となっては超大国に飲み込まれたくないからこそ、個々の力では米中に及ばない国々が集まって枠組みを形成しているという側面もあります。彼らは中国の影響下に入りたくはないけれど、アメリカの影響下に飲み込まれることもよしとしていません。ここで地理的に近い日本が独自の動きを見せることが、結果的に対中牽制になり、日本の国益につながります。  日本の外交は、ASEANという地域全体を面でとらえてしまう傾向があることも是正していかなければなりません。各国ごとに成長度合い、そして経済安全保障の観点からは、中国との距離感が全く異なります。  日本は、特にASEANと地理的に近い地域大国であり、日本の約二倍およそ2.8億人の人口を有し、経済成長も著しく、イスラム教を信仰する国民が多数を占めるインドネシアとの深く幅広い関係構築は必須です。ジョコ・ウィドド現大統領およびプラボウォ・スビアント次期大統領が中国首脳らと会談を繰り返し、中国との距離を縮めていってしまっている現在、日本も積極的なインドネシアとの連帯深化が急務でしょう。  フィリピンが日米比首脳会談実現と昨今の対中領海主権紛争の激化から、中国との距離がさらに広がっていることと対照的です。ASEAN全体視点ではなく域内それぞれの国に対するメリハリある外交リソース分配の濃淡付けが重要です。 日本が使える外交ツールは十分に残っている  中国が手をつけているASEANやアフリカの多くの諸国について、日本からの投資額は欧州全体からを除き、米中に続いて第三位や上位につけるなど、日本が使える外交ツールや力は十分に残っています。その力を、アメリカ追従ではない形で強めていくことは、日本が自分のため、あるいは国際社会のために貢献できる一つの形でもあります。  宇露戦争はまさにそうした好機でもありました。米欧がロシア非難、ウクライナ支援で手一杯の中、中国が各国を回って影響力を強めている。ならば日本は、先にも述べた通り米欧に追従してウクライナにくぎ付けになるのではなく、中東、アフリカ、ASEAN、南米に手入れしていく。中国が狙って動いているところへ、日本が先回りして手を打つという発想が必要です。  その点で、ASEANに対しての近年の日本外交の

財源は? と問いかける相手の土俵に上がってはならない。

<年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」見直しについて、共同通信社が16、17両日に実施した全国電話世論調査で、賛成が「どちらかといえば」と合わせて69・9%に上った。政府が物価高対策として検討する低所得世帯への3万円支給案については67・4%が「評価しない」と答えた。 「年収の壁」の見直しへの評価を年代別に見たところ、若年層になるほど賛成が増え、働き控えの解消や手取り増加への期待が大きい実態が浮き彫りになった。  政府が検討している住民税非課税の低所得世帯への3万円支給案について、物価高対策としての評価を聞いたところ、「評価する」は29・4%にとどまった。 「年収の壁」見直しを主張している国民民主党の玉木雄一郎代表は18日、X(旧ツイッター)で«非課税世帯への給付は否定しないけれど、まじめに働いて税金を払っている人たちのことをもっと大切にすべきではないか»と投稿した。  地方自治体などから税収が減少するとして反対の声も出ているが、玉木氏は別の投稿で«財源論ではなく生存権の問題»とした。財源論についても、使い残しの予算が2年間の平均で年9・1兆円、税収は平均で年4・2兆円上振れしているとして、«計上すべき予算をもっと絞り込み、税収見積もりをより精緻にすれば、基礎控除の引き上げ分の減収など、いくらでも対応可能»と指摘した。  世論調査では、玉木氏の不倫問題については、政治家としての資質に「問題がある」が48・0%で、「問題はない」が49・3%とわずかながら上回った。  石破茂内閣の支持率は40・0%で、衆院選直後の10月28、29両日調査の32・1%から7・9ポイント回復した。不支持は38・8%だった>(以上「夕刊フジ」より引用) 「 「年収の壁」見直しに69%がYES、政府の「3万円給付」に67%がNO 世論調査 国民・玉木代表、税収減少に「いくらでも対応可能」 」との見出しが躍っている。いよいよ財務省の攻撃が熾烈さを増して、12月の税調に向けて攻防戦が激化しているようだ。  しかし玉木氏は財務省が総務省などにレクチャーした「103万円の壁撤廃による地方財政の減収」などに一々反論する必要などない。なぜならそれは地方交付金の増減の問題であって、それは財務省の問題だからだ。唯一反論するとすれば消費税の内地方取り分があるが、消費増税で地方取り分が増えただけ

トランプ氏の登場によって米国のDSとオールドメディア支配は終わる。

<ドナルド・トランプが4年ぶりにアメリカ大統領に返り咲いた。とんでもないデマ発言を繰り返して国内を分断し、「悪夢の大統領」とまで言われた。しかし、彼は戻ってきた。いったいなぜなのか。 「内戦」を懸念していたジャーナリストたち 「USA!USA!」  ドナルド・トランプが姿を現すと、会場は異様な熱気に包まれた。 「アメリカ国民の皆さま、私を第47代大統領に選んでいただき、この上ない栄誉に感謝します。これからが真のアメリカの黄金時代でしょう」  現地時間11月6日未明、大統領選投開票日の深夜にトランプは早々に勝利宣言をした。カマラ・ハリスの支持者たちは一様に肩を落としたが、全米各地で選挙を取材していた記者たちは、揃ってこう安堵したという。  ひとまずアメリカ国内が分断されることは免れた―。  米ハーバード大学客員研究員でフリージャーナリストの中岡望氏が語る。 「マーケティング・リサーチ会社の世論調査で『選挙が終わった後にアメリカで政治的な暴力が起こりうるか』という問いに対して、7割近くの人が『起こる可能性がある』と回答しました。それほどアメリカ国民は暴動を心配していたのです」  前回の大統領選('20年)では、トランプが「選挙結果が不正に操作された」と主張して敗北を認めなかったため、支持者の一部が暴徒化し、連邦議会を襲撃した。ハリスが勝てば、その悪夢が再来しかねなかったのだ。 「今回、トランプは負ければ裁判での有罪判決を受けて投獄される可能性が高かった。そのため選挙結果を覆すためなら、なんでもやりかねない雰囲気でした。軍内部のトランプ派が動いているという噂もあった」(同前)  トランプ支持者が本気で選挙結果を覆そうと実力行使に打って出れば、「シビルウォー」(内戦)にも発展しかねなかった。しかし、そうした事態は回避できたわけだ。 エリートから支持されたハリスの惨敗  ではなぜ今回トランプは勝利できたのか。ハリスが大統領候補に選ばれた直後には、「ハリスブーム」が巻き起こり、一時は圧勝すると言われていた。しかし、蓋を開ければ、トランプが逆転した。 「ハリスが敗北したのは、バイデンとの差別化ができなかったからです。政策を見ていただくと、実に3分の2ほどがバイデン政権のものを踏襲しています」(同前)  バイデン政権下で進むインフレで、多くの国民の生活は困窮した。特に深刻な

オールドメディアによる世論操作の時代の終焉。

<17日に投開票が行われた兵庫県知事選では、失職後に再選を果たした斎藤元彦氏(47)が111万票余りを獲得した。   初当選した2021年の知事選から25万票以上を積み上げ、幅広く浸透する結果となった。  今回の知事選は、投票率が前回より10%以上伸びて55.65%となるなど、県民の関心が高い中で行われた。斎藤氏はSNSを重視した選挙戦を展開。こうした戦略が功を奏して、111万3911票を獲得した。  ただ、有効投票数に占める割合は45.2%で、前回の46.9%には届かなかった。次点の稲村和美氏(52)は39.6%で、斎藤氏とは5.6ポイントの差だった>(以上「時事通信」より引用)  17日から一夜明けて「 初当選時より25万票上積み 失職後再選の斎藤氏 兵庫知事選 」との見出しが時事通信に踊っている。しかしオールドメディアが斎藤批判を繰り返した斎藤ハッシングについてはスルーしているのは解せない。  なぜオールドメディアは一言「取材が不十分で、国民に誤解を与えるようなニュースを流してしまった」と国民に詫びないのだろうか。18日朝の朝日テレビの報道番組は誠に酷いものだった。  コメンテータとして元テレ朝社員が出ているが、彼もまた「既存メディアは反省しないといけない」などと述べるに留まり、彼らがグルになって証拠が何もない、兵庫県議会の百条委員会が結論も出していない、ましてや第三者委員会すら結成されていない段階で知事不信任を全会一致で可決したことに対する批判もない、という報道機関としてあるまじき報道姿勢をまず陳謝すべきではないか。  今回の兵庫県で起きた不祥事に対して、県議会議員全員は責任を負うべき立場にある。彼らは百条委員会を設置したにも拘らず、結論が出る以前に知事不信任を全会一致で可決した。彼ら県会議員は何を以て斎藤知事が「不信任」に値すると判断したのか、全員に見解を伺いたい。そして選挙終盤になって稲村氏支持を表明した22人の市長各位にも見解を伺いたい。  来年には任期の来る斎藤知事をなぜ一年前に強引に失職させなければならなかったのか。ただ公職選挙法の決まりで斎藤知事が9月29日までに自ら辞職して再選された場合、任期は1期目の残りの来年7月末までとなるが、失職して再選されると任期は4年となる。斎藤氏は30日に自動失職したうえで出直し知事選に当選したため任期は公職選挙法

斎藤氏再選はネット市民がオールドメディア支配を打破した結果だ。

<立花孝志氏は斎藤元彦氏を支援するため、自身の当選は目指さないという異例の選挙戦を展開した。17日夜、テレビ各局が当確を報じると、ニコニコニュースの選挙特番で「“立花さんありがとう”とめちゃくちゃいっぱい言っていただいた」と思惑通りの結果を自画自賛した。   選挙戦を通じ「県議会議員とマスコミが協力して(前)知事をいじめるデマを拡散した」などと斎藤氏を擁護し、追い風を吹かせてきた。街頭演説では斎藤氏の演説会の前後に同じ会場に入る“便乗戦法”で大勢の聴衆ごとジャック。斎藤氏を「改革者」、県議会やマスコミを「抵抗勢力」とする対立軸を示すことで、斎藤氏を持ち上げ、その模様をSNSなどを駆使して拡散した。   その中で「ありもしないことをマスコミに流した」などと、告発文書の作成者で元局長の男性をおとしめる発言を繰り返し自身の選挙ポスターでも批判の文章などを記した。支援者の間ではパワハラ、おねだり疑惑に関する陰謀論まで巻き起こった。   ≪ポスターに苦情殺到≫立花氏のポスターについて兵庫県選挙管理委員会は取材に「こんな内容を出していいのか」などの苦情が相次いだことを明かした。立花氏は党首を務める「NHKから国民を守る党」の候補24人を擁立した7月の都知事選で、寄付と引き換えにポスター掲示枠を提供するなどして物議を醸した。兵庫県選管は「選挙後にいろいろ、選管としても問われる事態もあるかもしれない」とした>(以上「スポニチ」より引用) 「 N党・立花孝志党首 斎藤氏支援の異例選挙戦 「改革者」VS「抵抗勢力」対立軸示した街頭演説の動画拡散 」との見出しがスポーツ紙面で踊っているが、兵庫県知事選を立花氏の一人芝居で総括してはならない。  確かに立花氏の活躍がなければ斎藤氏の再選はあり得なかっただろう。既存の政党やメディアがこぞって稲村氏を支持し、斎藤氏は孤立無援だった。まさに斎藤氏はたった一人の辻立ちから選挙を始めた。  風向きが変わったのは立花氏が「真実」を街頭演説で話し始めた頃からだ。それまで兵庫県民は県庁で何があったのか知らされてなかった。全国ネットのテレビですら連日「パワハラ、おねだり知事」として斎藤氏のネガティブキャンペーンを展開した。  兵庫県と直接利害関係のない全国ネットのテレビや新聞はなぜ斎藤知事ネガティブキャンペーンを展開したのだろうか。そして「真実」が露見しつつ

トランプ氏の勝利はネット市民の勝利だ。

 < 半減したメキシコの移民キャラバン  トランプが当選してからまだほんの数日しか経過していないが、アメリカ国内はもとより、国外においても実に興味深いことがいろいろと起こっている。  今回は国外ですでに表れた変化について、紹介しようと思う。  ロイターは、メキシコの南部都市タパチュラを11月5日に出発した時点では3000人いたアメリカ移民を目指すキャラバンが、7日段階では1600人以下に縮小したと報じた。選挙結果が出るとすぐに、キャラバンの人数が半分程度になってしまったのだ。  入国できてもすぐに強制送還されるんじゃ意味はないとして、仕方なく母国に帰る選択をした人も多いのだろう。トランプ政権が正式に発足した後は、さらに移民の流れは細ることになるのは確実だ。  中東にも大きな動きが生まれた。カタールはハマスに近い立場を取り、ハマス政治指導部を国内に居住させ、ハマスの事務所の設置を認め、ハマスとイスラエルとの間でのガザでの停戦交渉の仲介も行ってきた。  だが、トランプの当選を受けて、カタールはアメリカ側の要請に応じ、自国に拠点を置くハマス政治指導部の国外追放に同意する動きに出た。ハマスとイスラエルの双方が、停戦に向け真剣に交渉する意思がないことを理由として、停戦交渉も中断した。イスラエル側だけを批判するのではなく、ハマスも同様に批判する立場に変えたのだ。 サウジ、バイデンの扱いと雲泥の差  サウジアラビアの変化にも注目したい。サウジアラビアのニュースサイト「アラブニュース」は、「サウジアラビアがアラブ諸国をリードし、トランプ氏を祝福」との表題の記事を出した。「アラブ諸国をリードし」なんて言葉をわざわざ挿入してまで、トランプ政権の復 活を評価しているのだ。  イランはこれまで、ガザ地区のハマス、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派などに武器と資金を提供して、イスラエルやサウジアラビアなどを攻撃させてきた。イランはイスラエルにとっても厄介な存在だが、サウジアラビアにとってもそれは同じだ。このイランに対して、バイデン政権は力で対抗しようとはせず、オバマ時代と同様に甘い対応に動いた。  だからバイデンがサウジアラビアを訪問した時には、王族は誰も空港に迎えに行かなかった。サルマン皇太子はバイデンと握手することも拒んだ。こうしたバイデンに対する扱いと今回のトランプに対する扱いは雲

一度、高度経済成長期の税制に戻してはどうか。

<早くも腰が引けてきた。1日、国民民主党の榛葉賀津也幹事長が公明党の西田実仁幹事長と会談。前日の自民党に続き、案件ごとに政策協議する方針で一致し、自公国の「部分連合」に向けた協議の枠組みが固まった。協議の焦点は、国民民主が強くこだわる「年収103万円の壁」の解消である。  給与額面から一定額を差し引く控除額の合計が、103万円を超えると所得税が課税され、手取り収入は減ってしまう。この「壁」を意識してパート従業員らが労働時間を抑制するため、人手不足に拍車をかけていると指摘される。  衆院選公約で国民民主は控除額を増やし、課税水準を178万円に引き上げると主張。玉木雄一郎代表は10月31日の会見で「(自公が)全くやらなければ当然、協力できない。その時は過半数に届いていないわけだから、予算も法律も通らない」と強気だった。  しかし、威勢がいいのはここまで。同じ会見で玉木代表は控除の増加幅について「交渉次第だ」とトーンダウン。この日は報道陣に「100%これ(=178万円)をのまないと、1ミリでも変えたらダメだという気はない」と修正に含みを持たせた。すっかり尻すぼみである。  控除引き上げで恩恵を受けるのはパート従業員だけではない。年収300万円で11.3万円、同500万円で13.2万円、同800万円で22.8万円の減税効果を生み、幅広い働き手が潤うことになる。そもそも103万円の控除額は1995年から30年近く据え置かれたまま。引き上げ幅の75万円はこの間の最低賃金の上げ幅(1.73倍)に合わせて算出した額だ。根拠として全く問題ない。  それでも政府は「国と地方で7兆~8兆円程度の減収が見込まれ、高所得者ほど恩恵が大きくなる」(林官房長官)と予防線を張り、メディアも税収減を問題視。「低所得者に的を絞るべき」「95年以来の物価上昇率(10%)に応じて控除を引き上げれば財政負担は1.1兆円にとどまる」などと異論続出である。 ■「要は取れるところからキッチリ取る」  この空気を察してか、国民民主内でも「10万円でも20万円でも壁が引き上げられたら十分」と物分かりのいい意見が上がる。朝日新聞は「8000億円なら税収の上振れで対応できる」と経済官庁幹部の匿名コメントを報じていたが、国民民主が腰砕けになればなるほど政府の思うツボだ。 「控除は『生活維持のため最低限の収入を守る』という趣

トランプ氏のバリ協定からの離脱は正しい。

<トランプ次期米大統領は15日、石油など化石燃料の増産に向け、「国家エネルギー会議」を新設すると発表した。エネルギー関連手続きの効率化や規制緩和、民間からの投資促進の進捗(しんちょく)状況を確認。バイデン政権が進めた気候変動対策からの政策転換を進める司令塔役となる。  トランプ氏はまた、公有地の石油採掘場や先住民の土地管理を所管する内務長官に中西部ノースダコタ州知事のダグ・バーガム氏(68)を指名すると発表した。同氏は新組織の議長も兼務する。公有地での化石燃料開発を進める狙いがある>(以上「時事通信」より引用) 「 トランプ次期米大統領、化石燃料増産へ新組織 内務長官にバーガム氏 」との見出しがあった。いよいよ大統領選でトランプ氏が「 「壊滅的なインフレ危機をただちに終わらせ、金利を下げ、エネルギーコストを引き下げるために私たちは……ドリル、ベイビー、ドリル!」と叫んだ主張を政治で実現しようとしているようだ。  その手始めが 石油など化石燃料の増産を仕切る「国家エネルギー会議」を新設し、その会議を所管する内務長官にノースダコタ州知事のダグ・バーガム氏(68)を指名したという。   パリ協定とは2015年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択され、2016年に発効した気候変動問題に関する国際的な枠組みだ。 パリ協定では2020年以降の温室効果ガス削減に関する世界的な取り決めが示され、世界共通の「2℃目標(努力目標1.5℃以内)」が掲げられている。  その気候変動枠組みとは基本的にCO2排出削減で、先進国ほどCO2排出責任を重くして後進国にCO2排出責任を負う「先進国=CO2排出国」という原罪を先進国に課す構造になっている。パリ協定ではインドや中国は後進国に分類され最大のCO2排出国の中国が排出権規制から外れる不合理な構造になっている。  前任期中トランプ氏はパリ協定から離脱し、米国のシェールオイル増産に踏み切っていた。バイデン氏はパリ協定に復帰してシェールオイル掘削を抑制し、米国を原油輸入国にしていた。トランプ氏が再び米国をバリ協定から離脱する選択をすれば、国際的なCO2排出権取引の枠組みが成り立たなくなる可能性がある。  同時に「そもそも気候変動はCO2に因るものなのか」という根源的な検証が求められかねない。欧州ではEVが決してCO2削減に寄与してい