イランは民主国家になれるのか、それとも新たな独裁者に政権が代わるだけなのか。
<イラン・イスラム共和国(通称イラン)は今、1979年の建国以来、最も過酷な試練の刻(とき)を迎えている。 2025年12月28日、テヘランのグランドバザール(大規模市場)で一斉に店舗のシャッターが降りた日から、わずか10日間で、抗議の火の手はイラン全土31州の内27州285カ所以上へと燃え広がった。犠牲者もすでに36人、逮捕者は2076人に及ぶという(数字はイランの人権活動NGOのHRANAより引用)。今回のイラン市民による抗議活動は、2022年の「マフサ・アミニ抗議活動」を質量ともに凌駕し、1979年にイラン・イスラム革命によって王政を廃しイスラム共和国体制を樹立して以来、イランは現体制の存続そのものを問う歴史的岐路に直面している。 奇しくも昨年(2025年)末からのイランの抗議活動の活発化は、米国のベネズエラのマドゥロ政権への攻撃とほぼ同時期に発生した。 今回の米国によるベネズエラ攻撃は、イランの体制を支える一つの足をもぎ取ったといってもよい。実は、ベネズエラへの攻撃は、イランの支援勢力(ベネズエラとイランの関係は極めて深い)を叩くという意味で、明らかに現在のイランの動乱と結び付いている。 そして今や、イスラエルのネタニヤフ政権は、5時間に及ぶ閣議の後でイランに対する攻撃の準備を改めて整えたと伝えられている。 本稿では、ソーシャルメディアを通じた最新情勢を詳細に検証しつつ、過去の抗議活動との構造的比較を通じて、今回の動乱がイランにどのような革命的変革をもたらし得るのか、その可能性と限界を分析してみたい。 イラン抗議活動の最新情勢──全土へと広がる拒絶の意志 今回の抗議活動を理解するための鍵は、それが単なる政治的抗議ではなく、国民の生存をかけた「最後の闘争」であるという点にある。 【第1日(12月28日)】経済危機による発火 抗議活動の背景には、イラン・リヤルの史上最低水準への暴落があった。今回のイランの抗議活動が始まった2025年12月28日には、市場での対ドルレートが1ドル=142万リヤルにまで低下した。イランでは、1年前と比してインフレ率は42.2%に達し、食品の高騰は72%、医薬品は50%以上の値上がりを記録している。 イランの抗議活動は、テヘラン中心部の商業地区において、通貨暴落と急激なインフレにより「もはや商売が成り立たない」として商...