「高市内閣で進行する「金利上昇でも円安」現象は、ついに日本の信用が崩れたサインかもしれない」とは?

<高市早苗内閣の拡張的補正予算に煽られるように、円安が進んでいる。片山さつき財務大臣は、11月21日、為替介入も辞さない構えを示した。

 金利が上昇しているにもかかわらず円安が進むのは、一見して理解しがたい異常な現象だ。しかし、これは、2022年にイギリスのトラス政権が直面したショックと同じものだ。無謀な拡張政策に対して、市場が拒否反応を示しているのである。2025年にはトランプ政権が同じ問題に直面した。今回は、日本政府の経済政策に対する信頼性が崩壊しつつあるため、金利が上昇して、円安が進んでいる。

金利が上昇しているのに円安が進む
 円安が危機的な水準になっている。1ドル=160円台が目前という危機的な水準だ。
 2024年の6月末にも、160円を超えるまでの円安が進んだ。ただし、このときには、日米金利差が拡大していた。金利差が円安を導くのは当然であり、理解しうる現象だ。
 しかし、今回は高市内閣の補正予算の影響で、長期金利が上昇している。これはマーケットの正常な反応だ。だが日本の金利が上がれば日米金利差は縮小するから、円高になってしかるべきだ。それにもかかわらず、顕著な円安が進んでいるのである。金利が上昇して円安が進むというのは、従来の常識に反する動きであり、一見したところ、理解しがたい現象だ。
 しかも、ドルに対してだけでなく、ユーロやポンドに対しても、歴史的な円安になっている。

トラス・ショックのトリプル安
 マクロ経済学の教科書には、「金利が上がれば、通貨が増価する」と書いてある。しかし、これは、正常な経済における動きである。
 経済政策が破綻状態にあるときには、「金利が上昇し、かつ通貨が減価する」ということが生じ得るのだ。実際、世界経済は、ここ数年で、そうした事態を何度か経験した。
 第1は、2022年9月、イギリスで生じた「トラス・ショック」だ。リズ・トラス英首相は、就任直後に、財源措置を伴わない減税政策を発表した。
 すると、マーケットで大きな変化が起きた。まず、それまで3%程度だったイギリス10年国債利回りが4.5%程度に上昇した。つぎに、ポンドの対ドル為替レートが、1ポンド=1.035ドルという過去最低の水準にまで下落した。そして、株価指数も1年半ぶりの水準に下落した。
 金利が高騰したにもかかわらず、ポンドが下落したのだ。これは、財源措置を伴わない減税策があまりに無責任なものと評価されたからだ。
 金利、為替レート、株価のトリプル安に直面したトラス政権は、減税案を撤回した。そして、トラス首相は退任に追い込まれた。

トランプ政権を直撃したトリプル安
 トリプル安に見舞われたのは、トラス政権だけではない。トランプ政権も、トリプル安を経験した。
 第1回目は、2025年の4月2日、相互関税を発表した直後だ。
 まず株価が下落した。相互関税の賦課によって貿易が減少すると予測されたからだ。そして、長期金利が高騰した。そして、ドル安が生じた。
 アメリカの経済政策に対する信任が失われたために、アメリカ国債に投資していた投資家が国債を手放し、これによって国債価格が暴落したのだ。さらに、中国などの外国投資家がアメリカ国債を購入していたが、彼らが国債を売り、ドル安が生じた。
 9日、トランプ大統領は、政策を大転換し、相互関税のうち上乗せ税率分の執行を、90日間延期せざるを得なくなった。
 4月下旬には、トランプ大統領がFRB議長の人事に関して介入発言をしたことで、同じようにトリプル安が起きた。このときも、トランプ氏は、前言を撤回せざるを得なくなった。
 このような債券市場の警告は、「債券自警団の働き」と表現される。いま日本でも、同じことが生じているのだ。

金利上昇の原因が重要
 日本では、いま、長期金利が上昇し、同時に為替レートが円安になっている。この動きは高市氏が自民党総裁に選出された頃から見られたが、とくに、補正予算の策定以降、顕著になった。
 積極的財政政策が長期金利の上昇を招くのは、予想された事態だ。なぜなら、積極的な財政政策によって国債の発行額が増える。これによって将来時点における利払い費が増え、それをまかなうために、国債発行額をさらに増加させる必要があるからだ。
 しかし、円安が進むのはどうしてか? 標準的な考えによれば、日本の金利が上昇すれば、日米間の金利差が縮小し、円高がもたらされるはずである。それにもかかわらず、なぜ円安になるのか?
 これについて、つぎのように考えることができる。
 高市政権の発足以降、日本の長期金利は上昇している。通常であれば、金利上昇は円建て資産の魅力を高め、海外投資家の資金回帰を促すため、円高要因として働く。しかし、実際の為替市場では円安が進み、教科書的なメカニズムは機能していない。この現象を理解する鍵は、「金利上昇を引き起こす原因」だ。
 投資支出増大のように将来の成長をもたらすことが原因となって金利が上昇するときには、通貨高と結びつきやすい。しかし、財政悪化や政策不信、国債需給悪化等によって金利が上昇するときには「悪い金利上昇」と評価され、通貨安を導くのだ。現在の日本の金利上昇は、前者ではなく後者なのである。
 この構図は、すでに述べた「トラス・ショック」や「トランプ・ショック」でも同じだ。金利上昇にもかかわらず通貨が売られる点で、現在の日本と同じ力学が働いている。
 為替の変動は、金利差だけでは決まらない。重要なのは「政策の信頼性」だ。市場が日本の財政運営や構造改革の先行きに不安を感じれば、金利上昇は資金流入をもたらさず、むしろ円売りにつながるのだ。今回の円安は、政権への信認低下が主因となっている可能性が高い。

日本銀行はどう対処するか
 長期金利は上昇しているが、政策金利は、今年の1月に引き上げられて以降、変わらない。為替レートに影響を与えるのは、長期金利というよりは期限がより短い金利なので、政策金利を据え置いている日銀の金融政策が、円安の大きな原因になっている可能性もある。
 したがって、日銀が12月の政策決定会議で利上げを行うか否かは、為替レートの動向に大きな影響を与えるだろう。
 日銀は為替レートを金融政策の目的ではないとしているが、そんなことはない。為替レートは金融政策によって大きく影響されるのだから、当然のことながら、金融政策の極めて重要な政策目標だ。
 これまで述べたように、現在の円安は日本の経済運営に対する信頼が壊れたことによって引き起こされているのであれば、問題は深刻だ。介入を行っても効果はない可能性が高い。
 2024年6月頃に起きた円安は、円キャリー・トレードという投機的取引によってもたらされたものであった。この投機にとっては、近い将来の為替レートがどうなるかが、大きな影響を与える。為替介入は、近い将来の為替レートに大きな影響を与えられるため、円キャリー・トレードという投機的取引に大きな影響を与えられるのだ。
 しかし、日本の経済運営に対する信頼は、為替介入を行なったところで取り戻せるものではない。
 この意味において、現在の円安は、24年の円安とは性格が違う。それは、より本質的で深刻な問題と捉えるべきものだ。>(以上「現代ビジネス」より引用)





いったいなぜ…?!高市内閣で進行する「金利上昇でも円安」現象は、ついに日本の信用が崩れたサインかもしれない」との見出しに驚くしかない。野口 悠紀雄(一橋大学名誉教授)氏の論評には常に首を傾げざるを得ない。
 政治家が気にすべきは「金利」や「円安」ではない。「物価高騰」や「労働者所得」こそ気にすべき経済指標だ。だから高市氏は金利を上げるための政策は執っていないし、ましてや円安対策の政策も実施していない。

 そもそも円安だと多くの経済学者が騒ぎ、ジャーナリストたちが「日本が売られる」と書き立てるが、円安がそんなに深刻な事態なのだろうか。かつて、円は1ドル360円の固定相場制だった。米大統領ニクソンが固定相場制から変動相場制に移行宣言し「ニクソンショック」と呼ばれた。
 さらに日本が高度経済成長を続けると、日本経済に脅威を感じた先進自由諸国が束になって「プラザ合意」を日本に呑ませた。それにより1日で1ドル=235円前後から20円も円高に動き、翌1986年7月には150円台まで円高が進んだ。その当時と比べて現在の1ドル150円台が大騒ぎするほどの「円安」なのだろうか。

 外国と比較するから為替マジックに騙される。国内で各都道府県が国だと想定すると、東京は明らかに全国各地から食料を購入しているから「輸入超過」の貿易収支赤字大国になる。おそらく貨幣動向をみれば、東京から大量の資金が各地方へと流出しているはずだ。しかし貿易赤字大国の東京が貧困化しているだろうか。
 ただ貨幣価値を家賃で見れば、東京の貨幣価値は地方と比べれば半分以下になるだろう。だから東京都民の所得が地方の日本国民よりも多いとしても、家賃相場で換算すれば大したことがないと解るだろう。

 「「金利上昇でも円安」現象」と見出しに特筆してまで、野口氏は何を大騒ぎしているのか理解に苦しむ。日銀が判断して公定歩合を上げるのは日銀の独立性から高市政権が左右できることではない。ただ、金利上昇はインフレ抑制策として日銀が行うものであって、現行の物価高騰が経済成長に伴うディマンドプル・インフレなら、日銀の判断は正しいといえよう。しかし現在のインフレは明らかに円安による輸入物資の価格上昇のコストプッシュ・インフレによるもので、金利引き上げ策は妥当ではないと考える。
 さらに野口氏は「積極的財政政策が長期金利の上昇を招くのは、予想された事態だ。なぜなら、積極的な財政政策によって国債の発行額が増える。これによって将来時点における利払い費が増え、それをまかなうために、国債発行額をさらに増加させる必要があるからだ」と論述しているが、彼は積極財政が「何の為に」行われようとしているのかを全く考慮していない。それは高市政権が命運をかけている「経済成長」のためだ。日本経済を成長させなければ国民所得も上昇しない。ただし、本年度の企業利益は史上最大になる予想のようだが、労働所得の上昇には余り反映されていない。それはなぜなのか。
 それは法人税率が低いからだ。法人税率が低ければ、労働分配に回して「経費」として計上するよりも、内部留保して株主配当や役員報酬に回す方が「得」だと、企業経営者が判断しているからだ。株主配当を多くすれば「物言う株主」が株主総会で大人しくなるし、自分たち役員の懐具合も良くなる。実際に法人税率を引き下げて以来、株主配当は10倍になっている。
 だから労働所得を増やすのを目的とする経済成長政策ならば、法人税率を旧に復すことが必要だ。そうすれば確実に経済成長の果実が労働所得として分配されるだろう。それが個人消費を促して経済の好循環が始まる。

 日本経済を根本的に良くするには、消費税廃止を忘れてはならない。そうすれば確実に国民負担が10%近く減少する。国民負担が減少すれば個人消費が増える。ことに消費税廃止になれば新築家屋やマンション、さらには大型耐久消費財といった高額消費財が爆売れして、国内景気は良くなる。
 国民から搾り取れば財政が良くなる、という財務官僚の発想では日本経済は決して良くならない。国民負担を減らして、経済の好循環を実現することこそが税収増になる。もちろん配当所得といった資産所得は源泉分離課税を廃止して、総合課税に一本化すべきだ。そうすれば格差是正の効果も少しは出るだろう。失われた35年の間に失われた国民の富を取戻し、税本来の富の再配分効果により格差是正が高市経済政策によって実現できるだろう。

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