日本政府は毅然とした対中外交に徹せよ。
<1978年8月の日中平和友好条約締結から45年が経過した。この間、経済や軍事面で日中関係がどのように変化したのか。今後日本は中国とどのように向き合う必要があるのか。 日中の名目国内総生産(GDP)は、80年に日本が1・1兆ドル、中国が3000億ドルだったが、今や日本が4・4兆ドル、中国が19・4兆ドルだ。これまでは日本の停滞と比べて、中国は経済発展する国なのでビジネス相手として日本にとって魅力的だった。しかし、今後は経済的にそうでなく、一方、安全保障面からの脅威を考慮しなければいけない。 経済についていえば、中国のGDPには信憑(しんぴょう)性がなく、筆者は比較的信頼のおける輸出入統計から、3割程度過大になっているとみている。 米国の学者でも懸念を持っている人も少なくなく、夜間の照明の明るさを人工衛星から観測したところ、4割程度過大になっているとの研究もある。 本コラムで再三紹介してきた民主主義と経済成長を改めて整理しておくと、政治的な独裁は、自由で分権を基調とする資本主義経済とは長期的には相いれない。これは、ノーベル経済学賞学者のミルトン・フリードマン氏が50年以上も前に『資本主義と自由』で喝破している。 筆者は、フリードマン氏の主張について、独裁的な政治では民主国家にならず、ある一定以上の民主主義国にならないと、1人当たりGDPは長期的には1万ドルを超えにくいという「中所得国の罠(わな)」という形で独自の解釈をしている。 中国の1人当たりGDPは表向き1万ドル程度を超えつつある。中国のGDP統計が過大になっていることを割り引いても、そろそろ頭打ちになる可能性がある。 ノーベル経済賞学者のポール・クルーグマン教授も、中国の人口減少などを根拠として、中国経済は日本以上に今後苦しむと予想している。 中国は政治的独裁ゆえに経済面の発展が今後見込めないが、安全保障面では日本の脅威になる。本コラムで再三繰り返してきたが、政治的独裁国の戦争確率は高いからだ。 要するに、日本の国益を考えると、経済面のメリットが急速に減るとともに、安全保障面のデメリットが急速に増すので、すぐに中国はデメリットしか残らない厄介な国になるだろう。 もはやかつての「政経分離」(政治体制は異なっていても経済では協調)は中国に限れば通用しない。 対中経済関係では、経済安全保障を考え