台湾有事や日中戦争を煽る連中の思惑とは。

台湾有事をどう見るか
保阪 台湾海峡危機の行方について、白井さんはどう見ていますか。
白井 十中八九、そう遠からず日中戦争が勃発すると私は見ています。なぜかと言うに、日本は数多の選択肢がある中で、この30年間一貫して間違った選択肢だけを選んできました。「この選択肢だけは絶対選んではいけません」という極致が岸田大軍拡です。今後日本は、アメリカにそそのかされて中国と戦争をおっ始めることになるでしょう。
 そうなれば日本は相当悲惨なことになる。経済的には即死状態ですし、食糧供給が厳しくなって餓死者も出るでしょう。若い自衛隊員はかなりの数が戦場で死にます。
 残念ながら、日本はいったんそこまで行くしかないのかもしれません。そこからどう再起するのか。今度こそ「戦争とは何だったのか」ということにきちんと落とし前をつけて再出発する。来るべき台湾有事に備えて、今から「戦後」を見据えた準備にかかるべきです。

保阪 白井さんの危機感はよく分かりますが、今は台湾有事を回避できるかどうかが重大な課題だと私は思います。
 ジョン・F・ケネディ政権とジョンソン政権で国防長官を務めたロバート・マクナマラが『マクナマラ回顧録』という本を書いている。この本を読むと、ベトナム戦争で下した自分たちの判断を総括し、徹底的に自己批判しています。「我々は大きな間違いを犯した」「ああいう承認をしたことについて、一生恥ずかしい思いがする」と、自分が犯した失敗について具体的に記しているのです。
 クリントン政権で国務長官を務めたマデレーン・オルブライトは、晩年『ファシズム』という本を書いています。「私はいろいろな政治家に会ってきたが、プーチンは本質的にウソつきだ。平気でウソをつける人間だ」と書いてある。ウクライナ侵攻が始まる前ですよ。プーチンを知る政治家が「この人物には気をつけろ」と伝承している。
 日本の政治家は、引退後にこういう仕事をやりません。誰とは名指ししませんが、回顧録を書く政治家のほとんどは、自分がやった仕事の自慢話ばかりです。日本の政治家は総じて、記憶の継承の方法を持たないこと、また自制心の欠如という深刻な問題を抱えています。

「真っ二つ」になっているアメリカの「限界」

白井 アメリカ中心の世界のヘゲモニーは形がいびつに崩れ、今や崩壊の淵にあります。都市と地方の対立、国内の階級格差はあらゆる面でのっぴきならないほど広がり、民主党的アメリカと共和党的アメリカは見事なまでに真っ二つです。帝国主義を続けるために、無理やり「一つのアメリカ」を擬態しているのが現実でしょう。トランプ派の市民が連邦議会議事堂を占拠するなんて、もはや対立どころかアメリカの内破であり、民主主義の崩壊です。
 ウクライナ戦争によって、世界におけるアメリカのプレゼンスが皮肉にもあらわに見えてきました。「ロシアはけしからん。結束して締め上げてやっつけよう」とアメリカが呼びかけたところで、対露経済制裁に参加している国はいくつあるか。国連加盟全193ヵ国のうち、わずか38ヵ国です。アメリカがいくら睨みを利かせても、NATO諸国や日本、韓国、台湾、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドあたりが経済制裁しているだけで、グローバル・サウスは「アメリカはこれまで中南米でさんざん好き放題やってきただろうが。どの口がロシアを批難できるのだ」とソッポを向いています。

保阪 社会主義というイデオロギーが、民族や宗教の違いによる人間のプリミティブな対立に網をかけ、対立関係を塞いできた。これが20世紀の歴史です。しかしその抑圧性が限界に達しソ連・東欧は崩壊します。それから30年が経った今、民族や宗教や国家をめぐる対立をどういう思想や哲学で抑制していけばいいか。
 案外、白井さんや斎藤幸平さんが研究しているマルクスの思想は、その新たな処方箋になるかもしれません。旧ソ連や東欧や中国のように、権力奪取を経て独裁制に行き着く革命論としてではなく、マルクスが資本主義社会を見極める批判的な目には、いまだに汲み取るべきものがあるような気がしています。
白井 同感です。資本主義社会が続いている以上、最も強力な資本主義批判の理論であるマルクスの思想もまた現役です。資本主義システムをどう解毒するのか、その処方箋をマルクスに求めることは、相変わらず適切なのだと思います。ただし、ソ連崩壊以降、どのような権力を構築するべきなのか、そのイメージがなかなか出てこない。そこが難所となっていますが、状況がますます過酷になるなかで、資本主義を統制する権力の形態をどうにか見つけ出さざるを得なくなると思います>(以上「週刊現代」より引用)




 8月15日を迎える都度、引用した「戦争物」が週刊誌や雑誌に掲載される。引用した読物の見出しは「「そう遠からず日中戦争が勃発する」「経済は即死状態、餓死者・戦死者も多数」...台湾有事の「瀬戸際」にいる日本と明らかになった「アメリカの限界」」と、センセーショナルなものだ。
 そうした過激な見出しに違わず、内容も「(日中戦争が勃発すれば)日本は相当悲惨なことになる。経済的には即死状態ですし、食糧供給が厳しくなって餓死者も出るでしょう。若い自衛隊員はかなりの数が戦場で死にます。」と白井氏(白井聡(しらい・さとし)/1977年東京都生まれ。政治学、社会思想研究者。京都精華大学国際文化学部准教授。著書『永続敗戦論』『未完のレーニン』『マルクス 生を呑み込む資本主義』ほか)は断言している。荒唐無稽な設定と、かつての旧・日本軍インパール作戦を焼き直したかのような現実無視の分析に驚く。

 それに対して保坂氏(保坂正康(ほさか・まさやす)/1939年北海道生まれ。ノンフィクション作家。同志社大学文学部卒。『東條英機と天皇の時代』『昭和の怪物 七つの謎』『ナショナリズムの昭和』ほか著書多数)は笑いもしないで「白井さんの危機感はよく分かりますが、今は台湾有事を回避できるかどうかが重大な課題だと私は思います。」と同調する。なにか出来損ないの掛け合い漫才でも見ているようなイヤな気分になる。
 白井氏が台湾有事に関して「十中八九、そう遠からず日中戦争が勃発すると私は見ています。」と断言するが、その理由として「なぜかと言うに、日本は数多の選択肢がある中で、この30年間一貫して間違った選択肢だけを選んできました。」というから、何のことだか解らない。白井氏は厳密な情勢分析を苦手としているのだろうか。そうだとしたら、白井氏の社会学者としての業績もかなり怪しいといわざるを得ない。

 ただ白井氏が米国の現状を「アメリカ中心の世界のヘゲモニーは形がいびつに崩れ、今や崩壊の淵にあります。都市と地方の対立、国内の階級格差はあらゆる面でのっぴきならないほど広がり、民主党的アメリカと共和党的アメリカは見事なまでに真っ二つです。」と見ているのは正しいと賛同する。しかしその分に続く「帝国主義を続けるために、無理やり「一つのアメリカ」を擬態しているのが現実でしょう。トランプ派の市民が連邦議会議事堂を占拠するなんて、もはや対立どころかアメリカの内破であり、民主主義の崩壊です。」とは、左派のステレオタプ発言で戴けない。彼の思考は左派プロパガンダのまま停止しているようだ。
 米国の対立は国民主義とグローバル主義の対立だ。グローバル主義とは国際金融資本を盾に、投機マネーを稼ごうと米国という覇権国家を食い物にしている連中だ。彼らにとって儲け至上主義で、国家や国民などどうでも良い。それはかつて共産主義が世界共産主義革命を目指したのと酷似している。そのグローバル主義の番頭さんがバイデン氏で、グローバル主義者たちは潤沢な資金力にモノを言わせて米国主要マスメディアから民主党までゴッソリと乗っ取っている。もちろん、グローバル主義を米国で拡大させるためには米国の市民社会は邪魔で、百害あって一利なし、だから社会秩序の破壊に余念がない。その破壊活動に利用できると判断すれば黒人人種差別であろうとLGBTであろうと、何でも利用する。それらの運動資金の提供者を丹念に調査すれば、米国の裏社会を操っている連中が炙り出るだろう。

 保坂氏の云う「白井さんや斎藤幸平さんが研究しているマルクスの思想」とは何だろうか。学生の頃「資本論」を精読したが、実に中身のない壮大な読物だった。経済学というよりも、「資本論」が書かれた1867年当時の英国の社会読本というべきだろう。
 ただマルクス思想を世界へ広げる宣教師となったのがトロッキストたちだ。彼らは世界に「共産主義」という同一基準を広めようとした。そうした意味ではグローバリストたちだったともいえるだろう。また、現代では「CO2地球温暖化」という統一したスローガンを掲げる国際的な運動が流行っている。それもまたグローバリストたちだ、と云えるだろう。米国のウォールストリートに巣食っている国際金融家たちも世界を同一基準の金融で投機資金のスムーズな運用が出来るような仕組みを築いている、という点で彼らもまたグローバリストだ。つまりトロッキストたちも環境派たちもハゲ鷹投機家たちも「同じ穴の狢」だということを見逃してはならない。

 白井氏もその仲間の一人だとは云わないが、台湾有事を喧伝する人たちは用心すべきだ。習近平氏が「台湾を武力統一する道も排除しない」と勇ましく演説したから、近く中国が台湾に武力侵攻する、と力説する評論家がいるが、習近平氏の演説が何処でなされたかを考えるべきだ。彼は国連やBRICSなどの国際会議の場で発言したのではない。彼は中国民に向けて中国内で発言したに過ぎない。
 習近平氏にとってもっも居心地の良いのは現在のポジションだ。なにもプーチンの真似をして隣国へ攻め込んで苦労することも身の危険を招くこともない。国家主席の地位を保ってさえいれば、習近平氏の許に巨万の富が集まって来る。その地位を手放さないために、適当に「国家の危機」を演出する必要がるから、そうしているだけだ。

 環境派たちが「CO2を削減しなければ地球は温暖化して酷いことになる」と危機感を煽っているのは、彼らの利権を守るためだ。その良い例が電気料金だ。環境に「良い」太陽光発電のためにコストを電気料金に上乗せしても仕方ないだろう、というコンセプトを形成して電気料金を値上げした。そのコンセプト形成に利用されたのが「CO2地球温暖化」というプロパガンダだ。
 確かに、地球の気候は変動する。しかし、それは大気中のCO2濃度とほとんど無関係だ。なぜなら現在よりCO2濃度が遥かに高かった20億万年前の先カンブリア時代最末期 に最初の大氷河期を迎えてから、数度の氷河期と間氷期とを地球は経ているからだ。そして約1200年前には温暖期を迎えて、平安京のあった京都で発展した建築様式「寝殿造り」は雪が降らないのを前提とした「外廊下」の家屋だった。世界的にもバイキングがグリーンランドを発見した当時、グリーンランドは文字通り「緑なす島」だった。

 中国が台湾進攻したなら、それは日本有事というより、中国にとって飛んでもない有事だ。なぜなら中国の貿易の約70%は海洋経由で行われているからだ。それらの港がすべて閉鎖されたなら、中国は僅かな備蓄しかない石油と食糧で12億国民を養わなければならない。
 日本の場合はマラッカ海峡を通らないで、太平洋を迂回すれば「有事」とはならない。だから台湾軍事侵攻で大変な事態に陥るのは日本よりも中国の方だ。それでも中国が台湾へ軍事侵攻するだろうか。白井氏は台湾有事が「遠からず」起きると断定しているが、「遠からず」とはいつだろうか。本来なら、プーチンがウクライナへ軍事侵攻した時点が最も良いタイミングだったはずだ。プーチンも習近平氏に「一緒にやろう」と持ち掛けたはずだ。しかし習近平氏は2022/2/24に台湾への軍事侵攻に動かなかった。その時点で、中国の台湾軍事侵攻は永遠になくなったといえるだろう。現在でも台湾有事を声高に叫んでいる連中は何らかの思惑があってのことだ。薄汚い利権屋の番頭さんたちだと考えて間違いないだろう。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。