恒大集団破産はドミノの一駒。中国の経済力は「張子の虎」でしかない。

<中国の不動産大手恒大集団がニューヨークの裁判所にアメリカ連邦破産法15条の適用を申請したと複数のアメリカメディアが報じました。 
 恒大集団は不動産の評価損や金融資産の価値の下落などで経営危機に陥っていて、ロイター通信によりますと直近では3300億ドルの負債を抱えていたということです。 
 中国経済が減速するなか、不動産分野の経営危機が他の分野にも波及するのではないかとの懸念が高まっていて市場では、今回の恒大集団の破産申請の影響に注目が集まっています>(以上「ANNnews」より引用)



 2021年に債務不履行に陥っていた中国の不動産大手恒大集団がニューヨーク地裁に「破産法」の適用を求める申請を出したという。負債総額は日本円で約48兆円に上ると見られている。
 中國では恒大集団の他にも中国の不動産最大手碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)に対する市場の不安が高まっている。碧桂園控股も販売縮小で資金繰りが悪化しており、債務再編は避けられない情勢だ。米ドル債の流通利回りは3000%を超え、債務不履行(デフォルト)を織り込んでいるという。碧桂園の債務総額は1兆4348億元(約29兆円)で、米ドル債の流通利回りは3000%を超え、債務不履行(デフォルト)を織り込んでいる。

 いよいよ中国の不動産バブルが弾け始めたが、これまで約二年以上もバブル崩壊を先延ばしした中共政府の金融政策により、中国の不動産バブルは最悪の事態にまで悪化し、ソフトランディングするタイミングは完全に失われている。
 このことにより中国「元」の国際的な信認は著しく低下し、中国金融機関の債務超過が取沙汰されるのは必至で、中国は金融混乱に襲われるだろう。

 ただし中国「元」はローカルカレンシーのため、国際通貨ドルを発行する米国のリーマンショック時のような国際金融に対する影響はないと思われる。しかしながら、中国と強い経済取引を行っている企業や国家では「元」が著しく下落することによる影響が及ぶのは避けられないだろう。
 中共政府は金融機関の不良債権処理をするために、厳しい金融政策を実施せざるを得ず、「一帯一路」や「新シルクロード」という海外への過剰投資政策は転換を迫られるだろう。中国が主導しているAIIBも「元」の下落により業務を縮小せざるを得ず、これまでAIIBに出資している諸外国は出資金の償却を迫られることになるだろう。

 同時に「元」経済圏に深入りしているロシア経済は中国金融の不良債権償却が深刻な影響を及ぼすことを覚悟しなければならない。国際金融総取引の2%程度を占める「元」だが、「元」を保有している国は保有している「元」に応じて、償却の必要に迫られて相当の影響を受けるのは避けられない。
 これまでも中国では銀行取り付け騒ぎが起きていたが、中国民は銀行が預金引き出しに応じない事態が全国的に起きるか、それとも中共政府が「元」紙幣を増刷して預金引き出しに応じてハイパーインフレも余儀なしとするか、中共政府の政策判断から目が離せなくなる。いずれにせよ、中国が経済大国だと内外に宣伝して来た「経済力」が張子の虎でしかなかったことが明らかになるだろう。

 中国の不動産バブル崩壊で日本と同じ「失われた30年」を過ごすだろう、と云う評論家がいるが、中国の場合は日本の「失われた30年」よりも、もっと酷い状況に陥ると思われる。なぜなら、中国の「世界の工場」は単に外国投資と外国企業が中国へ「移転」したに過ぎなかったからだ。
 日本の場合は戦後復興と云いながら、実は戦前に確立していた「モノ造り」の技術力という基礎があったため、製造装置を復興させれば急速に工業生産大国になれた。戦前に確立していた「モノ造り」の技術力は当時の世界最高水準のものであったことを忘れてはならない。日本は戦争前に空母を八隻も建造し、艦載機「ゼロ戦」を製造していた。

 しかし中国は未だに自前で世界水準の自動車エンジンすら製造できない。ジェットエンジンに到っては軍事大国を標榜しているが未だに劣化コピー版しか製造できない。「世界の工場」を成立させていた外国投資と外国企業が撤退すれば、中国には何も残らない。
 ただ先進諸国の企業群が中国各地に建設した製造ラインと、そこで働いていた従業員が残るが、彼らは製造技術を開発人達ではなく、製造ラインを「改善」などで構築した人たちでもない。見よう見まねで先進企業群が放置した製造ラインを動かして製造できるかも知れないが、それらは品質管理の怪しい劣化コピー版でしかない。そして核心となる部品や素材が供給されなくなれば、製造ラインすら維持できなくなる。だから中国の経済力は「張子のトラ」だと断言している。

 そうすると、今後の中国は「改革開放」前の中国に戻ることになる。つまり世界の貧困国だった当時のGDPに戻ることを意味するが、中国民はそれに耐えられるだろうか。いや中国民だけではない。中南海に巣食っている中共幹部たちも、「改革開放」以前の暮らしに戻ることが明らかになった段階で、それでも習近平体制を是認するだろうか。各軍区に押し込められている軍部の幹部たちも「改革開放」以前の軍備に戻ることを容認するだろうか。
 恒大集団の破産は中国経済崩壊の狼煙だ。不動産業界の破産は中国の金融システムの崩壊を招き、それは「元」の暴落へと繋がる。そして「元」の暴落は社会不安を喚起する。中国の不動産バブルは上海株式の大暴落があった三年前に弾けさせておくべきだった。しかし習近平氏は自身の独裁政権維持のためにバブルを弾けさせないで大きく育ててしまった。しかも「戦狼外交」に舵を切って、中国経済の基礎だった外国投資と外国企業を敵視し排除してしまった。さらに、中国内で芽生え成長していた「民間資本」をもブッ潰してしまった。国家発展の基礎となる人材育成の場を習近平個人崇拝の道具に変えてしまった。もはや中国に成長するエンジンは何も残っていない。日本の「失われた30年」どころの話ではない。そのことに習近平氏は何も気づいてないところが、中国経済崩壊の深刻な点だ。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。