投稿

独善国家「中国」への対応。

  中国の外相が口を極めて日本と米国を非難している。中国の安全のために中国は日米同盟に対抗するために世界戦略を取らざるを得ない、というものだ。  中国は何か勘違いしていないだろうか。日本との軋轢は中国が求めて起こしているものだ。以前の中国と日本に今日のような緊張関係があっただろうか。つまり中国が国力をつけてくるに従って国内矛盾の捌け口に近隣諸国を巻き込んでいるだけだ。    中国が採っている国家体制は社会主義だ。もちろん私的財産の所有を認めないのが本来のありようで土地は国有だが、経済体制は大きく資本主義化してしまっている。かつて鄧小平氏が「黒い猫でも白い猫でも鼠を捕まえる猫は良い猫だ」と言って、中国の貧困を追放する社会制度に資本主義を採用しようが問題ない、と実に乱暴な論理を採った。  その政治体制と経済体制という二つの基本的な社会制度の矛盾が中国国内で暴動という形で噴出している。年間に数万件とも十数万件ともいわれる国民の暴動は尋常ではない。    そうした巨大な「国民の不満」と言うマグマを押さえ込むために「日帝の残滓」という悪役を仕立てて「米帝の脅威」という現実の脅威と重ね合わせて国民に「外敵への備え」を絶えず鼓舞し続けなければ国家体制が保てないところに到っている。  中国は崩壊寸前なのだ。主席や外相が日本に理不尽な言い掛かりをつければつけるほど、中国の抱える国内矛盾が大きくなっている証拠だ。    中国が米国と対等以上に渡り合える外交カードだった北朝鮮は北朝鮮の方から暴走して「外交カード」として使えなくしてしまったばかりか、中国にとって国境を接する厄介な国へと変貌してしまった。  中国は北朝鮮を手懐けることによって米国にある程度の無理を利かせていた。しかし北朝鮮を手懐ける過程で金独裁政権を甘やかしに甘やかして、ミサイルや核開発を陰で支援していた。もちろん反対給付たる北朝鮮の地下資源掘削権益を手に入れてきたが、金独裁政権は中国以上に中国で、国家間の契約など屁とも思っていない。    中国は窮している。既に中国経済はバブルが崩壊して日々悪化している。急激な経済成長の副作用が噴出して、給与水準の上昇以上の急激な消費者物価のインフレに見舞われている。その反面、都市部でもビルの空室率が上がり、マンションの販売実績も低下している。  何よりも中国政府が現実の脅威に感じているの

中国外相の「日中関係の悪化は日本が尖閣を盗んだから」とは呆れ果てる。

  中国外相の「日中関係の悪化は日本が尖閣を盗んだから」と発言したというのは呆れ果てるばかりだが、口をアングリ開けて黙っていてはならない。日本の外相も「日中関係の悪化は中国の領土的野心を丸出しにして、国際法無視による尖閣諸島へ触手を伸ばしたことによる」と、直ちに反論すべきだ。  黙っているのが一番いけない。中国人同士や韓国人同士の喧嘩を見てみるが良い。彼らはこの世の果てかと思えるほど、口を極めて罵り合い、疲れ果てると休憩して一緒に飯を食ったりして、再びやおら大声で罵り合う。    罵り合いに倦み、黙った方が負けになる。せっかく中国外相が中国式の喧嘩を仕掛けてきたからには、日本の外相は礼儀正しく受けて痛烈に中国を罵倒すべきだ。  そうしたお互いに疲れ果てるまで罵り合いを徹底して何日にも亘って続けることだ。腹蔵なく、という言葉の通、腹の中のすべての鬱憤を相手にぶつけることだ。そうしなければ次の段階へ外交のステージは移らない。

政界のオール与党化現象に苦言を呈す。

  投票総数の4割しか得票していない自民党が衆議院で圧倒的多数を占め、他の政党までも自民党に擦り寄っているのが今日の政界図だ。多くの国民は「消費増税」に反対し、「TPP参加」に反対し、「脱原発」を求めていたはずだが、安倍自民党は「消費増税」はデフレを克服するまで実施しないとし、「TPP参加」は聖域なき関税撤廃には反対だとし、「脱原発」に関しても安全確保ができるまで再稼動はしない、とそれぞれの争点を摺り抜けて選挙に大勝した。    すると俄かに本性を現した。「消費増税」のためにデフレ克服というよりも物価値上げを推進してインフレ状態を実現する策に出て、この国のマスメディアもアベノミクスだ、と持ち上げに持ち上げてはしゃいでいる。  TPPに関しても、米国の市民運動家たちのリークによりTPPの実態は企業による国家支配だというのがバレても、聖域なき関税撤廃ではないから参加する、と問題のすり替えを演じて国民を煙に巻いている。原発再稼動も闇雲に進める魂胆は丸見えで、お座なりの原子力安全委員会による安全基準作りを進めている。    安倍政権は国民を裏切ることに全知全霊を賭しているかのようだ。民主党政権の韓国や中国に対する対応をヘナチョコだと批判していたが、いざ政権を獲ると安倍氏は民主党政権以上のヘナチョコ振りを見せている。  韓国に対しては自民党政権の根本的な外交上の汚点たる「河野談話」の見直しすら出来ず、竹島の日の政府公式行事の中止にとどまらず安倍氏の靖国参拝までも封印する有様だ。それでは民主党政権時代と何も変わらないことになりはしないだろうか。中国に対しても同様だ。安倍氏の口先だけのタカ派は前回の首相時代にも発揮されていたが、本人は「安倍は変わった」というのも、口先だけだったことが日々実証されている。    しかしマスメディアの全面支援を受けて実態不明な世論調査で安倍政権は70㌫に達す国民の支持を受けているとされている。すると似非・野党の連中は野党の衣を被っている必要もなくなったとばかりに自公政権に擦り寄っている。選挙までマスメディアが散々第三極と持ち上げた維新の会にしても、結局は自民党亜流政党だったことが露だ。ただ一人橋下氏だけが大阪で吼えているが、国会議員たちは東京のことは東京に任せろと意に介さない。    風にそよぐ葦、ではないがマスメディアに踊らされる野党政治家たちは参

沖縄の海兵隊のグアム完全移転が20年というのなら、

  米国政府によると普天間の米軍海兵隊を2020年までにグアムへ移転完了させる計画だという。それなら普天間基地の海兵隊を辺野古沖へ移転させることなく、直接グアムへ直ちに移転して頂きたいものだ。  最低でも県外、出来れば国外へ沖縄米軍基地を移転させたいというのが沖縄県民の悲願なら、日本政府は沖縄米軍基地の中でも最も危険な普天間基地を辺野古沖へ移転させるのではなく、直接グアムへ移転するようにするのが勤めではないだろうか。    米国訪問した安倍氏は日米同盟の緊密化をはかられたと胸を張ったが、実態は顔を合わせるなり「もうウンザリだ、沖縄米軍基地移転をいつまで待たせるのか」とオバマ氏に叱られたというのだ。事実、はるばる訪れた同盟国の首相に対してレセプションもなければ昼食会も共同記者会見も何もなかった。空港の出迎えさえ米国政府高官は顔を見せなかった。    そうした恫喝に驚いたのか、参議院選挙後に参加予定だったTPPに対して、安倍氏は来週中にも「ゴーサイン」の結論を出すという。安倍氏は日米同盟とは米国の要請を丸呑みにする関係だと思っているようだ。民主党の鳩山政権がそうしなかったから日米同盟は崩れたと思ったのだろう。実際、鳩山氏は米国による「行政改革要請」を蹴っている。    鳩山氏が最低でも県外、と発言した折、米国政府は普天間基地のグアム移転を検討したようだ。だが、それに慌てた日本の外務省や防衛省の官僚たちが「辺野古沖移設合意を実現する」から辺野古沖移設で押してくれ、と米国政府に要請したという。鳩山氏は面従腹背の日本の官僚たちによって失脚させられたのだ。    それ以後の民主党の菅政権や野田政権は国民の目よりも官僚の目を気にし、官僚に政策を丸投げしてしまった。安倍氏の自公政権は伝統的に官僚丸投げ政権だから、政府と官僚たちの関係はシックリ行くのは当たり前だ。  そして4-6月期に何が何でもデフレ脱却を国民に印象付けるべく円安・株高のアベノミクスを持ち上げるのに足の踏み場もないほどの躁状態に陥っている。  物価高に喘ぐ庶民よりも、数えるほどの正社員の賃上げ会社を宣伝するのに躍起になっている。何が何でも景気回復を印象付けるために涙ぐましい努力をしている。しかし、それがマスメディア本来の役割だろうか。    沖縄の米軍基地を長年取り上げて来ていながら、辺野古沖移設に関して、米軍海兵隊

根拠なく騒ぎ立てるマスメディアを気にせず、政治家の王道を歩むべきだ。

  政治家たる者は根拠なく騒ぎ立てるマスメディアを気にせず、政治家の王道を歩むべきだ。マスメディアは小沢氏の影響力を削ぎ落そうと検察情報を連日「大本営発表」した。民主党の稚拙な内輪の争いもあって、果たして策動したマスメディアの策略通りになると、今度は小沢氏の影が薄れたと揶揄して喜んでいる。  しかしマスメディアに関わる言論人諸氏は現在の政治状況が本当に国家と国民のためになると思っているのだろうか。そうだとしたら飛んでもない話だといわざるを得ない。    現在フィーバー真っ最中のアベノミクスは消費増税導入条件の今年4-6月期の経済状況がデフレから脱したと判断できるものにしようと躍起になっているインフレ策に過ぎない。つまり経済成長により景気が回復し、好況下に起こる自然なインフレによってデフレ経済から脱却でき、国民に担税力がついて消費増税するという道筋なら(それでも消費増税には反対だが)理解できないでもない。しかしまずはインフレ策ありき、というのは本末転倒も甚だしく、到底容認できる政策ではない。    しかし、国会でそうした議論は影をひそめて安倍氏の民主党とは異なる米国との同盟の深化自慢と、マスメディアは安倍政権の取り組むべき争点逸らしに円安と株高を大歓迎で報じ、国民に景気が良くなるかのような幻想を刷り込むのに必死になっている。  大阪中心の地域政党が風を受けた凧のように舞い上がったが、所詮は「大阪都構想」や「道州制」を掲げた行政統治機構の改編を叫んでいるに過ぎない。それでもマスメディアによる応援大合唱によって民主党にとって代わるかのような勢いになったが、それも日にちが経てば鮮度を失った刺身のようになり、悪臭ふんぷんたる状況になっている。    国民生活に必要な政策は未来への投資と、無駄を削ぎ落し官僚利権を撤廃する政治主導の政治を進めることだ。それを掲げているのは政界広といえども小沢氏だけだ。小沢氏のみが2009民主党マニフェストを堅持して国民のための政治を貫いている。  TPP議論に見られるように隷米・売国自公政権にすり寄る維新の会や民主党の一部議員たちは似非・改革派に過ぎない。日本を独立国家たらしめるためには日本の国益中心に政治を進めなければならない。今後とも小沢氏の政治理念実現のために支援を惜しまずネット言論を展開するつもりだ。

安倍氏の言う「未来志向の外交」とは何だろうか。

  安倍氏は朴大統領に電話して「両国の間には困難な問題もあるが、未来志向で協力していこう」と述べたようだ。しかし安倍氏が「未来志向」と言う言葉で誤魔化している中身は乗り越えられるものではない。  電話会談では竹島には触れず安倍氏が朴大統領に訪日を促したのに対して返事をしなかったようだ。これでは「未来志向」と呼びかけた安倍氏の面子は丸潰れだ。    朴大統領が日本に再三再四求めている「歴史認識」とは韓国によって捏造された歴史を認めよ、という強要に他ならない。断じて韓国による歴史上の事実を歪曲する身勝手さを認めるわけにはいかないし、韓国のそうした態度こそが国際社会で韓国が孤立する原因だと気付くべきだ。  米国に対して5000年の歴史ある韓国に対して僅か200年程度しか歴史のない国が大口を叩くな、と発言して顰蹙を買っているというが、当たり前のことだ。韓国に5000年の歴史のないのは明らかだし、韓国の明文化された歴史書も1100年代のものが最初の文書だ。日本が明文化された歴史書「日本書紀」を700年代初期から持つのと比較しても半島が未開の地だったことは明らかだ。    歴史を捏造しているのは韓国の方だ。歴史を史料に基づいて科学的に精査し、国民に真実を教えるのが国家としてのあり方だ。為政者の都合によって歴史が何通りも作られてはたまったものではない。しかし世界には歴史を捏造して国民に信じ込ませて指導者にカリスマ性を持たせようとする愚かな政治家は後を絶たない。韓国と同じ民族の北朝鮮もまさしくそうした国の一つだ。    韓国は「従軍慰安婦」などというフィクションを史実と世界へ向かって強弁し、日本非難の輪を作ろうとしていたがボロが出始めて韓国の主張が怪しいと疑いの眼差しで見られるようになっている。ニューヨーク議会で「従軍慰安婦」に対する日本非難決議は否決されたようだ。今後益々韓国は世界で孤立するだろうが、韓国が歴史認識を改め、竹島から手を引かない限り韓国に日本が協力する必要はない。子供をしつけるには間違ったことをした場合は叱り、間違いをしっかりと認識させることが必要なのだ。

民主党を批判する安倍氏は「領海侵犯船」を撃沈する覚悟はあるのか。同様に2㌫インフレ達成後どうするつも

  国際領海法では領海侵犯船は撃沈して構わない。ただし、その場合は「不審船が領海を侵犯した場合は攻撃する」と宣言していなければならない。  安倍政権は国際的に不審船が領海を侵犯した場合には攻撃する、と宣言するつもりだろうか。さもなくば民主党政権と同様な対応しか出来ない。ただただ停船を求めて拿捕し、日本の法律に従って裁判を行うだけだ。    安倍氏がタカ派だというのは誤りだ。タカ派なら韓国の朴大統領がトンチンカンな「歴史認識」発言と同時に、「歴史的に日本は韓国を植民地化したこともなければ韓国民を抑圧した事実もない」と返答しなければならなかった。  しかし安倍氏は痴呆症にでもなったかのように、従前の外務官僚が前例としている通の「韓国政府に配慮した」玉虫色の発言に終始した。なんとも残念な結果だ。    明確に安倍氏は選挙前の発言と、政権獲得後の発言とではブレている。なぜマスメディアは非難しないのだろうか。そして2㌫のインフレを達成した後、どのようにして平穏な物価水準に戻すつもりだろうか。  かつてバブル時代でもインフレ率は2㌫に達していなかった。わずかに1.2㌫程度だったが、それでも国民生活は物価高に悩まされたものだ。    アベノミクスとマスメディアは持ち上げているが、アベノミクスの出口戦略を誰も提唱していないのは恐怖に値する。なぜなら2㌫のインフレとはすべての物価が2㌫値上がりすることではない。特定の消費品目に数㌫ものインフレが始まれば急激な物価高が国民生活を直撃する。その際、どのようにしてインフレを止めるのだろうか。貯蓄金利を上げれば、当然のことながら国債金利もそれ以上に上げなければ国債消化が国難になる。そうすると国債価値が暴落することになり、国債を大量に買っている銀行や保険会社の資産価値が下落することになる。飛んでもない事態が連鎖反応的に起こるのは火を見るよりも明らかだ。    日銀総裁候補はインフレターゲット2㌫を命に代えても実施すると発言した。しかし出口戦略に関しては一言も発していない。ブレーキのない車に国民を乗せて、思いっきり紙幣増刷というアクセルを踏み込むという。一旦走り出したインフレという暴走を誰も止めることが出来なくては国民生活は破壊されるだけなのだが、恐ろしいことに2㌫インフレ達成後に対して明快な処方箋を誰も示していない。

安倍氏の「歴史認識」を主張する朴大統領への無駄な配慮。

  世界に明確な反日国家は中国と韓国の二国だ。いずれも戦後日本はなけなしの外貨を援助に使い、両国の経済成長の礎の一助を担ってきた。  しかし果実として両国が日本に与えたのは「感謝」の言葉ではなく、さらなる援助を引き出すための「脅し」だった。いずれも同じように「歴史認識」を謳い文句にして、捏造した歴史を日本と日本国民に突き付けて「謝れ」と要求する。    昨年12月の選挙では中国の領土問題や韓国への河野談話見直しなどでタカ派で臨むとしていた安倍氏だが、当選するやたちまち日中、日韓関係の改善を謳いだした。民主党政権ではあれほど「マニフェスト違反」だと選挙中の言動と政権獲得後の政策とを比較して喧々轟々の批判を執拗に繰り返したマスメディアは安倍氏に対しては一切批判せず、明快なダブルスタンダードを演じている。    庶民の生活を直撃する諸物価の値上がりには寛容で、円安と株高こそがアベノミクスだと自公政権を持ち上げるのに忙しい。まだ碌に賃金が上がっていないにも拘らず、食料品やガソリン価格の高騰は貧乏人の暮らしを直撃している。  マスメディアが円安だ株高だと囃しても、一般国民にとってほとんど何の関係もない。ただ消費者物価の値上がりが家計を直撃しているだけだ。それでもインフレだから来年4月から8%消費増税の環境が整った、と宣言されては踏んだり蹴ったりだ。    なぜそうなるのか。経済成長なきインフレだから困るのだ。本来あるべきインフレとは経済成長して景気が良くなり、経済成長率の範囲内でのインフレなら景気によって吸収できるから問題ないが、現行のインフレは景気後退下のインフレで暮らしを益々苦しめるだけだ。  電気料金が原発停止によりガスなどの輸入増で値上げせざるを得ない、などとバカな御用評論家が言っているが、日本の電力各社が購入しているガス料金は1㎥当たり18ドルで、米国のシェールガス4ドルの4.5倍もの高額なガスを購入している。競争なき地域独占会社がいかに出鱈目なカネの使い方をしているか国民をバカにしたものだが、この国のマスメディアは電力会社を批判するよりも原発再稼働へと国民世論を導くのに忙しい。    安倍氏は誰のために政治をやっているのか。財界と米国のために政治をやっているのか、それとも日本の国家と国民の現在と未来のために政治をやっているのか。国民はマスメディアの大応援に誤魔化さ

復興の推進を阻害しているのは中央省庁の官僚たちだ。

  復興を阻害しているのは中央省庁の官僚たちだというのは明らかだ。なぜ復興庁を霞ヶ関に置いているのか。復興すべき現場は東日本にある。そこに復興庁を置いて、復興庁の公務員がそれぞれの現場に出向いて実情を把握し、国としてやるべき必要な措置を復興庁の職員が霞ヶ関に督励する、というカタチにすればもっと復興は進んでいたはずだ。    なぜ復興庁に各省庁の権限を上回る超法規的な権限を与えなかったのだろうか。復興を督励するのは出来上がった平時の行政の仕組みで対処するのは間違いだ。  各省庁にしても平時の仕事がある上に、復興予算まで予算編成時に行うことになれば何がしかの「ご褒美」を潜り込ませようとするのも理解できる。そうしたやり口を認めるわけではないが、自分たちの利権拡大にも役立たない忙しいだけの仕事なら関わりたくない、先送りしたいと思うのがこの国の腐った官僚たちだ。    だから最初から復興庁の職員に各省庁から事務次官と同期の窓際で冷や飯を食っている連中を集めて権限を与えれば良かった。そうすれば彼らは利権にありつこうと目の色を変えて励み、あわよくば復興なった県の参与か副知事に天下ろうと考えるだろう。迅速な復興が機動的に行われるのなら、それも悪いことではない。所詮人とはそうしたものなのだ。聖人君子ばかりではなく、むしろ実利主義の人の方が多数だろう。    被災地の復興が完了しないうちに二年が過ぎ去ろうとしている。時間の経過とともに被災者が故郷に帰れなくなる。たとえ町並みは復興しても、人がいなければ何にもならない。町並みはカネを掛ければ何とかなるが、人に帰郷を促すのは簡単ではない。その簡単なことのはずの事業ですら二年ももたもたして、復興予算だけはチャッカリと復興とかかわりの薄い他の事業に流用している。官僚とは困った存在だ。

TPPの本質も知らないでコメントするコメンテータたち。

  昼食時に見るともなく食堂のテレビを見ていたら、情報番組で「米国が自動車を特例扱いにして欲しい」と言っているようだ、とMCがしたり顔で報じていた。だから日本も農業を特例扱いで「聖域なき関税撤廃」から外すように交渉できるということで、TPPに反対していた農業団体も参加せざるを得ないだろう、というものだった。    そうするとコメンテータの一人が「貿易の自由化は避けられない」と、トンチンカンな論評を加えているのには思わず箸を置いてのけぞった。  TPPの本質は「自由貿易」ではない。「非関税障壁の撤廃」こそがTPPの本質であり、26項目に及ぶ交渉内容をすべて検証して目的が何であるかが解るだろう。    自由貿易はガットなどで達成されている。ただ自国内の様々な政策から関税が各国で設けられていて、その関税が「自由競争」を疎外しているという批判が世界各国間で渦巻いている。  確かに行き過ぎた身勝手な関税は自由貿易のみならず、各国の国内産業の健全な発展をも阻害しかねない。しかしコト食糧に関しては「自由貿易大賛成」とばかりは言えないだろう。食糧は軍事力と並ぶ「戦略物資」に位置づけられている。    しかしTPPは自由貿易とは遥かに遠く乖離した交渉だ。その本質は貿易に名を借りた外国企業(多くの場合は米国の企業)による国家侵略であり、その国の文化と歴史を蔑ろにするものだ。その内容は米国の市民団体によりリークされ、ネットに掲載されているから個々人が詳しく知ることが出来る。    それでもTPPは自由貿易を促進するものだと言うのなら、そのコメンテータは大嘘をついていることになる。国民に大きな影響を与えるテレビの登場人物の見識がその程度では困るのだが、テレビ局はその程度の愚かなコメンテータを画面に並べて、異口同音にTPP促進を主張させる。この国のマスメディアは腐りきっていると言うしかない。