政界のオール与党化現象に苦言を呈す。
投票総数の4割しか得票していない自民党が衆議院で圧倒的多数を占め、他の政党までも自民党に擦り寄っているのが今日の政界図だ。多くの国民は「消費増税」に反対し、「TPP参加」に反対し、「脱原発」を求めていたはずだが、安倍自民党は「消費増税」はデフレを克服するまで実施しないとし、「TPP参加」は聖域なき関税撤廃には反対だとし、「脱原発」に関しても安全確保ができるまで再稼動はしない、とそれぞれの争点を摺り抜けて選挙に大勝した。
すると俄かに本性を現した。「消費増税」のためにデフレ克服というよりも物価値上げを推進してインフレ状態を実現する策に出て、この国のマスメディアもアベノミクスだ、と持ち上げに持ち上げてはしゃいでいる。
TPPに関しても、米国の市民運動家たちのリークによりTPPの実態は企業による国家支配だというのがバレても、聖域なき関税撤廃ではないから参加する、と問題のすり替えを演じて国民を煙に巻いている。原発再稼動も闇雲に進める魂胆は丸見えで、お座なりの原子力安全委員会による安全基準作りを進めている。
安倍政権は国民を裏切ることに全知全霊を賭しているかのようだ。民主党政権の韓国や中国に対する対応をヘナチョコだと批判していたが、いざ政権を獲ると安倍氏は民主党政権以上のヘナチョコ振りを見せている。
韓国に対しては自民党政権の根本的な外交上の汚点たる「河野談話」の見直しすら出来ず、竹島の日の政府公式行事の中止にとどまらず安倍氏の靖国参拝までも封印する有様だ。それでは民主党政権時代と何も変わらないことになりはしないだろうか。中国に対しても同様だ。安倍氏の口先だけのタカ派は前回の首相時代にも発揮されていたが、本人は「安倍は変わった」というのも、口先だけだったことが日々実証されている。
しかしマスメディアの全面支援を受けて実態不明な世論調査で安倍政権は70㌫に達す国民の支持を受けているとされている。すると似非・野党の連中は野党の衣を被っている必要もなくなったとばかりに自公政権に擦り寄っている。選挙までマスメディアが散々第三極と持ち上げた維新の会にしても、結局は自民党亜流政党だったことが露だ。ただ一人橋下氏だけが大阪で吼えているが、国会議員たちは東京のことは東京に任せろと意に介さない。
風にそよぐ葦、ではないがマスメディアに踊らされる野党政治家たちは参議院選挙でもバラバラ対応で自公政権を利するつもりのようだ。この国にマトモな野党は生活の党のみだが、マスメディアは徹底して無視している。
安倍隷米政権がよほどマスメディアのお気に入りなのだろう、何も批判しないでひたすら安倍政権ヨイショに専念している。まさしく幇間マスメディアだ。戦前のマスメディアもかくありきか、と髣髴とさせる気味悪さだ。この国の報道の自由は報道する側の勝手気侭であって、真実を知る国民の権利を担保するものではない。
自公政権に関する報道が5割なら、自公政権を批判する勢力の報道が5割なければならない。それは自公以外の政党を足して5割ではなく、自公批判政党の報道が5割に達しなければならない。ゴミのような自民補完政党のことは自公政党の5割の内に含めることだ。そうしてはじめてバランスある報道といえるだろう。