企業は原点を忘れてはならない。
<026年3月12日、ホンダ(本田技研工業)は四輪電動化戦略の見直しに伴い、北米で生産予定だったEV3車種の開発・発売を中止すると発表しました。同時に、関連損失が最大2兆5000億円に達する可能性があること、2026年3月期の連結業績が上場以来初の赤字に転落する見通しであることを明らかにしています。 2021年に三部敏宏社長のもとで「2040年に新車販売のEV・FCV比率を100%にする」という大胆な目標を掲げたホンダ。あれから5年、その戦略は大きく方向転換を迫られることになりました。何が起き、何が問題だったのか。そしてこれからホンダはどこに向かおうとしているのか。公式発表資料をもとに整理してみました。 ホンダ決算関連資料 ホンダ 2026年3月期 決算修正の要点 ホンダは取締役会において、北米で生産予定だったEV3車種、「Honda 0 SUV」「Honda 0 Saloon」「Acura RSX」の開発・発売中止を決定しました。この「0(ゼロ)シリーズ」は、ホンダが次世代EVの柱として開発を進めてきたモデル群であり、2026年に北米市場に投入される予定でした。 これに伴い、2026年3月期の通期連結業績予想が大幅に下方修正されています。 項目修正前(2月10日公表)修正後売上収益 21兆1,000億円 21兆1,000億円(変更なし) 営業利益 5,500億円(黒字) ▲2,700億〜▲5,700億円(赤字) 親会社帰属当期利益 3,000億円(黒字) ▲4,200億〜▲6,900億円(赤字) EV関連損失(今期+来期合計) ─ 最大2兆5,000億円 売上収益は据え置かれていますが、営業損益は最大1兆1,200億円もの下振れとなり、一気に赤字圏に沈みます。前期(2025年3月期)の営業利益が1兆2,135億円、営業利益率5.6%だったことを考えると、わずか1年での激変ぶりが際立ちます。 「上場以来初の赤字」という報道のインパクトは大きいですが、冷静に中身を見る必要があります。2.5兆円の損失のうち、現金支出を伴わない減損・除却損が相当部分を占めています。 ホンダの手元現金は約4.3兆円、自己資本比率は60%。財務的に追い詰められていというよりは、「将来への投資の見通しを変えた」という性格のほうが強いと言えそうです。 ホンダの選択と躓いた背景 こ...