命懸けで熊猟に取り組む人たちに、行政は充分に報いて来ただろうか。
<神奈川県秦野市は20日、市内の弘法山公園付近に出没していたツキノワグマを捕獲したと発表した。19日夜に箱型のわなに入り、20日午後に耳に識別タグをつけられて、丹沢山地の奥地へ放たれた。
市によると、ツキノワグマは11日に権現山バードサンクチュアリ内で目撃情報があって以来、13~18日に複数回、公園内に設置したカメラに撮影されていた。19日夜、設置したわなに入る様子がセンサーカメラに映った。
20日朝、市職員らが麻酔を打ち、体長1・35メートル、体重101・3キログラムの雄と確認。県鳥獣被害支援センターの専門員が、これまで出没していた個体と同一だと判断した。
小学生などの登下校時の見守りや集団下校、広報車の巡回などの対策は、他の個体がいないことを数日間かけて確認した上で終わらせる>(以上「毎日新聞」より引用)
市によると、ツキノワグマは11日に権現山バードサンクチュアリ内で目撃情報があって以来、13~18日に複数回、公園内に設置したカメラに撮影されていた。19日夜、設置したわなに入る様子がセンサーカメラに映った。
20日朝、市職員らが麻酔を打ち、体長1・35メートル、体重101・3キログラムの雄と確認。県鳥獣被害支援センターの専門員が、これまで出没していた個体と同一だと判断した。
小学生などの登下校時の見守りや集団下校、広報車の巡回などの対策は、他の個体がいないことを数日間かけて確認した上で終わらせる>(以上「毎日新聞」より引用)
「弘法山公園で目撃のクマ捕獲 識別タグつけ山奥へ 神奈川・秦野」との見出しに強い違和感を覚える。なぜなら弘法山公園は市街地に囲まれた小高い丘だからだ。山奥へ放ったというが、山奥から市街地に囲まれた丘に出て来た熊が再び出て来ない保証などない。
確かに神奈川県の弘法山は広義では丹沢山地(丹沢山塊)の南端・前衛にあたりるが、丹沢山地から南東へ派生する尾根上にある独立した低山・丘陵だ。尾根が続く北東を除く周囲は市街地に囲まれている。もちろん小学校や保育園なども弘法山麓からほど遠くない場所にある。
いわば弘法山公園は里山と云っても良いだろう。そうした里山に出る熊は奥山の縄張り争いで敗れた熊か、子熊を抱えた熊が雄熊に襲われないように里山へ出てくる場合が大半だ。今回の熊は雄の成獣だから、奥山の生存競争から脱落した熊だ。だから奥山で放たれても奥山に居着くことは困難だと見るべきではないか。
つまり奥山に放ったとしても、再び弘法山に戻ってくる可能性は可なり高いと思わざるを得ない。記事には標識タグを付けてはなったとあるが、GPSを付けたとは書かれていない。なぜ奥山に放つ判断をしたのだろうか。神奈川県では丹沢山地の熊の個体識別調査を終えているのだろうか。どれだけの熊が丹沢山系に生息していて、それらが生息するのに充分な餌が山にあるから丹沢系の奥山に放てば弘法山には出てこないと判断したのだろうか。
そもそも神奈川県では熊をはじめ、野生動物の個体識別調査をしているのだろうか。どの野生動物がどの範囲にどれだけ生息しているのか、調査した上で自然保護活動をしているのだろうか。以前テレビで長野県の奥山の一角だけで数百頭の鹿が群れている映像が放映されたが、それだけの群れが移動すれば、その後には草葉や木の芽が食い荒らされるのは当たり前だ。
それでは長野県は治山治水事業の一環として野生動物の調査と捕獲活動をしているのだろうか。そのための狩猟補助金や予算措置をシッカリと講じているのだろうか。まさか、未だに緊急銃猟(市街地等での例外的な発砲)に関する施行措置法を制定していないのではないだろう。当然ながらクマなどの有害鳥獣が人の生活圏に出没し、迅速な捕獲が必要で人に弾丸が届く恐れがない場合、改正された鳥獣保護管理法に基づき、市町村の判断や責任のもとで警察の許可なく猟銃を使用できる法律を用意しても、実際に猟銃を持つ者がいなければ何にもならないし、たとえ猟銃を持っていても日頃訓練していなければ実際には役に立たないだろう。
いうまでもなく、猟銃免許所持者は高齢化している。行政は若い世代の猟銃免許取得をどのように考えているのか。猟友会の善意に頼っている時代は過ぎ去ったと考えるべきだ。行政として住民の安全確保のために何をなすべきか体制造りをすべきではないか。
さらに猟銃もタダではないし、弾丸もタダではない。若い猟師なら仕事を休んで猟に参加しなければならないが、その休業補償をどのように考えているのだろうか。あるいは猟師を準公務員として、様々な出張手当や障害保険を掛けているのか。いうまでもなく、熊猟は命の危険がある。命懸けで熊猟に取り組む人たちに、行政は充分に報いて来ただろうか。