ロシア軽油の購入は米国大統領の権威を失墜させる愚行でしかない。

<米国のトランプ大統領は16日、ロシアへの経済圧力を強める制裁法で、露産エネルギーを輸入する主要国に課す100%の関税適用を見送る大統領令に署名した。11月に中間選挙を控えるトランプ政権は、エネルギー価格高騰に神経をとがらせており、軽油供給にも合意したロシアへの融和姿勢を鮮明にしている。

 18日に発動が迫っていた制裁法は、露産の原油・天然ガスの輸入が多い上位5か国からの輸入品に対し、関税を課すものだ。中国やインドの露産エネルギーの輸入を減らし、ロシアの戦費を支える資金源を断つ狙いがある。トランプ氏が9月に署名し、成立していた。
 大統領令によると、ロシア製品に対する500%の追加関税を含めて適用を見送る。免除することが「米国の国益にかなう」とする文書を米議会に提出したという。免除期間は「適切と判断するまで」として明記しなかった。
 トランプ政権は、対イラン軍事作戦の長期化に伴い、高止まりするエネルギー価格の抑制に躍起になっている。制裁の見送りについては、露産燃料を流通させ、市場価格の上昇を防ぐ狙いがあるが、身内の共和党を含む上院議員から批判も出ている。
 米露の経済協力を担当するロシアのキリル・ドミトリエフ大統領特別代表は17日、X(旧ツイッター)への投稿で「重要かつ真に歴史的な瞬間だ」と歓迎した>(以上「読売新聞」より引用)




「エネルギー高騰に神経とがらすトランプ氏、対露制裁追加見送り…共和党議員からも批判の声」との見出しに、トランプ氏の対ロ政策のブレ具合の酷さに唖然とする。対ロ経済制裁を呼び掛けた張本人が経由不足に陥るとロシアから軽油を輸入するという。これでは同盟諸国に対して示しがつかないではないか。
 なぜ米国内の産油企業に増産要請し、軽油高騰に対して補助金支出を大統領権限で実施しないのだろうか。それくらいの予備費はトランプ関税で溜め込んでいるはずではないか。そうすればプーチンに愛想笑いする必要はないし、西側諸国の機嫌を損ねることもない。

 ロシアは戦費調達に四苦八苦している。それも欧州各国がロシアからのパイプラインのバルブを閉めたからだ。そのため欧州各国は燃料費高騰に苦しんでいるが、ロシアの軍事脅威から祖国を守るために一致団結している。もちろん米国民もそれを知っているため、シェールオイルの増産に反対しなかった。
 そうした対ロ経済制裁の輪を自ら壊す判断をしたのみならず、プーチンの機嫌まで取っている。これでは西側諸国の盟主たる米国大統領の名が泣くだろう。米国民はそれでもトランプ氏を支持するのだろうか。

 トランプ氏の酷さは政策が首尾一貫してないことだ。イランを攻撃したと思ったら中止して様子見をしてみたり、「来週にも停戦が成る」と発言したが、それから半年も経過していること。対中経済制裁を呼び掛けて中国を締め上げるかと思えば、依然として米国が対中貿易額で断然トップであり続けている。しかもトランプ関税を課して世界の自由貿易体制を壊したが、その一方で習近平氏と取引していることなど、彼の政策には一貫性が殆どない。
 就任以来、大統領令を乱発した「大統領令大好き」大統領であるなら、今度も大統領令にサインして高騰した軽油やガソリン価格の引き下げ補助金を支出すれば簡単に片付くではないか。中間選挙で共和党が勝てば70万円を配る、といった米国民を買収するかのような、また米国民は買収に応じる国民だとみなすような公約は米国民を馬鹿にしてはいないか。それこそ公明正大な選挙買収ではないか。

 高市総理大臣はガソリン価格高騰が物価全般に及ぼす影響が大きいと判断して、石油元売り各社にガソリン価格引き下げの補助金を支出している。それによって日本のガソリン価格は西側諸国の中でも比較的低く保たれている。
 米国民が驚くほどガソリンや軽油価格が高騰したなら、ホワイトハウスは価格引き下げの補助金支出に踏み切れば良い。対ロ制裁を抜け駆けするような無様な取引をすることはない。それこそ米国大統領の権威を失墜させる愚行でしかない。

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