ドローン兵器に関しても国際的な制約を議論すべきではないだろうか。

<ウクライナ戦争の様相を空から一変させてきたドローンが、今度は地上での攻撃の在り方を変えようとしている。
 ウクライナ東部ドネツク州のリマン周辺で行われた反攻作戦「ビバルディ」で、ウクライナ軍の大型爆撃ドローンが爆発物を搭載した自爆型の地上ロボットを、ロシア軍の戦線から10キロ以上奥まで運搬。地上に降ろされた小型ロボットがロシア軍の防御を攪乱し、ウクライナ部隊の前進を後押しした。
 ウクライナ第3軍団司令官のアンドリー・ビレツキー准将によれば、地上配備型ロボットシステムを空から投入したのは世界初。同国メディアも、地上ロボットを空輸した前例はあるが、爆発物を積んだ機体をこれほど遠くまで運んだ例はないと伝えた。
 この戦術は戦争での無人兵器の活用が一段と高度化している実態を示している。今やドローンは単なる偵察ツールや兵器ではない。別の無人機を危険極まりない場所に投入することも可能だ。
 ウクライナ軍はビバルディ作戦で2つの集落を解放し、さらに1つを確保。約50平方キロを奪還した。軍事アナリストのミック・ライアンは「この戦争は新たな段階に入りつつあるか、既に入っているのかもしれない」と述べた。>(以上「NEWSweek」より引用)




 いよいよ未来戦争が現実のものに名ロアとしている。「ウクライナ軍「自爆型ロボット」を地上戦に投入、初の作戦に成功…ドローン戦争は新たな次元に」との見出しにウクライナ戦争による兵器の長足の進歩を実感する。
 ドローン兵器が空から自爆型で突入するのを専らにしていたものから、敵の前線から10kmも後方の地上に降ろされた自走型攻撃ドローン兵器が敵を攪乱するという。これほど始末の悪い兵器はないだろう。

 空挺部隊なら降下させた兵士の安全を確保しなければならないが、自走型攻撃ドローンなら安全確保の必要はない。それどころか降下地点から敵の戦線近くに移動して自爆すれば良いのだから、これほど簡単なことはない。
 たとえ移動中に発見されても、そのまま突撃すれば良いから機動性が失われることはない。しかも後方へ向けて射撃するのは兵士にとってかなりの困難を伴う。なぜなら機銃の台座を180°展開させなければならないし、前方の敵に背を向けることになるからだ。しかも後方の味方の支援部隊に向けて銃を発射するわけだから、心理的な抵抗もあるだろう。

 たとえ上手く殲滅させたとしても、敵兵の数が減少するわけではない。自走型ドローン兵器はあくまでもドローンでしかない。携行ミサイルを発射すればランチャーは空になる。迫撃砲を使えば、それだけ弾薬を消耗する。前線部隊にとっていずれも痛い損失だ。
 今後、自走型攻撃ドローンが改良されて指令AIドローンと兵隊ドローンと組織的な攻撃が出来るようになると、かなり厄介で強力な兵器になるだろう。戦場での戦略と常識が大きく変化して、塹壕戦などなくなるだろう。そのうち敵味方の自走型攻撃ドローン兵器が戦うようになるだろう。地形や障害物を見分けて、地上を前進するのが良いか、自走型攻撃ドローンに積載している自爆ドローンを発射して敵陣地のドローン兵器を破壊する作戦もありうるだろう。

 もはや戦争もSF小説のようになってきた。それはすなわち残虐な行為も機械的に処理する可能性が高まったことでもある。既に抵抗できなくなった負傷者に対しても「敵を殲滅せよ」とプログラムされたドローン兵器は平然と銃口を向けるだろうし、自爆装置を起動させるだろう。そうした戦争法に定められた人道的な処遇の兼ね合いはどうなるのだろうか。
 ただ市民を殺傷してはならない、とプログラムすれば、兵士は軍服を脱いで私服を着るようになる可能性がある。それは「便衣兵」は戦争法違反との条項に当てはまるが、ドローン兵器が抗議することはできない。敵味方の自走型ドローン兵器が入り乱れての地上戦で、ドローン兵器はどのようにして敵・味方を識別するのだろうか。

 想像するだけで背筋が寒くなる。戦争とは残酷なものだが、兵器の進歩が個々人が個々人を狙い撃つ戦争から、破壊兵器が遠隔地から敵陣地を破壊するようになって戦争の悲惨さを直接実感しないようになった。しかし戦場の残酷な実態が変わったわけではない。
 ドローン兵器が兵士の代理として戦場で殺傷するようになっても、戦争の惨たらしさが無くなるわけではない。むしろ戦場から人がいなくなることで、機械的な大量殺人がますます日常的になるのではないかと危惧する。核兵器だけでなく、ドローン兵器に関しても国際的な制約を議論すべきではないだろうか。

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