「権不十年」
<福岡県議会での金銭授受疑惑と高額な海外視察の実態解明に向け、超党派の議員9人が提出した調査特別委員会(百条委員会)設置議案の採決が17日未明の本会議で行われ、賛成多数で可決された。
地方自治法に基づく百条委は関係者の出頭を命じる強い権限を持ち、正当な理由のない証言拒否や虚偽証言には罰則がある。議案によると、委員は議員15人で構成し、調査期間は来年2月末までとしている。
福岡県議会の9月定例会は16日が閉会予定日だったが、百条委の設置議案を巡る攻防が深夜までもつれ込み、会期を17日まで1日延長した。>(以上「読売新聞」より引用)
地方自治法に基づく百条委は関係者の出頭を命じる強い権限を持ち、正当な理由のない証言拒否や虚偽証言には罰則がある。議案によると、委員は議員15人で構成し、調査期間は来年2月末までとしている。
福岡県議会の9月定例会は16日が閉会予定日だったが、百条委の設置議案を巡る攻防が深夜までもつれ込み、会期を17日まで1日延長した。>(以上「読売新聞」より引用)
「福岡県議会、百条委員会の設置議案可決…金銭授受疑惑と海外視察の実態解明に向け」との見出しに福岡県議会が正常化への第一歩を踏み出したと安堵する。しかし決議されたのが午前四時20分だったとは、呆れるばかりだ。いったい誰が百条委員会設置に反対して、設置法案審議が長引いたのか。それこそ、福岡県民は県議会議事録をしっかりと確認すべきだ。
もちろん議会が率先して行政に関する疑義を正すべく設置される特別委員会が百条委員会で、その設置は地方自治法第100条に基づいて行われる。その目的は議会で起きた不祥事の真実を明らかにして被疑者を「告発」するものだ。現在、福岡県議会を巡る「嫌疑」は県会議長選任に関する「献金」を実力者に支払った、とする元県会議長と、貰ったことはないと主張する県議会実力者とで正反対の見解が対峙している。
その嫌疑を少しでも正そうとする動きから、福岡県議会は第三者委員会を設置して、関係者から聞き取りを行っている。しかし県議会議員が自ら委員となって、県議会の不祥事を解明しようとする動きになかなかならなかった。それは県議会実力者が県議会最大会派の自民党議員団を牛耳っていたからでもある。
その他にも数々の常軌を逸した県会議員としてはあるまじき所業が報じられて、福岡県議会に対する福岡県民のみならず、全国の有権者から厭きられ信頼失墜に到っている。こうしたことから、ついに福岡県会議員諸氏も県議会の信用と信頼を取り戻すべく自浄作用が働いたものと思われる。
それぞれの都道府県議会にそれぞれのドンと呼ばれる実力者がいる。その存在は決して好ましいものではない。なぜなら実力者の実力者たる力とは多選により最大会派を牛耳っていることだからだ。
当選を繰り返して数十年に渡って県議会に籍を置いていると、自然と執行部や行政職員と親密になる。親密になることから癒着が起きて、様々な便宜を働くようになり、持ちつ持たれつの関係へと変貌する。それを「実力者」と総称しているに過ぎない。つまり多選こそが弊害の最大要因だ。
都道府県のドンと呼ばれている人物を見るが良い。すべて多選議員で、議会の主と呼ばれている人たちだ。淀んでいる水が腐るように、人もその地位に長くいると腐敗する。だから米国大統領は二期八年までとされている。ただ議会議員に重任制限はない。
日本では総理大臣をはじめ地方自治体の首長や議員に多選制限はない。それは首長や議員に立候補する人物を信頼しているからだ。かつて熊本県知事を務めた細川護熙氏は「権不十年」の言葉を残して、二期八年で熊持県知事を辞した。「権不十年」とは「花無十日紅 権不十年久」(花に十日の紅なし、権は十年久しからず)という中国の言葉から「権力を握って10年も経てば必ず腐敗する」という意味で用いられる。だから中国の国家主席は一期五年二期十年までとされていた。
数十年にわたって議員を続けている人物は必ず腐敗している部分がある。人が初心を忘れず社会や国家に貢献することは容易なことではない。概して人は誘惑に弱い。ことに金品と色香の誘惑に弱い。数々の誘惑に袖を引かれても、毅然として初心を貫くことは困難だ。議員として自分が誘惑に負けたと思ったなら、潔く議員を辞すべきだ。それが本人の名誉のみならず、彼に連なる人々の名誉を守ることだからだ。