英国のブリティッシュ・スチール国有化は当然の措置だ。
<英政府による鉄鋼大手ブリティッシュ・スチールを国有化に「強い不満」を表明し、英国に対して「国際ルール」を順守するよう求めた。
中国鉄鋼メーカーの敬業集団が2020年に経営難のブリティッシュ・スチールを買収した。
だが、敬業集団が2025年春にイングランド北部スカンソープにある英国内で最後の高炉を有する製鉄所について、財務的に存続不可能だとして閉鎖を示唆した。
これを受けて英政府が介入し敬業集団から管理権を取得し、今年5月にブリティッシュ・スチールを完全国有化する方針を表明した。
15日にブリティッシュスチールが国有化されたのを受け、中国商務省は声明で英政府に対する「強い不満」を表明した。
同省は、英政府が「国家安全保障を口実に」ブリティッシュ・スチールを「強制的」に接収したと非難。
「中国は英政府に対し、関連する国際ルールを順守し、英国における中国資本企業を公平かつ平等に扱うよう求める」と付け加えた。
敬業集団は今年6月、英政府が製鉄所の管理権を引き継ぐ前に行った投資による損失について、英政府に損害賠償を請求した。
英政府は、かつて隆盛を誇った同国の鉄鋼産業が衰退する中、スカンソープ工場が閉鎖されれば、英国の長期的な経済安全保障に対する脅威になると判断した>(以上「APF」より引用)
中国鉄鋼メーカーの敬業集団が2020年に経営難のブリティッシュ・スチールを買収した。
だが、敬業集団が2025年春にイングランド北部スカンソープにある英国内で最後の高炉を有する製鉄所について、財務的に存続不可能だとして閉鎖を示唆した。
これを受けて英政府が介入し敬業集団から管理権を取得し、今年5月にブリティッシュ・スチールを完全国有化する方針を表明した。
15日にブリティッシュスチールが国有化されたのを受け、中国商務省は声明で英政府に対する「強い不満」を表明した。
同省は、英政府が「国家安全保障を口実に」ブリティッシュ・スチールを「強制的」に接収したと非難。
「中国は英政府に対し、関連する国際ルールを順守し、英国における中国資本企業を公平かつ平等に扱うよう求める」と付け加えた。
敬業集団は今年6月、英政府が製鉄所の管理権を引き継ぐ前に行った投資による損失について、英政府に損害賠償を請求した。
英政府は、かつて隆盛を誇った同国の鉄鋼産業が衰退する中、スカンソープ工場が閉鎖されれば、英国の長期的な経済安全保障に対する脅威になると判断した>(以上「APF」より引用)
「中国、英政府の鉄鋼大手国有化に強い不満表明「国際ルール順守せよ」」とは、どの口が言う。国際ルールを最も無視している国が中国ではないか。国家の基幹産業を英国が死守した、というのはあながち批判されるべきではない。
「鉄は国家なり」とはドイツ宰相ビスマルクの言葉だ。ビスマルクは議会で「現在の問題は演説や多数決によってではなく、鉄と血によってのみ解決される」と述べ、武力と工業力の重要性を強調した。日本では伊藤博文が1901年に官営八幡製鐵所(現・日本製鉄)の火入れ式で同様の言葉を用いた。当時は兵器製造に鉄が欠かせなかったため、鉄の増産に国運を賭けていた。
現在でも「鉄は国家なり」に変わりない。すべての製造業の根幹を支えるのは「鉄」だ。その鉄鋼大手ブリティッシュ・スチールを中国国営企業が買収したが、その主力工場を閉鎖しようとしたことから英国が国有化した。極めて当然の判断ではないだろうか。
米国のUSスチールを日本製鉄が買収する際に米国中で反対運動が起きた。トランプ氏まで乗り出す事態になったが、すべてを勘案した結果、日本製鉄が買収した方が米国のためになる、と米国政府は判断して買収阻止から手を引いた。果たして日本製鉄がUSスチールを買収後、主力製鉄工場に乗り込んで機械や設備を点検すると使い物にならないものが半分以上もあったという。日本製鉄は高い買い物をしたわけだが、それでも米国民は同盟国・日本の企業による買収を歓迎しなかった。
英国のブリティッシュ・スチールが中国国営企業により閉鎖されたなら、果たしてどうなるか。現在でも中国はレアアースなど世界のサプライを握っている供給国の立場を梃子に輸出先の国に圧力を掛けている。そうした前例・前科のある国に鉄を握られることがいかに危険か、想像するまでもないだろう。
引用記事では「中国は英政府に対し、関連する国際ルールを順守し、英国における中国資本企業を公平かつ平等に扱うよう求める」と声明を発表したようだが、どの口が云うかと批判するしかない。中国こそ国内供給過多の粗悪な鉄鋼を世界中にダンピング輸出し、国際鉄鋼市場を破壊している張本人ではないか。国際ルールをことごとく無視しているのは中国だ。
英国イングランド北部スカンソープにある英国内で最後の高炉を有する製鉄所を閉鎖したなら、後は中国から低品質の鉄鋼が英国に供給されることになる。つまり鉄鋼供給に関して英国は中国の意のままにならざるを得なくなる。それこそ一大事ではないか。
既に名だたる英国自動車企業はすべて外資に身売りして一社も残っていない。産業革命以後、世界の工場として名を馳せた「製造業大国」は見る影もない。しかし「製造業」の根幹たる「鉄」まで製造しなくなれば、英国のモノ造りの火は完全に消え去る。それこそ一大事だ。英国の再起のためにも、モノ造りの火を消してはならない。幕末に伊藤博文は英国に密留学してモノ造り大国を体感した。その経験から明治維新後に官営製造業を各地に興して、モノ造りの火を全国に灯した。