閣議決定された「2026骨太方針」に僅かな光明を見る。

<高市早苗内閣が7月21日に「経済財政運営と改革の基本方針2026「責任ある積極財政」元年—日本の挑戦を起動する!—」(骨太方針2026)を閣議決定しました。
 医療・介護をはじめとする社会保障の予算については、「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」との方針の下で、「給付と負担の改革」を継続するとの考えを示しました。今後の動きに要注目です。

◇医療提供体制改革、医療保険改革に向け、具体的な取り組み内容にも言及
 骨太方針2026では、タイトルにもある「強い経済」の実現に向けて、▼日本成長戦略の推進▼成長基盤の強化▼強い地域経済の構築▼人材力の強化・人材総活躍—に関する戦略的投資・分野横断的な取り組みを進めることを強調しています。
 あわせて「強い経済」と「財政の持続可能性」との両立を図るために、▼国・地方の総債務残高対GDP比の安定的低下を中核に位置付ける▼プライマリーバランスについては、債務残高対GDP比の低下に向けて確認する指標とし、 その安定的低下と整合するよう複数年で管理する▼債務残高対GDP比を安定的に引き下げていく中でも可能となる財政規模を精査し、市場の信認確保に配意しつつ、通年の国債発行額などを具体化する—考えも明確化。
 来年度(2027年度)予算については、これまでの「デフレ・低成長時代の一律抑制型の予算編成」から、「物価・賃金上昇を的確に反映し、経済の成長力強化と名目の経済規模の拡大にふさわしい予算編成」へと転換することとし、社会保障関係費については「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」との方針を明確にしたうえで「給付と負担の改革を継続する」こととしています。
 社会保障に関する基本的な考え方を見てみると、次のような点が目を引きます。
▽強い経済、持続可能な財政と、質の高い全世代型社会保障とを同時に実現する社会保障改革を強化する
▽「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」との方針の下、▼給付と負担の見直しの検討▼安心して必要なサービスを受けることのできる医療・介護提供体制の構築▼DXやAI・ロボティクスの活用を通じたサービスの質の向上▼攻めの予防医療—などに取り組む
▽医療・介護等のエッセンシャルサービスの維持・効率化、質の向上に取り組む
▽社会保障関係費については、「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」との方針の下、国費だけではなく、給付費全体、公費・保険料負担、現役世代の可処分所得などを踏まえ「給付と負担の改革」を継続していく
 さらに、社会保障に関する「給付と負担の改革」の具体的な内容として次のような点にも言及しています。
▽年齢に関わらず能力に応じて公平に負担し合い、必要な方に必要なサービスが適切に提供される「全世代型社会保障」を構築することによって、国民の命と健康、生活を守り、安心して働き、活躍し、挑戦できる基盤を整備する
▽働き方の多様化や女性・高齢者の就労増加に対応し、「働くことが報われる社会保障制度」を目指す。
▽給付と負担の全体像を含む「全世代型社会保障の将来的な姿」を国民に分かりやすく情報提供する。
▽連立政権合意書(2025年10月20日)に盛り込まれた13の社会保障改革項目について合意された具体的な骨子に基づき、2026年度中に具体的な制度設計を行い、順次実行する。
▽経済・物価動向等に適切に対応し、安心して医療・介護・福祉サービスを受けられる体制を整備することとあわせて、社会保障制度改革の着実な実行により「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」ことを目指す
→骨太方針2025と同様、経済・物価動向等を踏まえ、的確な対応を行いつつ、これまでの歳出改革努力を継続し「2027年度の社会保障負担率が2025年度と比較して上昇しない」よう取り組む
▽社会保障制度が果たす機能を損なわないよう配慮しつつ、「社会保障負担率の目標」の検討を進め、これとあわせて、「社会保障改革について2026年度中に改革項目の具体化と工程の明確化を図り、順次実施」する。
 また、医療・介護等分野については、より具体的に次のような取り組みを進める考えを明示しています。今後、来年度(2027年度)の予算案編成に向けて「制度改革」や「取り組み内容の具体化」に向けた議論が関係審議会・検討会などを中心に進んでいきます。

●医療・介護等(主に提供体制)
▽医療・介護・障害福祉等分野の技術発展と普及を支援し、DX/AX、多職種連携を含むチーム医療等による生産性の向上と職員配置の柔軟化に向けた一層の取り組みを図る。
▽医療機関・介護事業所等の「経営情報の見える化」を進め、経営実態を把握した上で、物価と賃金の変動に適切に対応し、経営の安定、処遇改善を図りつつ、社会保障制度改革を着実に実行する
▽経済・物価の動向が2026年度診療報酬改定時の見通しから大きく変動し、医療機関等の経営状況に支障が生じた場合には「2027年度予算編成過程で診療報酬上の加減算を含む更なる必要な調整」を行う
▽次期介護報酬改定等では、経営データベースの整備・活用を含め、 2026年度診療報酬改定における各般の取り組みを参考にしつつ、賃上げの状況や事業者の経営状況等を把握した上で、物価の変動に適切に対応するとともに、他職種と遜色のない処遇改善の実現を図る
▽医療・介護・保育・福祉等分野の必要なエッセンシャルワーカーの確保を含めたサービス提供体制の全国的維持を図るための制度改革に速やかに着手する
▽2040年に向けて「病床数の適正化」を着実に実施した上で、2027年度以降の地域医療構想を踏まえた医療機関の連携・再編・集約化を促進する
▽地域包括ケアシステムの深化を図り、地域の実情に応じた質の高い効率的な医療・介護サービス提供体制を構築する
▽▼妊娠・出産の経済的負担軽減と安心・安全な小児・周産期医療提供体制の両立▼救急医療体制の確保、ドクターヘリの安全で持続可能な運航の確保▼看取りなど人生の最終段階における患者中心の適切な医療・ケア▼訪問看護の適切な実施▼中山間・人口減少地域での柔軟な介護等サービスの提供—を推進する
▽▼かかりつけ医機能の発揮▼医師の地域・診療科偏在の更なる是正策▼大学病院等からの医師派遣の推進を含めた総合的な医師偏在対策▼地域の実情を考慮した2028年度以降の医学部定員の削減—に取り組む
▽医療人材の実効的な養成・確保の方策について検討するとともに、看護職員の質の向上や潜在人材の活用を含む偏在対策等を推進する
▽介護・福祉分野の人材の養成・確保・定着に取り組み、業務効率化や、安全対策を始め勤務環境改善、経営の協働化・大規模化を支援する
▽新たな地域医療構想の下、将来需要を踏まえ、老朽化・災害対策を含む地域に不可欠な施設・設備の計画的な整備への必要な支援の在り方を検討し、介護・福祉分野においても、老朽化・災害対策を含む施設・設備の計画的な整備を支援する

●医療保険・介護保険(主に給付と負担の見直し)
▽70歳以上の高齢者の医療費窓口負担割合について、低所得者等の必要な受診が確保されるよう適切に配慮することを前提として「原則3割となっている現役世代との間で、年齢によらない真に公平な応能負担を実現する観点からの見直し」を行う(改革工程表を2026年末までに策定)
▽介護保険制度では、2割負担の判断基準の見直しについて2026年度中に結論を得る
▽医療・介護保険における金融所得・資産の扱い、 OTC類似薬の保険給付の見直しの施行とその状況等を踏まえた2027年度以降の対象範囲の拡大に向けた検討など、「改革工程」等に基づく取り組みを進める
▽先行バイオ医薬品について、バイオ後続品の普及促進に向けた環境整備の状況を踏まえ、保険給付の在り方の見直しを検討する
▽長期処方やリフィル処方箋の活用、地域フォーミュラリの全国展開、休薬・減薬などの効果的・効率的な治療の促進等により、給付の効率化や適正化を図りつつ、質の高いサービスを提供する
▽市場実勢価格を薬価調査等により的確に把握した上で、創薬イノベーション、医薬品の安定供給と国民負担の軽減の観点から「2027年度薬価改定」を実施する。その際、費用対効果評価制度について客観的な検証を進め、制度の発展に向けた更なる見直しについて具体的に検討し、一定の結論を出す
▽我が国の医薬品市場の魅力を高める観点から、医薬品の画期性に対する初収載時における適切な評価や特許期間中の薬価の在り方を含め、革新的新薬のイノベーションの更なる評価について検討を進める
▽セルフメディケーション推進の観点からの更なる医薬品・検査薬のスイッチOTC化に向けた実効的な方策を検討し、必要な措置を行う

●医療DX関連
▽「医療情報化推進方針」を策定し、医療機関の情報システムの刷新、特定機能病院等の緊急的な対応を含めたサイバーセキュリティ対策を進め、電子カルテ・電子処方箋の普及と情報連携、医薬品等のデータベースの構築、公費負担医療や予防接種・母子保健のデジタル化等、医療・介護に関する情報の連携と2次利用を含む利活用の基盤を構築し、切れ目なく最適なサービスを効率的に提供する

●創薬・先端医療イノベーション
▽創薬・先端医療への官民投資を拡大し、健康医療安全保障を実現する
▽「健康・医療戦略」等を踏まえ、▼革新的な医薬品・医療機器等の創出▼例えば米国の医薬品に係る最恵国待遇(MFN)価格政策などの動きがある中でも「必要な医薬品等が確実に上市される」環境整備▼特定重要物資を含む供給確保の必要性が高い医薬品等の国産化等による安定供給▼先端技術の実用化—を目指す
▽バイオ後続品の国内生産体制の整備等を着実に進める
▽産業構造改革の推進による後発医薬品等の安定供給を図る
▽創薬・先端医療を成長経済の牽引役として、研究開発力や製造・供給の強化、流通体制の強靱化、スタートアップ支援、人材育成、先進医療の対象拡大、国際展開を総合的に推進する
▽全ゲノム解析やiPS細胞等を活用した再生・細胞医療・遺伝子治療、免疫治療、小児・希少疾病用医薬品やRI、薬剤耐性菌を含む感染症対応の医薬品等の研究開発・生産等とともに、創薬・医療機器開発・診断へのAI利活用を推進する
▽国際水準の治験・臨床試験体制を整備し、国際共同治験の倍増を目指す
▽血漿分画製剤の国内自給と小中学生を含めた献血への理解促進に取り組む

●攻めの予防医療と疾病対策
▽「攻めの予防医療」を推進し、健康増進、肥満症を含む疾病予防、早期発見、早期介入および行動変容に関係機関が連携して取り組む
▽がん検診や精密検査の受診率向上、循環器病・糖尿病を含む生活習慣病等の予防、予防・医療・介護を通じた切れ目のないリハビリテーションなどを推進する
▽がん、脳卒中・心臓病その他の循環器病、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患、慢性疼痛、難病、アレルギー、依存症、難聴、睡眠障害等の疾病対策や移植医療対策を推進する
 すでに関係審議会・検討会等で議論が始まっている部分もあり、上記事項については、これから年末(2026年末)にかけて議論・検討が加速していきます>(以上「Gem Med」より引用)




 いよいよ高市内閣が本格的に予算編成する「基本方針=骨分方針」が閣議決定された。「骨太方針2026を閣議決定、「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」との方針の下「給付と負担の改革」を継続!」との見出しで報じられたので、詳細を引用して掲載する。
 しかし着目すべきは「現役世代の社会保険料の上昇を止め、引き下げていく」ことではなく、「財政黒字化目標」なる文言が書き込まれなかったことだ。日本が「失われた30年」を経験して国民が貧困化した根本原因が、まさしく「財政黒字化目標」なる「財政健全化」だった。その財務省による「国民貧困化政策」の文言を高市政権は骨太方針に書き込まなかった。

 ただその個所では「「強い経済」と「財政の持続可能性」との両立を図るために、▼国・地方の総債務残高対GDP比の安定的低下を中核に位置付ける▼プライマリーバランスについては、債務残高対GDP比の低下に向けて確認する指標とし、 その安定的低下と整合するよう複数年で管理する▼債務残高対GDP比を安定的に引き下げていく中でも可能となる財政規模を精査し、市場の信認確保に配意しつつ、通年の国債発行額などを具体化する—考えも明確化」と表現している。
 ただ「強い経済」は解るが「財政の持続可能性」とは何なのか。政府が「積極財政」に転換すれば「財政は持続しなくなる」=「財政破綻する」とでも云いたいのだろうか。まったく財務官僚の頑なまでの頑固さには呆れて言葉がない。これまでも「財政健全化=緊縮財政と国民増税と負担増」の方針を崩したなら、国家財政は破綻してハイパーインフレになる、と御用評論家や御用学者を動員して、オールドメディアで散々布教活動してきた。しかし現実は「財政健全化」財政運営が進めば進むほど、国民は貧困化し国家は衰退した。国債残高は評論家たちが危険ラインと叫んでいた1,000兆円を突破したが、ハイパーインフレになっていない。

 しかし早速オールドメディアには「骨太から「財政健全化」の文字が削除された点などにも触れ、「首相がこれから政策を進める中で、さらに円安が進むだろう。1ドル=165円を突破するようなことになれば、この政権ではもたないという声が大きくなり、党内政局が始まる可能性も」との記事が掲載された。
 このような意味不明な経済の「トバシ記事」には唖然とする。円安になれば海外に移転した工場を国内に戻す絶好の機会だし、国内製造して輸出すれば「輸出奨励金(消費税10%)」があるし、円安で儲けが大きくなる。だから自動車企業などは国内顧客には納品を先延ばしして海外へ輸出している。また「財政健全化」と円安とリンクするような話ではない。むしろウクライナ戦争やイラン戦争などの国際紛争と、年々拡大する日本のデジタル赤字(約6.7兆円から6.8兆円規模)こそが円安の原因だ。したがって、円安が1ドル=165円を突破したら高市政権は持たない、などということはあり得ない。断っておくが、為替相場は単なる流通貨幣の交換比率であって、そこに儲けを入り込ませる投機家がいるから経済原理だけで形成されるのではなく、変な投機相場を形成しているに過ぎない。

 日本経済が成長するためには国民負担を削減し、政府支出を拡大することが基本的な経済政策方針でなければならない。つまり仁徳天皇の「民のかまど」政策を実行することだ。もちろん日銀金利の引き上げは経済成長の足を引っ張るから、引き下げないまでも、再び金利引き上げという愚策をしてはならない。
 何のために経済成長が必要なのか。それは経済成長すれば企業利益の分配率にもよるが、労働者所得が増加するからだ。労働者所得が増加すれば個人消費が増加して更に景気が良くなる。そうした経済成長循環が起きれば税の自然増が毎年のように起きて、社会保障費の現役世代の負担をさらに減額できる。

 経済成長するためには生産性向上が不可欠だから、企業経営者は人手不足解消を外国人労働者に頼るのではなく、定年延長や賃上げにより日本人労働者を確保すべきだ。
 また政府は引き下げて来た法人税を旧来の40%に戻すべきだ。そうすれば企業経営者は労働者分配よりも法人税を払ってでも利益計上して、株主配当や経営者報酬を拡大してきたが、従来の方針を改めなければならなくなる。そこで、政府は企業投資減税や技術・研究費減税などの優遇メニューを準備して企業をコントロールすべきだ。
 まだまだ閣議決定された「2026骨太方針」は明確に経済成長路線に方針転換したとは云えないが、そうした方針転換の光明が見える。オールドメディアは全く触れないが、それは30年以上もなかった特筆すべき方針転換だ。今後の高市内閣に期待したい。

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