政府と国民を分けて考えるべきで、マスコミの責任は重大だ。

　無謀にも北朝鮮が韓国の国境の島へ砲撃を加えた。三代目世襲を世界に発表した直後だけに、政権の権威確立のパフォーマンスと見られるが、その政権確立のために砲撃目標とされた島民と砲撃により戦死した韓国軍人の命の犠牲は余りに大きい。

 

　北朝鮮国民は現政権の失政と政権維持のために、これまでも大勢が餓死させられたり、国際社会に対して門戸を閉ざしたまま金一族のみが繁栄すれば良いとする政策に大勢の国民の自由と人権が踏み躙られてきた。

 

　北朝鮮では幼少の頃から強烈な政権一族への忠誠と服従を教え込まれ、隣国の韓国をはじめ日本や米国を敵として教え込む教育を施している。政権が教育を自在にする恐怖の実例が北朝鮮や中国や韓国や露国にある。日本を敵として教え、日本固有の領土を戦勝により獲得した戦利品として教え込む。露国が勝手に終戦間際に不可侵条約を破って一方的に攻め込み火事場泥棒を働いた事実を国民に教えないため、露国国民も泥棒の片棒を担がされて一向に恥じない。

 

　こうした場合、大きな使命を持つのはマスコミだ。マスコミこそが日本の真実を声を大きくして世界に喧伝しなければならない。マスコミこそが各国の誤った教育と弊害を各国国民に伝える努力をしなければならない。政府が行えば「内政干渉」だが、マスコミが行えば「報道の自由」だ。そのマスコミが戦後、この国に何をしてきただろうか。日本の大新聞社にして日本のマスコミとは思えない排日的な行動に終始してきた報道機関すらある。マスコミを支える言論人として少しは恥を知るべきだ。

 

　北朝鮮の国民は自分たちの政権がいかに国際的に孤立した馬鹿げた存在か知らされていない。そして日々金一族を神格化する教育を無批判にタレ流されている。それに対して日本政府は何も言えないが、民間のマスコミは世界のジャーナリストに対して北朝鮮の真実の姿を伝えなければならない。彼らがいかにテロ行為を国家として推進し、実施し、そして反省していないか。国際社会で絶えず日本のマスコミは日本人拉致の非を鳴らさなければならない。そうした姿勢が本当にあっただろうか。

 

　金一族は今後も自分たちが殲滅されない程度に国際社会、とりわけ隣国諸国に対して攻撃的な態度を取り続けるだろう。そして核兵器を最終兵器として確保し、一族防衛のために最大限利用するだろう。一族が今後も繁栄するためには北朝鮮国民を踏み台にして世界各国のテロリストに核兵器を売り渡すと米国や日本を脅して金を巻き上げようとするだろう。

　ここまで北朝鮮を助長させた大きな責任は中国にある。北朝鮮を中国の安全保障に利用し、今では北朝鮮国内の資源の利権を確保しようと、中国は自分たち共産党政権維持のために北朝鮮の金一族と手を握ってきた。今後もそうして表向きには金一族独裁政権を非難しつつ、裏ではしっかりと手を握って金一族の存続を維持するつもりだろう。それは決して北朝鮮の国民に対して良いことではなく、むしろ背信行為ですらある。

 

　大勢の国民の自由と基本的人権を踏み躙る中国政府と北朝鮮金一族とを日本のマスコミは非難しなければならない。日本のマスコミが存在できる基本原則は報道の自由にあり、それを世界に広めるのが一義的な使命であるはずだ。政権の善悪を論評する以前に、まず自由で民主的な手続きにより政権が国民によって選ばれる政治的仕組みを国民で手に入れることが大前提だ。それを共産党一党支配を是とするような姿勢や金一族支配を是認するような報道姿勢は日本のマスコミの死を意味する、ということを認識しなければならない。ためしに日本の言論人が中国で日本国内と同じように自由な言論を展開してみると良い。菅氏や仙石氏をぼろくそに扱き下ろしている論調で胡耀邦や温家宝を扱き下ろしてみると良い。一日として中国内に止まって言論を自由に行使できないだろう。

　そうした国家と社会に対して決然と対決しない日本のマスコミとは何だろうか。

 

　今も大騒動をして数十発の砲撃を過大に繰り返し報道しているが、事の本質は砲撃そのものではないはずだ。金一族支配を是認してきた日本のマスコミに責任の一端もあるはずだ。日本のマスコミは新聞や週刊誌が売れれば良いとする報道姿勢と、瓦版そのものの哲学なき論説を少しは恥じてはどうだろうか。小沢氏の一件に関しても「政治とカネ」なる馬鹿なプロパガンダを繰り返して小沢氏を政界で無力化する闇の勢力とコミットしているとしか思えない行為を直ちにやめて、真実の報道をすべきだ。本当にこの国の新聞やテレビや週刊誌などの大マスコミは報道の自由という金看板をバカな報道で汚している現実を反省すべきだ。そして国際社会の言論人にもっとしっかりとした哲学に裏打ちされた働きかけを行うべく言論活動を行うべきだ。