EV車は地球環境を破壊する。
<リチウムの価格が足元、数年ぶりの水準に跳ね上がっている。リチウムは電気自動車(EV)からスマートフォンまであらゆるものに搭載される充電式バッテリーに欠かせない原料で、供給確保に向けた競争が激化しているほか、長期的な不足への懸念も高まっている。 調査会社ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス算出のリチウム価格指数は5~11月に2倍に値上がりし、年初来の上昇率は約240%に達した。同指数は5年前のデータ算出開始以降、最高水準にある。 押し上げ要因となっているのが、供給不足が続くとの市場の読みだ。テスラをはじめ自動車メーカーがEV販売を拡大する中で、需要は雪だるま式に伸びている。一方、これまでの弱気相場やサプライチェーン(供給網)の制約を背景に、新規プロジェクト向けの投資は限られており、供給の足かせとなっている。また生産会社は環境破壊を懸念する市民の反対に遭うことが多く、開発許可を得る手続きも非常に煩雑だ。 リチウム自体は世界各地に豊富に存在するが、これをバッテリー原料として使う状態にするには長くて骨の折れる作業が必要で、コストもかかる。市場関係者や法人の買い手が勢いに乗る中、価格は上下に大きく振れやすい。 リチウム・アメリカズのジョン・エバンス最高経営責任者(CEO)は「まるで過熱した不動産市場にいるみたいだ」と話す。同社はネバダ州でリチウム生産を目指す新興企業で、アルゼンチンでも中国の提携先と共同でプロジェクトを所有する。 リチウム・アメリカズはまだリチウムを生産していないが、このところの株価高騰を受けて、時価総額は約40億ドル(約4500億円)まで膨らんだ。 バッテリー・自動車メーカーの間では、足元の高騰で、リチウムを十分確保できずEV需要を満たせない恐れがあるとの不安が出ている。また多くの企業は目下、他の原料や半導体など重要部品の価格高騰にも見舞われている。 調査会社ブルームバーグNEFの分析では、EV全体のコストに占めるコモディティー(商品)の割合はわずかだが、リチウムイオン電池の平均価格を押し上げる可能性がある。実際にそうなれば、少なくとも10年ぶりの値上がりだ。これまではバッテリー価格が急落していたことで、ガソリン車に対するEVの価格競争力が向上していた経緯がある。 リチウム価格の値上がりは、アルベマールをはじめ一握りの企業にとっては大き