国民に背を向け、金融機関に利益をもたらす金利引き上げを急ぐ日銀の愚かさ。
<日銀が17、18日に開く次回の金融政策決定会合で、政策金利を現在の1.0%程度から1.25%程度に引き上げを決める方針であることが8日、分かった。政策金利が1.25%になれば、約31年ぶりの高水準となる。原油高や円安が想定以上に物価を押し上げるリスクに対応する。利上げを決めれば6月会合以来3カ月ぶりで、これまでよりも利上げのペースが加速する。会合まで経済や物価の状況を点検し、最終判断する。
日銀は2024年3月にマイナス金利を解除して以降、おおむね半年に1回利上げを進めてきた。輸入品の価格を押し上げる円安は日米の金利差の影響が大きい。円安是正を求める声が強まり、ペース加速を後押ししたとみられる。
もちろん日銀の金融政策における自主性は日本銀行法で尊重されている。しかし政府の経済政策の基本方針と整合性を図ることも規定されている。それは 日本銀行法第3条第1項により「通貨及び金融の調節における日本銀行の自主性は尊重されるべきもの」と定められているが、同時に 同法第4条では「金融政策が政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、政府と連絡を密にし十分な意思疎通を図るべきこと」が規定されている。つまり日銀は独立性を持ちながらも、政府の政策方針と全く乖離するのではなく、協調性と整合性を保つ関係であるべきと日本銀行法で定められている。
よって 政府と日銀は定期的な会合や意見交換を行い、経済の健全な発展に向けて目標や現状の認識を共有すべきだ。短期的な政治的圧力によって金融政策が歪められないよう手段の独立性が守られる一方で、マクロ経済全体の方針としては政府との調和を日銀側も図るべきだ。
日銀は2024年3月にマイナス金利を解除して以降、おおむね半年に1回利上げを進めてきた。輸入品の価格を押し上げる円安は日米の金利差の影響が大きい。円安是正を求める声が強まり、ペース加速を後押ししたとみられる。
米国が日銀への利上げ圧力を強めていることも背景にある。米国は円安や日本国債の金利上昇が、米国債の金利上昇に波及することを警戒している。ベセント米財務長官は8月31日、米メディアで「日本政府と日銀は円高につながる措置を講じると確信している」と述べ、日銀の利上げ判断に圧力をかけていた>(以上「共同通信」より引用)
「日銀、今月の会合で利上げへ ペース加速、1.25%に」との見出しに日銀の金融業界ベッタリで国民生活無視の姿勢が露になっている。だがオールドメディアには「日銀金利引き上げ大歓迎」のオンパレードだ。さすが、国民がスポンサーの広告はないが、銀行や生保・損保はオールドメディアの主要スポンサーだ。だから銀行など金融業界が潤う金利引き上げに反対するオールドメディアは皆無だ。
そうしたオールドメディアの懐事情に忖度してか、テレビの報道番組に出演しているコメンテータ諸氏まで「物価高騰を鎮静化させるため」だとか「円安是正のため」だとか「ベッセント米財務省の「日本は金利引き上げしろ」との要請を受け入れて金利引き上げすべき、との論調で一色に染まっている。なんと愚かな連中だろうか。
直近(2026年7月分)の日本の全国消費者物価指数(CPI)の総合指数は2025年を100として102.0となり、前年同月比で1.9%の上昇でターゲットとしている物価上昇2%にも達していない。季節で変動幅の大きい生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)では102.1(前年同月比 +1.8%)で、決してインフレ状態ではない。
さらに日銀の主要業務は「物価の安定」と「金融システムの安定」を目的としている。そのために所管とされている業務は主に以下の3つの役割が定められている。
〇 日本で唯一、紙幣(日本銀行券)を発行・管理・流通させる権限を持つ。
〇 民間金融機関(銀行、証券会社、短資業者など)から当座預金を預かり、資金の貸出や決済システム(日銀ネット)を運営・管理する。
〇 民間金融機関(銀行、証券会社、短資業者など)から当座預金を預かり、資金の貸出や決済システム(日銀ネット)を運営・管理する。
〇 国の資金(国庫金)の管理、税金や年金の受け払い事務、国債の発行・管理に関する事務を管轄する。
つまり為替相場は日銀の所管ではない。よってベッセント財相が日銀の金利引き上げによる「円高」誘導に言及したからと云って、日銀が金利引き上げする必要性は全くない。むしろベッセント氏の発言は内政干渉に当たると抗議すべきものだ。
ベッセント氏の発言の真意は円安によりトランプ関税の効果が実質上無に帰すことに対する懸念からだ。何も日本の円安を心配しての発言などでは断じてない。むしろ高市政権が2027年度予算から本格的に始動させる「積極財政」による経済成長戦略にとって金利上昇は冷や水を浴びせるものでしかない。
よって 政府と日銀は定期的な会合や意見交換を行い、経済の健全な発展に向けて目標や現状の認識を共有すべきだ。短期的な政治的圧力によって金融政策が歪められないよう手段の独立性が守られる一方で、マクロ経済全体の方針としては政府との調和を日銀側も図るべきだ。
日銀法を紐解いたこともないようなコメンテータ諸氏がテレビ局などオールドメディアの方針に沿ったコメントをモノノ見事に異口同音に並べ立てるのにはウンザリする。「失われた30年」から決別して経済成長する日本を取戻すのに必要なのは積極財政であると同時に民間マネーを増大させる企業投資が盛んになることだ。それを邪魔する日銀金利引き上げ「見通し」を日銀委員が匂わすとは。彼らもまた財務省のポチでしかないのか。