中国の「元」に群がっていた後進諸国の「縁の切れ目」が現実のものになろうとしている。
<◇3つの対中措置
習近平国家主席の9月の訪米を前に、トランプ米政権は中国に圧力をかける政策を相次いで打ち出している。
最初の措置は、ベッセント財務長官が8月24日に発表したイランに対する「経済的追放作戦」だ。イランの核・ミサイル技術の調達や原油輸送、サイバー攻撃などに関与した個人・法人など約60件が制裁リストに加えられたが、その中に中国や香港の仲介業者や個人が含まれている。
トランプ米大統領は27日、イランとの関係を理由に中国の金融機関を対象とした制裁を準備している可能性も示唆した。この制裁が発動されれば、中国経済への打撃は避けられないだろう。
2つ目の措置は、米国の電力網に関する規制強化だ。
トランプ氏は26日、「外国製の大容量電力設備が米国の安全保障を脅かす」として国家非常事態を宣言した。直接の言及はなかったものの、中国製の電力設備が念頭にあるのは言うまでもない。
3つ目の措置は、サイバー分野だ。米司法省と連邦捜査局(FBI)は26日、中国政府と軍を名指しし、攻撃に使ったとされるハッキングプラットフォームを遮断した。
◇欧州も強硬へ、強まる「中国包囲網」
「このような状況下では首脳会談は実りあるものにならない」との観測から、ワシントン界隈では「習氏の訪米が流れるのではないか」との噂が流れているほどだ。
中国への圧力強化は米国ばかりではない。
ロイターは28日、「ドイツの産業界がメルツ首相に対し、中国政府との協議で、不正競争の問題で強硬な姿勢をとるよう圧力をかけている」と報じた。
これまで中国に融和的だったドイツ政府の姿勢が変われば、10月に予定されている協議の場で、欧州連合(EU)の中国への態度が厳しくなるのは確実だ。
輸出で糊口をしのぐ中国経済だが、欧米諸国を中心に「中国包囲網」が日に日に強化されている感がある。
◇内需の低迷と広がる不安
中国国内に目を転じると、内需の低迷は相変わらずだ。
中国自動車大手BYDが28日に発表した今年上半期決算は、同期間として5期ぶりの最終減益となった。内需の停滞と競争激化で販売が落ち込み、在庫は過去最高水準に膨らんでいる。
中国で運転免許をとる人が減っていることも気がかりだ。新たに免許を取得した人の数は2015年の3613万人から昨年には2051万人に減少した。10年間の減少幅は43%だ。少子化に加え、若者の懐事情の厳しさが影響している。
「自動車離れが始まった」と叫ばれた1990年代の日本を彷彿とさせる現象である。うなぎ上りで伸びてきた中国の自動車市場も「今は昔」だ。
中国では「食の安全」への懸念が再び広がっている。
中国政府は26日、福建省厦門(アモイ)市の企業が飲食店の消毒に違法な殺虫剤を使用したとみられる問題について、中央の作業チームを立ち上げて現地の調査と行政指導などを行うと発表した。
中国では8月に入り、鮮度を維持するために発がん性があるとされるホルムアルデヒドを含む溶液に浸した白菜が出荷されたことも問題になっている。
「貧すれば鈍する」ではないが、業績悪化に苦しむ中国企業がこの種の問題を引き起こすのをくい止めるのは難しいのではないかと思えてならない。>(以上「現代ビジネス」より引用)
「習近平訪米を前に米国が制裁を連発…「中国包囲網」が強まるなか、BYDも減益に沈む中国経済の厳しすぎる現状」と題して藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)氏が「中国型ビジネスモデル」の終焉を予測している。それは「中国包囲網」ではなく、むしろ「中国デカップリング」ではないだろうか。
習近平国家主席の9月の訪米を前に、トランプ米政権は中国に圧力をかける政策を相次いで打ち出している。
最初の措置は、ベッセント財務長官が8月24日に発表したイランに対する「経済的追放作戦」だ。イランの核・ミサイル技術の調達や原油輸送、サイバー攻撃などに関与した個人・法人など約60件が制裁リストに加えられたが、その中に中国や香港の仲介業者や個人が含まれている。
トランプ米大統領は27日、イランとの関係を理由に中国の金融機関を対象とした制裁を準備している可能性も示唆した。この制裁が発動されれば、中国経済への打撃は避けられないだろう。
2つ目の措置は、米国の電力網に関する規制強化だ。
トランプ氏は26日、「外国製の大容量電力設備が米国の安全保障を脅かす」として国家非常事態を宣言した。直接の言及はなかったものの、中国製の電力設備が念頭にあるのは言うまでもない。
3つ目の措置は、サイバー分野だ。米司法省と連邦捜査局(FBI)は26日、中国政府と軍を名指しし、攻撃に使ったとされるハッキングプラットフォームを遮断した。
◇欧州も強硬へ、強まる「中国包囲網」
「このような状況下では首脳会談は実りあるものにならない」との観測から、ワシントン界隈では「習氏の訪米が流れるのではないか」との噂が流れているほどだ。
中国への圧力強化は米国ばかりではない。
ロイターは28日、「ドイツの産業界がメルツ首相に対し、中国政府との協議で、不正競争の問題で強硬な姿勢をとるよう圧力をかけている」と報じた。
これまで中国に融和的だったドイツ政府の姿勢が変われば、10月に予定されている協議の場で、欧州連合(EU)の中国への態度が厳しくなるのは確実だ。
輸出で糊口をしのぐ中国経済だが、欧米諸国を中心に「中国包囲網」が日に日に強化されている感がある。
◇内需の低迷と広がる不安
中国国内に目を転じると、内需の低迷は相変わらずだ。
中国自動車大手BYDが28日に発表した今年上半期決算は、同期間として5期ぶりの最終減益となった。内需の停滞と競争激化で販売が落ち込み、在庫は過去最高水準に膨らんでいる。
中国で運転免許をとる人が減っていることも気がかりだ。新たに免許を取得した人の数は2015年の3613万人から昨年には2051万人に減少した。10年間の減少幅は43%だ。少子化に加え、若者の懐事情の厳しさが影響している。
「自動車離れが始まった」と叫ばれた1990年代の日本を彷彿とさせる現象である。うなぎ上りで伸びてきた中国の自動車市場も「今は昔」だ。
中国では「食の安全」への懸念が再び広がっている。
中国政府は26日、福建省厦門(アモイ)市の企業が飲食店の消毒に違法な殺虫剤を使用したとみられる問題について、中央の作業チームを立ち上げて現地の調査と行政指導などを行うと発表した。
中国では8月に入り、鮮度を維持するために発がん性があるとされるホルムアルデヒドを含む溶液に浸した白菜が出荷されたことも問題になっている。
「貧すれば鈍する」ではないが、業績悪化に苦しむ中国企業がこの種の問題を引き起こすのをくい止めるのは難しいのではないかと思えてならない。>(以上「現代ビジネス」より引用)
「習近平訪米を前に米国が制裁を連発…「中国包囲網」が強まるなか、BYDも減益に沈む中国経済の厳しすぎる現状」と題して藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)氏が「中国型ビジネスモデル」の終焉を予測している。それは「中国包囲網」ではなく、むしろ「中国デカップリング」ではないだろうか。
「中国型ビジネスモデル」に加勢したのは日本だった。中国の経済支援目的で新日鉄は最新溶鉱炉を「宝山」に建設し、鉄鋼生産のノウハウを伝授した。それが切っ掛けとなって中国は最新製鉄業を中国内に次々と建設し、日本の製鉄ノウハウをタダで使って増産へと踏み切った。その後のことは記憶に新しいだろう。
国内需要を遥かに超える鉄を生産し、剰余分を国外輸出へ振り向けた。日本が年間1億トンしか生産していない当時、中国は8億トンも生産していたのだから想像を絶する。結果として質の悪い鉄を大量にダンピング輸出して世界中から顰蹙を買った。同様のことは日本の新幹線を輸入し、その技術やシステムなどを盗用して「中国製」高速鉄道として国内はもちろん、外国に輸出までしている。
次に出てきたのが太陽光パネルだ。中国に進出した太陽光パルン製造日本企業のノウハウを盗み、中国企業が大々的に太陽光パネル製造に乗り出した。そして価格攻勢で日本企業のシャアを奪い、中国企業が圧倒的シェアを獲得した。
そして現在はEVだ。精密工業が前提となるエンジン車では日本企業を超えられないと判断すると、中国はイーロン・マスク氏のEV企業テスラを企業誘致した。そしてテスラのEV製造ノウハウを盗むと中国全土に百社を超えるEV製造企業が誕生して、猛烈な勢いでEV生産に乗り出した。
それらに共通するのは爆発的な需要が見込まれる分野に中共政府が投資して製造業を育成する。もちろん製造ノウハウは中国進出した外国企業からを剽窃したり、日本など外国企業から提供された技術を盗用して国営企業で製造する。それも国内供給を遥かに超える製造を行い、世界中に豪雨のように輸出する。そうした中共政府の集中的な投資と生産拡大は世界各国に深刻な影響を与えている。
現在、中共政府はAIに照準を合わせてAI製造に邁進している。そのAI製造に必要とされる半導体製造に取り組んで、7nm半導体製造を開始したと、中国の半導体技術を宣伝している。しかし中国製造は基本的に「精密」や「耐久性」という製造物に求められる「信頼性」を欠いている。そして「信頼性」はハードだけでなく、「情報」というソフト面でも信頼性に欠ける。
中共政府は半導体戦略として中国の「ファウンドリ(受託製造企業)」を作ろうとしている。半導体を製造しても、それだけを大量輸出することは出来ないからだ。半導体は必ず何らかの部品に組み込まれる。そのため特定の情報処理を果たす半導体でなければならない。台湾のTSMCは世界中のIT企業から注文を受けて様々な用途の半導体を製造している。
つまりTSMCには世界中のIT企業の「機密」が集中している。それはTSMCに対する信頼がなければ出来ないことだ。その信頼とはIT企業が設計した情報を決して漏洩しない、という信頼だ。たとえ中国にTSMCを凌駕する「ファウンドリ(受託製造企業)」が出現したとして、どのIT企業が中国の「ファウンドリ(受託製造企業)」に半導体製造を依頼するだろうか。中国には明白な前科がある。日本が提供した製鉄技術を勝手に使って大量の鉄鋼製造を行った。また日本が提供した新幹線技術を自前の技術だと強弁して中国高速鉄道を輸出している。
現在、欧州諸国は中国に見切りをつけて、対中デカップリングへと動いている。米国も対中経済制裁を行っているが、そうした動きに対して中共政府は「中国経済圏」を確立・拡大しようと動いている。しかし中国には基本的な「信頼」が欠落している。利害関係だけの経済取引は「金の切れ目が縁の切れ目」になる。まさに中国は経済崩壊に直面して「金の切れ目」状態になっている。いよいよ中国の「元」に群がっていた後進諸国の「縁の切れ目」が現実のものになろうとしている。