11月中間選挙でトランプ氏の与党・共和党は予断を許さない厳しい状況になっている。

<トランプ米大統領の政権運営を左右する11月3日の中間選挙まで2カ月を切った。政権与党の共和党が過半数を握る上下両院で、野党の民主党系が過半数を奪えるかが焦点。いずれも接戦の様相を呈しており、最終盤に向けて激しい選挙戦を展開している。


 民主党が上院で過半数を握るには現有議席を守った上で、共和党が現有議席を持つ4選挙区で勝利することが必要。当初はアラスカ、オハイオ、メーン、ノースカロライナの4州が純増を目指せる選挙区と目され、過半数獲得には4州全勝という高い壁があった。
 だが、ここにきて保守地盤が強いテキサス州、アイオワ州も接戦になり民主党は勢いづく。一方、民主党が現有議席を持つミシガンなど3州も激戦区で、予断を許さない情勢が続きそうだ。
 下院選は全議席改選のため政権への評価が結果に反映されやすく、トランプ政権の支持率低迷で共和党の苦戦が予想されてきた。ただ、一部州では選挙区を自党に有利に線引きする「ゲリマンダー」を実施。トランプ氏は郵便投票制限などで、民主党支持の傾向がある黒人有権者らの投票率低下を狙うとされる。
 共和党が上下両院いずれかの過半数を失えば、トランプ政権が望む法案や予算案が可決されにくくなる。上院は閣僚や大使などの人事承認権限があるため、民主党が過半数を奪えばトランプ氏が人事を意のままにすることが難しくなる。
 民主党内ではトランプ氏の弾劾を目指す動きもあり、下院の過半数の賛成で弾劾訴追が可能。大統領罷免には弾劾裁判を行う上院で3分の2以上の賛成が必要だ>(以上「産経新聞」より引用)




米中間選挙、上下両院の過半数巡り攻防 トランプ政権に逆風、保守地盤州でも接戦」との見出しがあった。その内容は既報の通りトランプ氏の共和党が苦戦している、というものだ。ただし民主党が勝利したところで大統領を弾劾するのに必要な2/3以上の議席を得ることは不可能に近い。

 もちろん米国連邦議会は大統領令を阻止・無効化することができる。そのためには連邦議会で大統領令を否定・制限する法案を可決し成立させなけれならない。また大統領令の執行に必要な予算を議会が承認しないことで、実質的に政策の実行を封じることもできる。
 ただ議会が可決した無効化法案に対し、大統領は拒否権を発動できる。拒否権を覆すには、上下両院でそれぞれ3分の2以上の圧倒的な賛成が必要となり、ハードルはかなり高い。その場合は与党・民主党が議会内でいつ枚岩でなくなり、造反して民主党に賛成すれば大統領令を阻止することが可能になる。なお、大統領令の違法性については、議会だけでなく連邦裁判所による司法審査(差し止め訴訟など)で無効化されることもあり、現在トランプ関税に関する最高裁審理が行われている。

 現在まで中間選挙で最大の争点となっているのは物価高とインフレだ。それは関税政策や中東情勢(ホルムズ危機など)に起因するガソリン価格の高騰が、有権者の強い不満となっているからだ。そして注目すべきはトランプ大統領への信認が選挙の争点になっていることだ。有権者の6割以上が投票の際に現政権への賛否を意識しており、民主党支持者を中心に「政権への反対票」としての意味合いが強まっている。
 次に、データセンターの建設・エネルギー問題が争点として上げられる。AI(人工知能)の普及に伴う膨大な電力需要やデータセンター建設を巡る議論が、新たな環境問題として地域・環境の争点に急浮上している。

 外交・国境管理政策も米国民の関心事になっている。トランプ氏の不法移民対策などの国境管理強化や、ベネズエラ・イランなどへの関与といった外交姿勢も問われている。
 トランプ氏は1期目の2018年の中間選挙で苦戦を強いられた。当時も上下両院の多数を共和党が占めていました。しかし中間選挙で上院は維持したものの、下院は8年ぶりに民主党に明け渡した。そのため下院は21年の連邦議会占拠事件を扇動した罪などでトランプ氏を弾劾訴追。上院で無罪評決を受けましたが、米政治の歴史に汚点を残す苦い経験となった。予測不能な動きで世界を翻弄(ほんろう)するトランプ政権に歯止めをかける最初のチャンスとなる中間選挙の行方を注目しよう。

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