EUの「包装・包装廃棄物規則(PPWR)」実施により行き場を失うEU諸国の資源ゴミ。

◇8月から段階的に施行される「包装・包装廃棄物規則」
 欧州連合(EU)の行政機関である欧州委員会は、EUの国際競争力の低下を問題視している。一方、そもそもこの問題は、欧州委員会が立案した様々な規制の結果、深刻化したものでもある。そうした欧州委員会による規制運営の在り方には、政府の経済に対する過剰な干渉を好まないドイツを中心に、EU内から強い批判が寄せられている。
 その欧州委員会によって、EUでは8月11日から、新たに「包装・包装廃棄物規則(PPWR)」と呼ばれる規制の一部運用が始まる。このPPWRは包装廃棄物を削減し、発生を防止するとともに、包装材のリサイクルを推進することを目的とするもので、2025年2月に施行された。企業は新たに、このPPWRの順守を迫られることになる。
 EUがPPWRで念頭に置くのは資源ごみ、特に廃プラスチックの扱いだ。EUはこれまで資源ごみの多くを輸出していた(図表1)。しかし中国が2017年末に環境対策の一環として資源ごみの輸入を禁止したことや、代わりにそれを引き取ってきたマレーシアが資源ごみの輸入に慎重になってきたことで、EUの資源ごみは行き場を失っている。



 要するに、PPWRはその高過ぎる環境意識の賜物というよりも、行き場のない資源ごみをどう処理するかという現実的な課題にEUは迫られていたわけだ。そこに欧州委員会が描く循環型経済(サーキュラーエコノミー)の発想が加わり、プラスチックなど資源ごみの利用の削減のみならず、リサイクルを進めるというストーリーが出来上がった。
 問題はリサイクルにある。PPWRのもと、今後、EU域内で事業を行う企業には、リサイクルを念頭に入れた包装材を作ることが義務付けられる。そして、そうした包装材には一定の割合でリサイクルされた原材料を用いることも義務付けられる。リサイクルされた原材料を用いる割合の目標値もまた、年を追うごとに引き上げられるわけだ。

◇リサイクル業者が次々廃業
“言うは易く行うは難し”ということわざがあるが、EUでこれまで資源ごみのリサイクルが進まず、中国やマレーシアにそれを輸出していたのには明確な理由がある。それはEU域内でのリサイクルコストが高く、プラスチックなど包装材を輸入したほうが安上がりだったからだ。要するに、EUではリサイクル事業が儲からないのである。
 現にEUでは、リサイクル業者の廃業が相次いでいる。業界団体であるプラスチック・リサイクラーズ・ヨーロッパ(PRE)が2025年11月に発表した報告書によると、それまでの原油価格の下落を受けて欧州のプラスチックリサイクル業者の多くが廃業に追い込まれ、プラスチックのリサイクル能力が大幅に低下する事態となったようだ。
 こうした中でリサイクルの割合を高めることなど不可能だ。まずはリサイクル事業が儲かるようなビジネスフローを、EUが主体となって構築する必要がある。それに、包装材を作る企業、使う企業のいずれにも対応が迫られる。さらに包装材を最終的に処理する消費者が、企業がリサイクルしやすいようにごみの出し方を変えなければならない。
 つまりはリサイクルのための新たな“エコシステム”を構築する必要があるわけだが、それには当然ながら莫大な時間的・金銭的なコストがかかる。そのための費用を起債で賄うにせよ増税で賄うにせよ、企業や家計へのコスト転嫁は回避しがたい。リサイクルのためのエコシステムができる頃には、EUの国際競争力はさらに低下しそうだ。
 リサイクルに関しては現実的な解決策がなかなか見出しにくいため、基本的には包装材の利用を削減することで、そもそもの資源ごみの排出を減らすことが肝要だろう。要するに、包装材の生産に用いる原材料を削減するわけだ。一定の数値目標を定めるとして、それを達成した企業に減税などのインセンティブを与える方が有効ではないか。

◇曖昧な運用に左右される企業
 PPWRの運用は段階的に行われる。皮切りとなるのは、食品の包装材で使用される有機フッ素化合物(PFAS)への規制だ。耐油性や耐水性を高めるコーティング剤として食品容器に使われていたPFASだが、自然界でほとんど分解されない物質でもあり、人体への悪影響が懸念されており、日本を含めて世界的に利用が制限されている。
 こうした規制には合理性が見出せるが、今年の末にはプラスチック包装材に占めるリサイクル材の最低含有率を定める規制が適用される運びである。以降も様々な規制の強化が実施される予定だが、EUの情報公開は不十分であるという指摘も多いようだ。日系企業も対応に苦慮しており、日本貿易振興機構(JETRO)が支援している。
 EUはEUで、これまでの規制運営の経験もあり、実際の進捗に応じて規制を強化あるいは緩和できるよう、情報を小出しにしているのかもしれない。かつて掲げた2035年を目標とする新車の電気自動車(EV)シフト目標のように、高過ぎる球を投げたところで、それが実現できなければ、国際的な影響力が後退しかねないからだろう。
 ただし、対応を迫られる企業はたまったものではない。企業経営において最も嫌わられる要因は不確実性だが、EUの規制運営の在り方は、企業にとっての不確実性を高めるものに他ならない。進捗が芳しくないとして規制の水準を引き下げるようなことになれば、当初の基準の水準を達成しようと努めた企業には莫大な埋没費用が生じる。
 同様の事態はすでに欧州森林破壊防止規則(EUDR)に関しても生じている。これはその生産に当たって森林の破壊を伴っていないことが証明された食品のみの流通を容認するというものだが、その対応コストの大きさに二度にわたり導入が延期、さらに手続きが簡素化される事態となり、先行投資をした企業には莫大な埋没費用が生じた。

◇必要なのは規制緩和だが…
 もともと欧州委員会の競争政策の理念は、域内市場の運営という観点が主であり、要するに域内市場での取引に参加する企業に平等な条件を課すことで、公正な競争を行わせることに重きを置いていた。そうした意味で、PPWRにせよEUDRにせよ、欧州委員会は新しい時代の競争ルールを策定しようとしているのだろうが、性急さは否めない。
 それに、欧州委員会は自らの国際競争力の低下を問題視している。その改善を図りたいならば、企業の活力を引き出す規制緩和に努める必要がある。しかしながら、結局は規制強化にまい進するのが欧州委員会である。規制強化するとしても、川上からのトリクルダウンを狙うのではなく、総量的・全方位的な規制強化を志向してしまう。
 こうした傾向は、2019年12月に就任したウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長のもとで強化されたきらいがある。その任期は2029年10月までだが、2027年4~5月のフランス大統領選には、同委員長の庇護者であるエマニュエル・マクロン大統領が出馬できないため、欧州委員長の現執行部は徐々にレームダック化するだろう。
 ただし為政者は、レームダック化する過程において、何らかの政治的実績を残そうと躍起となるケースが数多い。フォンデアライエン欧州委員長も、自らがリードしてきた規制強化の流れを否定することはできないし、今後も様々な領域で規制強化を模索することになるのではないか。EUが規制緩和に転じる展望は当面、描けそうにない>(以上「PRESIDENT」より引用)




リサイクルをゴリ押し→業者が次々廃業…環境重視なのに「資源ごみ」すら処理できない"EUの過剰規制"の大誤算」と題して、土田 陽介(フォロー三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 主任研究員)氏がEUのゴミ問題を紹介している。
 現在EUで起きている議論は「EUの国際競争力を低下させているのは様々な規制ではないか」という批判だ。今また新しく8月11日から新たに「包装・包装廃棄物規則(PPWR)」と呼ばれる規制の一部運用が始まるという。それによりEU諸国の企業は新たな負担金を課されることになる。

 もちろん環境とゴミ問題は切っても切れない関係にある。的確・適性なゴミ処理こそが環境問題の全てといっても良いほどだ。これまでEUはゴミの大部分を中国や東アジアなどの後進諸国に輸出してきた。東南アジアなどの後進諸国に輸出された廃プラスチックは、主に手作業での分別後に再生ペレットに加工され、安価な工業原料や燃料として利用されてきた。
 しかし引用文中にもある通り中国が2017年末に環境対策の一環として資源ごみの輸入を禁止したことや、代わりにそれを引き取ってきたマレーシアが資源ごみの輸入に慎重になってきたことで、EUの資源ごみは行き場を失っている。そこに「包装・包装廃棄物規則(PPWR)」の運用が始まることで、EU各企業の資源ゴミに関する負担が増加すると懸念されている。

 CO2削減を主導してきたEUがCO2排出要因になるゴミ処分を海外に押し付けていただけだ。そうしたCO2の付け回しが出来なくなり、EU内で処分せざるを得なくなったが、EU自らが課したCO2削減基準を下回るのが困難なゴミ処理業者は廃業せざるを得ない。
 そうすると、行き場を失ったゴミはEU内に滞留される。しかも再エネ発電に使われてきた太陽光パネルの大量廃棄時代が間もなくやって来る。明確な廃棄処分手続きすら決まっていない太陽光パネルの廃棄問題は、依然として手つかずのままだ。包装関係処分といった簡単な問題ではない。

 包装関係のゴミ処分はリサイクルではなく、焼却処分するのが最も効率的だ。しかも省エネにもなる。なぜなら包装ゴミをリサイクルするために投じられるエネルギーは新規製造するエネルギーよりも多くを必要とするからだ。しかもリサイクルするためには分別が不可欠だ。その手間のコストを考慮するなら、焼却処分するのが最も良い。その熱で発電すれば良い。
 そもそもCO2地球温暖化などといった微細な「温暖化」現象を、巨大化させて大騒ぎしただけではないか。それも日本車を欧州から追い出すために目論んだ「陰謀」ではないか。まさに自縄自縛だ。

 規制を強化して、今度は自らが規制により苦しむ。EUは自縄自縛から脱却するためには日本のCO2排出を極限まで抑制した焼却技術を導入するしかない。日本を敵視して始めたCO2地球温暖化詐欺の廃止宣言を決議して、人類が永続的に生存するための方策を共に考えるべき時期に来ている。

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