石破氏に引退のお勧め。

<自民党の石破茂前首相は3日、高市早苗首相が表明した食料品消費税減税について、財源が示されていないことを理由に異論を唱えた。「日本の消費税は際立って低い。少子高齢化は世界でトップ。財政が世界で一番悪い」と指摘し、「そのことがきちんと議論されるべきだ」と強調した。税制調査会と社会保障制度調査会の合同会議に出席後、党本部で記者団の取材に応じた。
>(以上「時事通信」より引用)




石破氏、消費減税に異論 日本の財政「世界最悪」」とは、国家財政を語る資格のない経済音痴の言葉だ。日本財政が世界最悪なら、日本債の債務不履行(デフォルト)リスクに備える保険的な金融派生商品であるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の保証料率(5年物)は約0.25%〜0.26%台で推移している事実が説明できない。なぜなら米国債のCDSは約0.35%〜0.38%と日本より高いからだ。ちなみに中国債のCDSは約0.38%前後で推移している。
 少なくとも、日本が世界で最悪だ、と主張する石破氏の指摘は正しくない。このような公式発言する前に、簡単にネットで調べられるCDSの数字くらいは確認しておくべきだ。また国債費に関しても日本の場合は国債償還費まで含めて計上しているが、先進諸国では「国債は償還しない」ものとして扱われ、国債費に国債償還費まで計上している国はない。日本の国債費は償還費を除けば予算に占める割合は6%で、米国の国債費16%と比較するまでもなく世界最悪だと指摘する状態にない。

 また多くの評論家が将来不安があると指摘する社会保険料だが、公的年金の積立金は、2024年度決算(2025年8月公表)において過去最大の約260兆円となっています。内訳は、厚生年金が約247.8兆円、国民年金が約12.3兆円にもなっている。つまり財務省が煽り立てるほど日本の財政は危機的でなく、むしろ潤沢な積立金や世界随一の海外純投資残高を誇っている。
 何度も例として取り上げたが、2026年3月期の主な財務データによるとトヨタの有利子負債は総額で64兆5,022億円に達している。だがトヨタは危険だと騒ぐ評論家は皆無だ。なぜならトヨタの総資産は日本企業として初めて総資産が100兆円を超え、2026年3月期連結決算において105兆5,223億円だった。日本の国債発行残高は 約1197兆6396億円で、政府短期証券で約100兆3996億円借り入れ、借入金は 約44兆1328億円になっている。
 それに対して、日本の国全体の総資産は約1京3,287兆円(非金融資産約3,682兆円、金融資産約9,604兆円)で、国の正味資産(国富)は約4,549兆円となり、国有財産(国が直接持つ財産)は140.4兆円(令和6年度末)で、対外純資産(海外に対する正味資産)は561兆7,504億円(2025年末)となっている。だから日本政府の財務状況はトヨタ以上に優良だ。

 石破氏が「日本の消費税は際立って低い。少子高齢化は世界でトップ。財政が世界で一番悪い」と主張するのは経済音痴を自ら暴露する愚行だ。消費税を導入している国でも、食料品や医療費・教育費などを非課税としている国はゴマンとある。日本のように食料品にも8%課税している国は欧州諸国にもない。
 また消費税は貧困層に過重な「逆進性」があることから、先進諸国でも見直しが進められている。そもそも財源論が出始めたのは1970年代後半〜1980年代にかけてのことで、高度経済成長が終わり、本格的な財政再建や歳出削減(緊縮財政路線)が模索される中で、「財源確保」が常態的な課題となった。それ以前は1965年(昭和40年)に戦後初の特例公債(赤字国債)発行へ舵を切る際、国会で激しい財政論争が起き、「穴埋めの財源」が大きな問題となったことがある。

 ただ日本の「財源がない」という言葉は、絶対にお金が存在しないという意味ではなく、「法律や制度の枠組みにおいて、自由に使える恒常的なお金(税収など)が足りない、または安易な国債発行が高インフレや金利上昇を招くリスクがある」という意味だ。完全に嘘とも言えないが、政治的な言い回しとして使われる側面が強い。
 断っておくが、国債発行して予算執行するのは世界の常識だ。日本だけの特別ではない。また予算に償還期国債を計上しているのも日本だけだ。だが国家予算の歳入をみれば償還期国債と同額の「国債借換」が計上されている。つまり両建て予算になっているわけだが、「国債費」を多く国民に見せて、いかにも日本の国家予算が逼迫している印象を強くしようとする財務省の意図が明白だ。先日も書いたが、米国の国債費は予算の16%を占めているが、日本の国債利払いだけを計上したなら予算に占める割合は6%でしかない。どれほど健全な予算かがお解かりだろうか。

 そのような基本的な国家財政が解らないで、「日本財政は世界最悪」だと繰り返し発言する元総理は不適切だとしか思えない。その程度の国家財政に関する理解で、総理大臣になったものだと呆れる。それは思想や信条の問題ではなく、知能と理解力の問題だ。鳥取県にも国家財政に関して彼以上の知見を有する人がゴマンといるはずだ。後進に道を譲るためにも、石破氏に引退をお勧めする。

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