米軍の継戦能力の露呈から日米新時代が始まろうとしている。
<ベッセント米財務長官は20日、イランとその貿易相手国を経済的に孤立させる計画を米政府が近く発表すると述べた。トランプ大統領は前日、中東情勢の現状を打破するための「経済版Dデー(作戦開始日)」を警告している。
「ベッセント長官、24日に記者会見-イラン経済孤立化へ協調作戦を説明」と、米国は軍事作戦ではなく、兵糧攻めに転じたようだ。ベッセント氏は具体的な「イラン戦争を終わらせる処方箋」を述べた。イランによるホルムズ海峡封鎖により困るのはイランをはじめ、湾岸諸国とそこから原油を輸入している国々だ。だからイランから幽霊船などを利用して大量に原油を輸入している中国はイランの継戦能力を側面から手助けして、ホルムズ海峡を危険にしているだけだ。
ベッセント長官は経済専門局CNBCとのインタビューで、24日の記者会見で「具体的な措置について話す」と述べ、米国の同盟国にこの取り組みへの参加を迫った。
「経済的圧力とは、われわれが全ての同盟国に働きかけるということだ。これは史上最大規模の協調的な経済孤立化になる。われわれは同盟国に『われわれの側に付くのか、それとも敵に回るのか』と迫るつもりだ」とベッセント氏は述べた。
同氏の警告は、2001年9月11日の対米同時多発テロ後に当時のジョージ・W・ブッシュ大統領が用いた表現を想起させる。
トランプ政権は数カ月にわたりイランへの軍事攻撃を続け、港湾を全面的に海上封鎖したものの、テヘランを降伏させることができていない。 トランプ氏もベッセント氏も、具体的にどのような措置を講じるのか、どの国が対象となるのかは明らかにしなかった。ただこの警告によって直ちに関心が向かったのは、大量のイラン産原油を購入している中国だ。
北海ブレント原油は5営業日続伸し、1バレル=94ドル前後と、月初来の高値に達した。 中国が対象になるのかと問われたベッセント長官は、
「非公開で進めるのが望ましい話し合いも多い」と答え、ホルムズ海峡は極めて重要であり、その開放は誰もが望んでいると述べた。
「中国がエネルギーの50%を湾岸地域から得ていることを忘れてはならない」と指摘し「したがって、中国がこの取り組みに加わることは、中国自身にとって大きな利益になる」と述べた。
中国政府はトランプ氏による警告について、制裁や圧力では問題は解決しないとし、外交による解決を呼びかけた。一方、イランはトランプ氏の警告について、前例のない債務と急増する利払い費という米国自身が抱える危機から目をそらすための「陽動作戦」だとした>(以上「Bloomberg」より引用)
「ベッセント長官、24日に記者会見-イラン経済孤立化へ協調作戦を説明」と、米国は軍事作戦ではなく、兵糧攻めに転じたようだ。ベッセント氏は具体的な「イラン戦争を終わらせる処方箋」を述べた。イランによるホルムズ海峡封鎖により困るのはイランをはじめ、湾岸諸国とそこから原油を輸入している国々だ。だからイランから幽霊船などを利用して大量に原油を輸入している中国はイランの継戦能力を側面から手助けして、ホルムズ海峡を危険にしているだけだ。
米国がイランに対して大規模攻撃ではなく、兵糧攻めに重点を置くのはそれなりに評価できるが、戦争の短期停戦に結びつくことはない。なぜならイランの生命線はホルムズ海峡だけではないからだ。カスピ海もイラン貿易の大きな動脈になっている。カスピ海封鎖を視野に入れなければ、米国はイランを兵糧攻めにすることはできない。
ただここに来て様々なメディアがトランプの対イラン軍事作戦の「大規模攻撃」が度々中止されていることからミサイル等の枯渇が原因ではないかと見ている。
たとえば精密攻撃が可能な地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」および「PrSM(プリズム)」は、ウクライナへの供与も重なり、大半を使い切って備蓄が事実上ゼロに近い状態だという。また防空ミサイル(迎撃弾)の主力とされる高高度迎撃ミサイル(THAAD / パトリオット)は戦闘開始前の3分の1から5分の1(8割近くを消費)まで激減したと試算され、これにより大規模な防空作戦の継続が困難になっているようだ。
また世界各地の基地で保有していた長射程巡航ミサイル「トマホーク」も、これまでに850発以上を消費し、全体の半数弱が失われた。さらにミサイルだけでなく、偵察や攻撃に使う大型無人機「リーパー」も戦闘開始後に少なくとも45機(米軍保有数の約25%)を失ったと報じられている。
米国は深刻なミサイル備蓄の枯渇を受けて、日本に対してミサイルなどの共同生産や製造(ライセンス生産の強化)を公式に要請し協議を進めている。日本政府は米国の要請を受けて「防衛装備移転三原則」を改定し、三菱重工業がライセンス生産している地対空迎撃ミサイル「パトリオット」の完成品を米国へ輸出することを決定した。さらに米国は迎撃ミサイルだけでなく、長期戦に不可欠な各種弾薬や、有事で急速に枯渇する可能性のあるその他のミサイル・ドローンシステムについても、日本側での製造や共同生産を求めている。
米軍の継戦能力に疑問符が付いたことにより、日本の防衛に日本政府が責任を持つ割合が増大した。それに伴い、従来は米国の管理下で行われていた新兵器開発に関して、日本が独自に開発する可能性が広がり、日本の防衛開発技術の長足の進化が見られるだろう。
米軍の継戦能力に疑問符が付いたことにより、日本の防衛に日本政府が責任を持つ割合が増大した。それに伴い、従来は米国の管理下で行われていた新兵器開発に関して、日本が独自に開発する可能性が広がり、日本の防衛開発技術の長足の進化が見られるだろう。
米国はイランを兵糧攻めにする方針を打ち出しているが、それに中国が同調する可能性は極めて低い。そうすると益々日本の協力が重要となる。
今後、日本が開発した長距離ミサイルの米軍への供与も米軍から要請されるだろうし、様々なドローン兵器の共同開発やライセンス生産案件も米国政府から持ち込まれるだろう。トランプ氏は「安保ただ乗り論」を展開して米軍事費の「割り増し負担」を日本政府に請求していたが、そうした米国からの「安保ただ乗り論」は影をひそめるだろう。米軍の継戦能力の露呈から日米の新時代が始まろうとしている。