中共政府はイソップ童話「太陽と北風」を必読書にすべきだ。

<豪ローウィー研究所のオリヴァー・ノブトウが、同研究所のウェブサイトに7月7日付で掲載された論説において、「7月6日の太平洋へ向けた中国原潜ミサイル発射実験は中国の『オウン・ゴール』となった、それは地域の安全保障をめぐる中国との主導権争いで豪に有利に決着する支援材料を与えてしまった」と述べている。
 この論説は、①豪州の対太平洋諸国外交はこのところ「連勝」している、②中国原潜からの南太平洋に向けた模擬ミサイル発射は、太平洋島嶼国での安全保障をめぐる主導権争いで豪州を有利にすることになった、③2022年以来、豪州は「巧みな外交戦略によって、一連の実利的な協定が実現している」(ツバル、ナウル、パプアニューギニア、バヌアツ、フィジー等の例)、「いずれの協定でも、豪州は、協力相手国が第三国、すなわち中国との安全保障上重要な分野での協力を検討する際には、必ず豪州と協議することを義務付ける条項を入れている」、④これらの成果は、「豪州のアルバニージー首相にとり国内政治上の追い風にもなる」と述べる。
 7月6日、中国は原潜から模擬ミサイル(JL-3、核搭載可能)を南太平洋の非核地帯(ラロトンガ非核地帯、中国は締約国)に向け発射した。ミサイルは、「ツバルの排他的経済水域(EEZ)付近」に着弾したと報じられている。
 フィジーでのフィジー・豪州安保合意署名と同じ日に発射したというタイミングは、非常に未熟、無神経である。最近、中国はこうしたオフセット型の行動が目に付く。
 7月7日付けの環球時報社説は、関係国は中国の実験に「慣れるべきだ」というが、傲慢な言い分だ。島嶼国の反発は当然で、太平洋諸島フォーラム(PIF)全体としての非難声明案が回覧されているという。
 既に豪州、ニュージーランド(NZ)、フィジー、ソロモン、マーシャルなどが個別の非難声明を出している。8月末から開催されるPIF首脳会議でも議論になるだろう。
 中国の振る舞いは、南シナ海での動きを含め、益々問題が多くなってきている。今回ミサイル発射とそのやり方も、中国の信頼を大きく損なっただろう。

◇潮目が変わった中国と豪州の競争
 豪州アルバニージー労働党政権は、非常に賢明な外交を精力的にやっている。バヌアツ、フィジーとの協定をまとめ、7月7日にはソロモン諸島独立48周年記念式典出席のためホニアラに行き、帰国するやブリスベンでパプアニューギニア、サモア、トンガ首脳と会議し、9日には豪州を訪問したインドのモディとメルボルンで会談した。さらに、8日には、パプアニューギニアとの相互防衛条約(れっきとした同盟)が正式に発効した。
 これまでのやや高圧的な豪州への太平洋島嶼国の批判は一掃され、油断は禁物であるものの、豪州の太平洋島嶼国を巡る中国との競争の潮目も変わって来ているようだ。中国が安保協定を締結し西側を驚かせたソロモン諸島も、5月にはソガバレ首相(当時)の党の政権が不信任議決で退陣、それまで台湾政策を推進し、ソガバレの対中傾斜を批判してきた野党のワレ(マライタ州首相)が首相になった。ワレは、地域安保条約の締結を提案しているという。
 島嶼国と共に考えるという姿勢を強く打ち出したアルバニージーやウオン(外相)等の努力は評価される。日本としては、このような豪州の努力を勇気づけ、手助け、連携していくことが重要だ。
 アルバニージーは、6月29日、漸くバヌアツとのナカマル協定(安保・経済協力)に署名した。昨年9月のアルバニージーの同国訪問の時に署名予定であったが、バヌアツが留保、署名が棚上げになっていた。
 その後条文を修正し、今回署名に漕ぎつけた。同盟的規定は薄まっているが、中国を念頭に、重要インフラにつき軍事目的に使用しないこと、第三国の関与がある時には豪州と事前に協議することが規定されている。同時に、豪州による経済協力の拡大が規定されている。

◇フィジーが同盟国に
 7月6日に署名したフィジーとの「平和の海同盟」条約は、画期的である。「いずれか一方の締約国に対する軍事攻撃は双方にとって共通の危険と見做し、国内手続きに従って共同で対処することを宣言する」(6条)と規定する。
 これで、フィジーは、米国、NZ、パプアニューギニアに次いで、豪州の四番目の同盟国になる。この条約は、他の太平洋国家による加入に開放されており(12条)、多国化する余地がある。
 また、有効期間は無期限、1年の予告で脱退できる(15条)。さらに、包括的な協力関係を定めた「ブバレ連合条約」にも署名した>(以上「Wedge」より引用)




太平洋上での中国原潜ミサイル発射実験はオウン・ゴールに!太平洋島嶼国はむしろ結束へ、フィジーとの「平和の海同盟」条約とは?」と題する論評が掲載された。岡崎研究所が発表したものだが、太平洋上での中国原潜ミサイル発射実験に怯える日本のオールドメディアとはまさに対照的だ。
 H3ロケット6号機は、2026年6月12日午前9時53分に種子島宇宙センターから打ち上げられ、予定軌道への投入および小型衛星の分離に成功した。そのニュースを日本のオールドメディアは通り一辺倒の報道しかしなかったが、実はH-3ロケットによって軌道に投入された13個もの小型衛星に関して詳細を報じるものはなかった。だがそれによって中国は原潜からミサイル発射に踏み切らざるを得なかった、というのだ。

 なぜならH-3ロケットにより射出された人工衛星は名目こそ「だいち4号」などとされ災害状況の把握、地表の観測、およびインフラ管理を主な役割と説明しているが、実のところ偵察衛星以外の何物でもない。しかも地上識別精度250mmというから、中南海の人物動向に到るまで丸裸にされたも同然だ。
 13基もの人工衛星が途切れる間もなく次々と中国上空を通過すれば、中国内の動きはすべて丸見えだ。これまで米軍から提供される情報に頼っていたが、これからは日本独自で詳細な中国情報を手に入れることが出来る。だからこそ高市内閣は日本の国家情報の収集や総合調整を行う役所して、従来の内閣情報調査室(内調)を改組・拡充して2026年7月31日に国家情報局を新設した。同時に国家情報の機密保持に関するスパイ防止法の制定を急いでいる。

 ここに来て、中国の「国策企業BYD」が日本で軽自動車基準のEVを発売した。BYD車に情報を抜き取るような意図的なバックドアが仕掛けられているという公式・客観的な事実は確認されていないが、その一方でコネクテッドカー特有の懸念として所有者の位置情報、あらゆるデータ等が中国当局に筒抜けになるのではないかと危惧される。
 既に米国では国内市場から中国製EV(電気自動車)を事実上排除するため、関税の引き上げや安全保障上の規制などを何重にも組み合わせた徹底的な締め出し策(デカップリング)を展開している。その理由として米国商務省は、インターネットに接続する「コネクテッドカー」の技術に関する厳しい規制を設けているが、それは車両のカメラやセンサーが収集した米国市民の個人データやインフラ情報が、中国政府に流出することを防ぐ国家安全保障上の措置だと説明している。

 よって米国では米国のインフレ抑制法(IRA)に基づき、EV購入時に最大7,500ドルの税額控除(補助金)が受けられるが、中国などの「懸念される外国の事業体(FEOC)」が製造したバッテリー部品や重要鉱物を使用している車両は一律で対象外とされている。これにより中国製EVを購入した際には税額控除(補助金)が適用されない。
 日本では産経省がEV補助金制度を設けているが、環境ポイント制により補助金を出すようにしている。例えば日産サクラには環境ポイントが高いため国のCEV補助金として最大58万円が支給されるが、BYDの軽EVには15万円程度になるとみられている。しかし国民から「外国EV自動車に日本の補助金を出するは不適切ではないか」との声が上がっている。

 中国が軍事力を背景にして「戦狼外交」を展開すればするほど、諸外国は中国に対して警戒を強めるだけだ。太平洋の日本のEEZ内で中国原潜がミサイル発射実験を強行すれば、日本国民の対中観はいよいよ悪化するだけだ。実際にニューズウィーク日本版の報道等において、日本人の対中好感度は調査対象国・地域の中で最低水準となる約11%程度となっている。
 高市政権と中国政府との日中関係が緊張しているのは、2025年11月7日に衆議院予算委員会で、岡田克也氏の執拗な質問に対して武力行使を伴う台湾有事は「存立危機事態になり得る」と答弁したのが元だ。以前の日本政府なら中国が対日強硬姿勢を示したなら、ご機嫌伺に親中派議員が政府「特使」として訪中したものだ。しかし高市政権は「特使」を派遣して日中関係改善に動こうとはしなかった。そうした毅然とした外交姿勢が多くの日本国民から好感を持たれている。そして日本政府の姿勢に太平洋の島嶼諸国が信頼感を強めている。ますます中国は世界で孤立の道を突き進んでいる。

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