「サナエ・ショック」は財務省だけだ。
<◇「円安のリスクを理解しているのか?」
多くの海外投資家が、高市首相の経済政策(高市政策)への信用を失っているようだ。彼らとやり取りしていると、インフレ下で積極財政政策を掲げる、高市手法の政策を疑問視していることがよく分かる。また、高市首相が円安の高進に無関心に見えることが、よく理解できないとの指摘もある。
最近、海外投資家から、「首相は財政悪化、円安のリスクを十分に分かっているのか」と質問を受けることが多くなった。中には、これ以上円安が進むと、日本株投資を抑制せざるを得ないとのスタンスを取る大手投資家も出てきた。
7月後半、海外のファンドマネージャーの中には、骨太の方針の原案を指して「HONEBUTOに注意が必要」とみる向きも増えた。SNSでは、「#高市不況」のハッシュタグも増えているという。
それが、「HONEBUTOに注意せよ」との論調につながった。高市政権の経済政策の懸念を反映し、原案公表から7月上旬までの間、円安が進むと同時に、長期金利(新発10年国債の流通利回り)は一時2.90%を突破した。6月末からの金利上昇幅は0.30ポイント程度だった。
通貨の下落と金利上昇の同時進行が想起させるのは、2022年秋の英国だ。当時、トラス政権は財源を明示せずに減税を実行した。英国の財政悪化懸念は急上昇した。英ポンドは急落し、英国債(ギルト)も急落(金利は急騰)した。これを「トラス・ショック」と呼ぶ。
「「高市早苗の正体」に国民より先に気づいていた…海外投資家が「日本経済を壊す首相」だと確信した"残念発言"」と題して、真壁 昭夫(フォロー多摩大学特別招聘教授)氏が高市政権の「2026骨太方針」を批判している。日本経済を成長させようとする「2026骨太方針」を批判するのか不思議でならない。
多くの海外投資家が、高市首相の経済政策(高市政策)への信用を失っているようだ。彼らとやり取りしていると、インフレ下で積極財政政策を掲げる、高市手法の政策を疑問視していることがよく分かる。また、高市首相が円安の高進に無関心に見えることが、よく理解できないとの指摘もある。
最近、海外投資家から、「首相は財政悪化、円安のリスクを十分に分かっているのか」と質問を受けることが多くなった。中には、これ以上円安が進むと、日本株投資を抑制せざるを得ないとのスタンスを取る大手投資家も出てきた。
7月後半、海外のファンドマネージャーの中には、骨太の方針の原案を指して「HONEBUTOに注意が必要」とみる向きも増えた。SNSでは、「#高市不況」のハッシュタグも増えているという。
◇このままでは「サナエ・ショック」が起きる
それでもなお、円安に歯止めを掛ける政策は見られない。国債の増発で財政が加速度的に悪化しても、問題はないとのスタンスのように見える。
一方、首相に代わって、片山財務大臣は過度な円売りを牽制し、財政規律に配慮する見解を示している。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による、国債買い支え(プライス・キーピング・オペレーション:PKO)案も浮上したが、焼け石に水の感は否めない。
財政悪化と円安の歯止めに有効な対策を示さないと、円安加速、物価上昇、株価下落、さらには景気後退といったマイナスが一斉に、わが国の経済を襲うことも懸念される。それは、恐らく「サナエ・ショック」と呼ばれることになるかもしれない。
それでもなお、円安に歯止めを掛ける政策は見られない。国債の増発で財政が加速度的に悪化しても、問題はないとのスタンスのように見える。
一方、首相に代わって、片山財務大臣は過度な円売りを牽制し、財政規律に配慮する見解を示している。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による、国債買い支え(プライス・キーピング・オペレーション:PKO)案も浮上したが、焼け石に水の感は否めない。
財政悪化と円安の歯止めに有効な対策を示さないと、円安加速、物価上昇、株価下落、さらには景気後退といったマイナスが一斉に、わが国の経済を襲うことも懸念される。それは、恐らく「サナエ・ショック」と呼ばれることになるかもしれない。
◇「円安に関心がない首相」である証拠
昨年10月21日、高市政権が発足してから今年7月までの間、主要先進国の通貨は、米ドルに対して2%程度下落した。その間、円はドルに対して約6%下落した。イランと米国の戦闘再開で「有事のドル買い」があったといえ、円の下落幅は突出している。
ドル/円の為替レートの変化を見ると、欧州時間以降に円売りが増えることが目立つ。海外勢主導で円安が進んだともいえそうだ。
その主な背景として、海外投資家からすると、高市首相は円安加速、財政悪化のリスクにあまり関心がないように見えることが挙げられる。これまでの発言を振り返ってみよう。
2024年9月、自民党総裁選中の発言は象徴的だった。円安をめぐって「輸出産業はどんどん輸出できるチャンス。外国為替資金特別会計(外為特会)の余剰金も増える」と述べたのだ。また、「政府と日銀の政策連携協定(アコード)を今すぐ見直すことは全く考えていない」とも断言した。
昨年11月には、歴代政権が重視した基礎的な財政収支(プライマリー・バランス、政策経費をその時々の税収などでカバーしているか否かを示す指標)を、単年度で黒字化する目標を取り下げた。財源を明確にせず減税や補助金支給を増やし、国債の増発に拍車がかかるとの懸念は増えた。
昨年10月21日、高市政権が発足してから今年7月までの間、主要先進国の通貨は、米ドルに対して2%程度下落した。その間、円はドルに対して約6%下落した。イランと米国の戦闘再開で「有事のドル買い」があったといえ、円の下落幅は突出している。
ドル/円の為替レートの変化を見ると、欧州時間以降に円売りが増えることが目立つ。海外勢主導で円安が進んだともいえそうだ。
その主な背景として、海外投資家からすると、高市首相は円安加速、財政悪化のリスクにあまり関心がないように見えることが挙げられる。これまでの発言を振り返ってみよう。
2024年9月、自民党総裁選中の発言は象徴的だった。円安をめぐって「輸出産業はどんどん輸出できるチャンス。外国為替資金特別会計(外為特会)の余剰金も増える」と述べたのだ。また、「政府と日銀の政策連携協定(アコード)を今すぐ見直すことは全く考えていない」とも断言した。
昨年11月には、歴代政権が重視した基礎的な財政収支(プライマリー・バランス、政策経費をその時々の税収などでカバーしているか否かを示す指標)を、単年度で黒字化する目標を取り下げた。財源を明確にせず減税や補助金支給を増やし、国債の増発に拍車がかかるとの懸念は増えた。
◇「円安ホクホク」発言がダメ押し
今年1月末、衆院選での応援演説はことさらに印象的だった。
「今円安だから悪いって言われるけれども、輸出産業にとっては大チャンス。食べ物を売るにも、自動車産業も、アメリカの関税があったけれども、円安がバッファーになった。ものすごくこれは助かりました。円安でもっと助かってるのが、外為特会っていうのがあるんですが、これの運用、今ホクホク状態です」
外為特会では、主に米国債で資金を運用する。円安により利息収入はかさ上げされる。その一部を一般会計に繰り入れることができる。令和6年度決算では、約3.2兆円を翌年度の一般会計に繰り入れた。これは2025年度の補正予算額(18.3兆)を下回る。
首相の円安や財政政策に関する発言は、円安は進んだほうが良いとも受け取れる。国債の増発は問題ないと解釈できる発言を繰り返した。円は売り。日本国債も売り。こうした見方は投資家、特に海外投資家の心理に浸透した。
今年1月末、衆院選での応援演説はことさらに印象的だった。
「今円安だから悪いって言われるけれども、輸出産業にとっては大チャンス。食べ物を売るにも、自動車産業も、アメリカの関税があったけれども、円安がバッファーになった。ものすごくこれは助かりました。円安でもっと助かってるのが、外為特会っていうのがあるんですが、これの運用、今ホクホク状態です」
外為特会では、主に米国債で資金を運用する。円安により利息収入はかさ上げされる。その一部を一般会計に繰り入れることができる。令和6年度決算では、約3.2兆円を翌年度の一般会計に繰り入れた。これは2025年度の補正予算額(18.3兆)を下回る。
首相の円安や財政政策に関する発言は、円安は進んだほうが良いとも受け取れる。国債の増発は問題ないと解釈できる発言を繰り返した。円は売り。日本国債も売り。こうした見方は投資家、特に海外投資家の心理に浸透した。
◇利上げ後手→インフレ→円安の悪循環
7月以降、海外の投資家の間では、「骨太の方針=HONEBUTOに注意せよ」との警戒感も高まった。骨太の方針原案の内容を根拠に、高市政権がわが国の経済に深刻な打撃を与えるとの不安は急上昇した。海外の大手投資家は、われわれが考えている以上に高市政策への懸念を抱いているようだ。
昨年10月の首相就任直後から、経済の専門家からは「高市政策のリスクは高い」との指摘はあった。主な指摘の一つは、日銀の独立性についてである。政府が日銀に圧力を掛けて、低金利を継続させるのではないかと危惧された。また、積極財政政策による財政規律の弛緩は、財政破綻リスクを高めるとも懸念された。
そうした指摘に抵抗するように、高市首相は日銀の利上げに批判的な見解を示した。インフレが進む中での財政支出に加え、利上げが後手に回ると、物価の安定はかなり難しくなるだろう。インフレによって通貨の価値は棄損され、円の減価圧力は高まらざるを得ない。円安進行で輸入物価は上昇し、国内のインフレ懸念も上昇する。
◇首相肝いりの「HONEBUTO」が閣議決定
年初以降、首相の日銀に対する見解が報じられるたび、こうした懸念は高まった。さらに、首相自ら修正したという骨太の方針の原案で、依然として日銀に政府との連携を求めることが明記された。また、財源を示さないまま、17分野、総額370兆円の官民投資を行う方針も明示した。
この原案を基に、7月21日に「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太方針2026)」が閣議決定された。政権や自民党周辺にも、首相に適切なアドバイスを行える、有効なブレーンはいないとの懸念も出ているようだ。
7月以降、海外の投資家の間では、「骨太の方針=HONEBUTOに注意せよ」との警戒感も高まった。骨太の方針原案の内容を根拠に、高市政権がわが国の経済に深刻な打撃を与えるとの不安は急上昇した。海外の大手投資家は、われわれが考えている以上に高市政策への懸念を抱いているようだ。
昨年10月の首相就任直後から、経済の専門家からは「高市政策のリスクは高い」との指摘はあった。主な指摘の一つは、日銀の独立性についてである。政府が日銀に圧力を掛けて、低金利を継続させるのではないかと危惧された。また、積極財政政策による財政規律の弛緩は、財政破綻リスクを高めるとも懸念された。
そうした指摘に抵抗するように、高市首相は日銀の利上げに批判的な見解を示した。インフレが進む中での財政支出に加え、利上げが後手に回ると、物価の安定はかなり難しくなるだろう。インフレによって通貨の価値は棄損され、円の減価圧力は高まらざるを得ない。円安進行で輸入物価は上昇し、国内のインフレ懸念も上昇する。
◇首相肝いりの「HONEBUTO」が閣議決定
年初以降、首相の日銀に対する見解が報じられるたび、こうした懸念は高まった。さらに、首相自ら修正したという骨太の方針の原案で、依然として日銀に政府との連携を求めることが明記された。また、財源を示さないまま、17分野、総額370兆円の官民投資を行う方針も明示した。
この原案を基に、7月21日に「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太方針2026)」が閣議決定された。政権や自民党周辺にも、首相に適切なアドバイスを行える、有効なブレーンはいないとの懸念も出ているようだ。
それが、「HONEBUTOに注意せよ」との論調につながった。高市政権の経済政策の懸念を反映し、原案公表から7月上旬までの間、円安が進むと同時に、長期金利(新発10年国債の流通利回り)は一時2.90%を突破した。6月末からの金利上昇幅は0.30ポイント程度だった。
通貨の下落と金利上昇の同時進行が想起させるのは、2022年秋の英国だ。当時、トラス政権は財源を明示せずに減税を実行した。英国の財政悪化懸念は急上昇した。英ポンドは急落し、英国債(ギルト)も急落(金利は急騰)した。これを「トラス・ショック」と呼ぶ。
◇支持率が下がっても円安阻止に動かず
海外の大手投資家の中には、このままだと、日本は「サナエ・ショック」に見舞われるとの悲観論すら出始めた。彼らは、長期、超長期国債の空売りを仕掛けつつあるようだ。
高市政権は、そうした危機感を共有しているとは言いづらい。7月中旬、複数の世論調査で高市首相の支持率は大きく低下した。50%を下回る結果もあった。その後でも、高市政権は円安を阻止し、財政健全化に舵を切る姿勢を明示しなかった。
一国の最高意思決定権者が、本気で自国通貨の下落を歓迎するとは考えにくい。ただ、それなりの政策や発言がないのはいかにも不自然に見える。また、財政悪化に危機感を示さない。
この状況が続く間、趨勢として、円は下落するだろう。金利も上昇するはずだ。海外投資家の円売り攻勢は、国内個人投資家の円キャリートレードの増加にもつながる。現状、その状況に歯止めを掛けようとしているのは、片山財務大臣ひとりと指摘する大手投資家も多い。
◇舵を切り、失った信頼を取り戻せるか
7月、中東情勢の緊迫感は再度高まった。原油価格には上昇圧力がかかりやすくなった。AI一極集中で、先端から汎用型まで半導体の調達遅延や不足も深刻だ。国内では、人手不足などによって供給が需要を下回り始めた(インフレギャップの出現)。
その状況下で円安が進むと、国内企業は価格転嫁を加速させざるを得ない。日銀の金融政策の正常化が遅れるとの観測から、物価上昇予想は増える。長期金利にも上昇圧力がかかる。骨太の原案にある危機管理投資は悪い金利上昇につながる。
マグマがたまるように、金融市場では円売り・日本国債売りをセットで行う投資家が増加するだろう。その結果、どこかのタイミングで、円と日本国債の価格が急落し、わが国の経済が後退に陥るリスクが出てきそうだ。
ただ、「サナエ・ショック」を防ぐ方法はある。高市首相が冷静にわが国経済の現状を分析・理解し、適切な経済政策へと舵を切る姿勢を示せばよい。それがなるか否かで、目先だけでなく中長期的な日本経済の展開に影響があるだろう>(以上「PRESIDENT」より引用)
海外の大手投資家の中には、このままだと、日本は「サナエ・ショック」に見舞われるとの悲観論すら出始めた。彼らは、長期、超長期国債の空売りを仕掛けつつあるようだ。
高市政権は、そうした危機感を共有しているとは言いづらい。7月中旬、複数の世論調査で高市首相の支持率は大きく低下した。50%を下回る結果もあった。その後でも、高市政権は円安を阻止し、財政健全化に舵を切る姿勢を明示しなかった。
一国の最高意思決定権者が、本気で自国通貨の下落を歓迎するとは考えにくい。ただ、それなりの政策や発言がないのはいかにも不自然に見える。また、財政悪化に危機感を示さない。
この状況が続く間、趨勢として、円は下落するだろう。金利も上昇するはずだ。海外投資家の円売り攻勢は、国内個人投資家の円キャリートレードの増加にもつながる。現状、その状況に歯止めを掛けようとしているのは、片山財務大臣ひとりと指摘する大手投資家も多い。
◇舵を切り、失った信頼を取り戻せるか
7月、中東情勢の緊迫感は再度高まった。原油価格には上昇圧力がかかりやすくなった。AI一極集中で、先端から汎用型まで半導体の調達遅延や不足も深刻だ。国内では、人手不足などによって供給が需要を下回り始めた(インフレギャップの出現)。
その状況下で円安が進むと、国内企業は価格転嫁を加速させざるを得ない。日銀の金融政策の正常化が遅れるとの観測から、物価上昇予想は増える。長期金利にも上昇圧力がかかる。骨太の原案にある危機管理投資は悪い金利上昇につながる。
マグマがたまるように、金融市場では円売り・日本国債売りをセットで行う投資家が増加するだろう。その結果、どこかのタイミングで、円と日本国債の価格が急落し、わが国の経済が後退に陥るリスクが出てきそうだ。
ただ、「サナエ・ショック」を防ぐ方法はある。高市首相が冷静にわが国経済の現状を分析・理解し、適切な経済政策へと舵を切る姿勢を示せばよい。それがなるか否かで、目先だけでなく中長期的な日本経済の展開に影響があるだろう>(以上「PRESIDENT」より引用)
「「高市早苗の正体」に国民より先に気づいていた…海外投資家が「日本経済を壊す首相」だと確信した"残念発言"」と題して、真壁 昭夫(フォロー多摩大学特別招聘教授)氏が高市政権の「2026骨太方針」を批判している。日本経済を成長させようとする「2026骨太方針」を批判するのか不思議でならない。
いうまでもなく、経済成長すれば国民所得も増加する。経済とはそういうものだ。かつて池田総理が「所得倍増」を主張して、高度経済成長の端緒を切った。日本はバブル崩壊以降40年近くも経済成長を忘れた国になっている。その間、世界各国は平均して毎年2%~3%も成長して、GDPが2倍から3倍になっている。日本も世界平均並みに経済成長していればGDPは1200兆円から1500兆円になっていたはずだ。
なぜそうならなかったのか。それは小泉総理大臣と竹中氏が推し進めた「構造改革」によるグローバル化が原因だ。グローバル化により「官から民へ」の掛け声で公的支出が削減され、平成の大合併で地方行政が「合理化」されて、地方交付金が一律30%もカットされた。そうした「緊縮・増税」経済政策と同時に、グローバル化による「国際分業」論による企業の海外進出と、外国人労働移民により労働力の廉価な国の労働賃金と日本の労働賃金が競わされた。
企業経営者は「企業利益」こそが至上命題となり、労働分配率を抑制して、その分株主配当を10倍に増やした。企業が海外へ生産拠点を移して廉価な労働力を使って利益を上げようとも、日本のGDPにカウントされない。むしろ国内雇用が海外移転することにより、国内労働賃金が抑制されてしまう。グローバル化は日本経済にとって良いことは何もない。ただただ企業経営者と株主(投資家)にとって良いだけだ。
真壁氏が引用している「円安リスク」なる海外投資家の「声」が、いかなる根拠に基づくのか分からない。円安とはドルとの交換レートが「安くなる」ことでしかない。本来、円価格はGDP対円貨幣発行量によって算定されるべきものだ。しかし現行の為替相場は多分に「投機相場」になっている。FXなどと称する通貨そのものを「投機目的」にする市場すら存在する。
もちろん株も本来は企業の成長を見込んで資金を投資する手段として「株」を購入するものだ。しかし現在では株式相場は「投機相場」になっている。何であれ、市場原理で値動きするものは投機目的化されている。それこそが異常だ。円安が「リスク」だと考えるのは投機目的で円を購入した者だけだ。一般国民は輸入品価格が円安分だけ高くなるが、リスクというほどのものではない。むしろ輸出に関係している者にとっては利益でしかない。だから、国内で国産新車を購入しようとすると数ケ月から一年以上も待たされる。自動車企業は円安メリットを享受したいため、可能な限り海外へ輸出して国内供給を後回しにしているからだ。
真壁氏は「国内では、人手不足などによって供給が需要を下回り始めた(インフレギャップの出現)」と書いている。それは国内で見た場合であって、国際的な需給関係を見ればインフレギャップは起きていない。例えば韓国や中国では巷に失業者が溢れている。円安による輸出を優先する企業が国内供給を後回しにしているだけだ。
だが経済成長するためには生産性を向上させることが不可欠で、インフレギャップがあるのなら、企業にとって生産手段へ投資する絶好の機会だ。まさに「2026骨太方針」がしめす政府投資に連動して企業が投資すれば景気が確実に上向く。失われた30年間、企業投資は低調で、内部留保が巨額に達している。その民間資金が投資に回れば日本経済は劇的に成長するだろう。
ニュースで突然の円高相場に関して、トランプ氏は「日本政府と協調介入した」と発言した。それを「円安に苦しむ日本経済への支援だ」と解説したが、米国がお人好しだったことなどない。円安は米国にとって対日貿易で「不利」になるから、対ドル・円相場を是正しただけだ。為替相場が円安に振れればトランプ関税12%など無効化される。
円安は日本にとってウハウハなのは間違いない。悪いことはただ一つ、円安により日本に輸入される食料品などの価格が高騰するだけだ。だから食料品消費税を1%に引き下げるのは的を射ている。こにように評論するオールドメディアが皆無なのは、オールドメディアが「反高市」で結束しているからだ。彼らは財務省によって新聞の消費税率を8%に据え置いてもらった恩義がある。だからオールドメディアは財務省の広報紙に堕している。よって「食料品消費税を減税するのはなぜか」といった、こんな簡単な因果関係すら、解説しようとしない。
「サナエ・ショック」などない。あるとすれば「聖域」としていた消費税減税に踏み切られる財務省だけだ。国民にとっては税は経済政策の一つで、景気の良しあしによって弾力的に運用されるべきものだ、という常識が日本でよみがえろうとしている「慶事」でしかない。それこそ仁徳天皇の故事が現代に蘇ろうとしている。実に千年以上も前の経済政策が現代で実施されようとしているのだ。これに反対する連中はすべて財務省のポチに堕した愚者でしかない。