プーチンは戦争に負けている。

＜バイデン米大統領は13日、ロシアのプーチン大統領がウクライナでの戦争を何年も続けられるとは思わないと述べた。

　すでに１年半近くに差し掛かった戦争がこの先何年も続く可能性があるか、ヘルシンキでの記者会見で問われたバイデン氏は「ロシアが戦争を継続できるとは思わない」と語った。
　バイデン氏は「最終的にこの戦争を継続することが経済的にも政治的にも、あるいはそれ以外の面でも、ロシアの利益にならないとプーチン大統領が判断する状況が訪れると思う。だが、どのようにしてそれが訪れるか、正確に予測はできない」と発言。「プーチン氏はすでに戦争に負けている。プーチン氏は現実的な問題を抱えている」と続けた。
　バイデン氏は今週リトアニアで開催された北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）首脳会議に出席した後、フィンランドを訪問した。この首脳会議ではウクライナの加盟見通しを巡り、舞台裏で激しい攻防があった。同国のゼレンスキー大統領は加盟への具体的な工程表や条件が示されなかったことに「前代未聞でばかげている」とリトアニア到着前にツイートし、米国などＮＡＴＯ加盟国はロシアとの将来の和平交渉で取引材料にしようとウクライナの加盟を留保している可能性があると懸念を表明した。
　だが、ゼレンスキー氏は現地入りすると口調を和らげ、ウクライナ支援のパッケージに満足感を示した。このパッケージではウクライナの将来のＮＡＴＯ加盟を認める意向が示唆され、米国など主要７カ国（Ｇ７）各国は新たに安全保障を確約した。
　バイデン氏とゼレンスキー氏は約１時間にわたり会談。バイデン氏は13日のこれより先、ゼレンスキー氏が「最終的には気分を良くした」と考えていると語った。
　また、オースティン米国防長官は戦争が終わった後にウクライナがＮＡＴＯに加盟することに「全く疑いはない」と明言した。　

　ウクライナのレズニコフ国防相は、「非常に実り多い」ＮＡＴＯ首脳会議だったと述べ、総額15億ドル（約2070億円）余りの軍事支援の約束を取り付けたと主張。これには長距離巡航ミサイル「スカルプ（ＳＣＡＬＰ）」やドイツ製戦車「レオパルト」、地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」、米国製戦闘機Ｆ１６のパイロット訓練などが含まれるとツイッターで説明した＞(以上「REUTERS」より引用)




　今週ヘルシンキ(フィンランド)でNATO会議が行われ、ゼレンスキー大統領も参加した。もちろん会議はプーチンのウクライナ戦争に関してだったが、NATO各国はこの戦争が長引くことはないだろう、との見通しを共有したようだ。

　会議後の記者会見でバイデン氏は「すでにプーチンは負けている」と発言している。実際にプーチンはウクライナ軍事侵略後一週間で負けを認識しただろう。電撃作戦でキーウを陥落させてウクライナ全土を制圧できなかった段階で、プーチンの戦争は負けを確認する「敗戦処理」になっている。

　あとはロシア国民に「敗戦」を納得させるための戦争継続でしかない。プーチン本人も負けを認識しているはずだ。バイデン氏が記者会見で「プーチン氏はすでに戦争に負けている。プーチン氏は現実的な問題を抱えている」と語ったが、現実的な問題とは、いかにして体面を保ったまま戦争を終結させるか、という手続きの問題だ。

　しかし戦争の敗者に体面などない。もちろん独裁者としてクレムリンに君臨し続けることも出来ない。いやプレゴジン氏の反乱で明らかになったように、プーチン体制が盤石でないことが白日の下に晒された。ロシア国民を洗脳して来た国内マスメディアによる集団麻酔も効き目が少なくなっている。

　ロシアの行く手に待ち受けているのは激しいルーブルの下落とハイパー・インフレだ。それらによってロシア国民がプーチンの戦争に倦み、厭戦気分が蔓延して、クーデターなしでもプーチン政権は瓦解するだろう。

　そうなるのに、それほどの日数は掛からないだろう。なぜならロシア国民が欧州諸国の情報を知ろうと思えば簡単に手に入るからだ。政府当局が情報統制のためにネットを遮断したとしても、ラジオやテレビ電波は国境を超える。先の大戦で日本国民が軍部の情報統制により戦況を正しく認識できなかったが、現代は1940年当時とは異なる。

　プーチンは側近(取り巻き)によって守られている、と考えるのは間違いだ。側近ほど権力欲の強い者はない。取り巻きになっているのも権力を必要としているからに他ならない。プーチンが独裁者としてのカリスマ性を失ったため、側近たちがプーチンに取って代わろうと試みるだろう。それは今日かも知れないし、明日かも知れない。

　いずれにせよ、プーチン戦争の負けを国民が認識して社会混乱が政権打倒の域に達したなら、側近たちにとっても身の安全が脅かされることになる。そうなる前にクレムリン内部で異変が起きるだろう。