この三月末にプーチンの命運が決するだろう。

<2年目に突入したウクライナ戦争は、無謀な作戦でロシア侵略軍が想定外の大損害を被り続けている。旧ソ連時代から「最強」の誉れ高い戦車部隊は、ウクライナ軍の痛打で各所に戦車・装甲車の「鉄くずの山」を築いており、さしものロシア・プーチン大統領も頭が痛いはずだ。

 今年2月にはウクライナ南東部のウグレダルで最大の戦車戦が起きたが、ここでもロシア軍は戦車・装甲車など戦闘車両を何と130台以上も損失、史上希に見る「負けっぷり」である。このペースで消耗が続けば同軍の戦闘車両の在庫はあと数年しかもたないとの見方もあるほどだ。
 しかし、一部では「冷戦中に製造したおびただしいほどの戦車・装甲車が、ウラル山脈などに設けた核攻撃に耐えられる地下深くのガレージに保管されている」と噂されている。
 死蔵戦車をレストア(補修・再生)して甦らせたほうが、新車のMBT(主力戦車)を製造するよりも「手間・ヒマ・コスト」がかからず、素早く戦力化できる。仮に破壊されても減価償却がとっくに終わったような代物なので、痛くもかゆくもないとの発想のようだ。まさにプーチン大統領の“隠し財産”であり、「ゾンビ戦車」 といえる。
 では、果たしてその台数とはどれほどなのか──。英シンクタンク「国際戦略研究所」(IISS)が毎年発行する『ミリタリーバランス(ミリバラ)』を基に1つのシナリオ・可能性を大胆に推理してみたい。

データから見るロシアの車種別のMBT保有台数

 まず『ミリバラ1990年版』で冷戦終結の1989年のデータを見ると、旧ソ連の莫大な戦車数に驚かされる。MBTは地上軍(陸軍)と海軍歩兵(海兵隊)合計約6万2000台で、現在全世界の現役MBTのほぼ2倍の規模だ。
 車種別で見ると以下の台数になる。
【T-54/T-55】約1万9230台
1950年代から配備で100mm砲搭載。約70年前の活躍で相当古いがアフリカなどでは現役
【T-62】約1万1300台
1960年代から配備で115mm砲搭載。約60年前に活躍でかなり旧式 
【T-64】約9700台
1960年代半ばから配備で旧式だが、現在第一線で通用する125mmに換装
【T-72】約1万台
1970年代初めから配備で、125mm砲搭載。改造を続け現在のロシア軍の主軸MBTの1つ
【T-80】約4000台
1980年代初めから配備で125mm砲搭載。ロシアでは比較的新しいMBT
 これ以外にも車種不明の戦車が約7500台あるようだ。一方、先ごろ公開の最新の『ミリバラ2023年版』では、2022年の同国のMBT数を「1800台」と推測。種類別では、
【T-62】約150台
【T-72】約1150台
【T-80】約200台
【T-90】約300台(1990年代初めから配備の最新型で125mm砲搭載)
 となっており、他に約5000台が保管中だという。つまりロシアのMBTの“在庫”は保管中も含め6800台で、30数年前に約6万2000台あった旧ソ連時代と比べほぼ10分の1の規模で、あまりにも少なすぎるとの指摘もあるようだ。
 ソ連崩壊後、連邦構成国だったロシアなど15共和国は独立するにあたり、戦車・装甲車なども“相続財産”として相応の財産分与がなされ、おそらく圧倒的に規模の大きいロシアが全体の6~7割を継承した、と見るのが普通だろう。
 仮に「7割」ならMBTは約4万3000台で、鉄くずとして「溶鉱炉送り」になったり、第三国に輸出されたり、油田火災の消火車両などに改造されたりするなど、別の途をたどった車両も多いだろう。加えて相当数は現役としていまだに活躍するものも少なくないはずで、これらをまとめて差し引いた残りを、例えば「3万台」と考えると、これらがいまだにロシア領内のどこかに温存されていることとなる。

弾き出されたロシアの“隠し財産”は1万2600台

 さらに突っ込んで「3万台」をベースに車種別に稼働可能な台数を大胆に推測してみたい。
 前述した1989年時のMBT数を参考に、まず比較的新しいT-72(約1万台)、T-80(約4000台)をそれぞれ「7掛け」し、さらに保存状態の良し悪しも考え無難なところで2台の“共食い”で1台、つまり「2コ1」で造るとすれば、「T-72約3500台」「T-80約1400台」となる。
 同様に古いが比較的大事に扱われていたT-64(約9700台)は「3コ1」と考え「約2300台」に、さらに半世紀以上昔のT-62(約1万1300台)、T-54/T-55(約1万9230台)はさらに状態が悪いので「4コ1」とし、それぞれ「約2000台」「約3400台」という値が弾き出される。そして、これらを総計すると、何と「1万2600台」という値が浮かび上がる。
 もちろんこれは仮説の1つで、実際はもっと多いかもしれないし、または全く存在しないかもしれない。さらには、「そもそも6万台超という値は旧ソ連の脅威を煽り予算獲得を目論んだ西側の軍産複合体や情報機関による“盛った数字”であてにならない」との見方もある。ただし少なくともロシアは「万単位」のMBTを捻り出す可能性がゼロではない、ということを心の片隅に置くべきだろう。
 ところで「半世紀以上前の戦車など役立つのか」と疑問視する向きもあるだろう。だが実際のところ消耗戦に喘ぐロシア軍は多数のT-62を前線に駆り出し、すでに60台以上が撃破・鹵獲(ろかく:敵に捕獲されること)されている。
 もしかしたら比較的新しい戦車の温存のため、「ウクライナ軍の弾薬を消耗させる囮(おとり)、撃たれ役」とする意図なのか。こう考えればT-54/-55を最前線に大量投入したとしても不思議ではない。
 今後ウクライナ軍にはレオパルト2、M1エイブラムス、チャレンジャー2の強力な「西側MBT三羽烏」が少なくとも321両に加え、ひと世代前のレオパルト1戦車も約180両欧米から供与され、恐らくウクライナ南部とクリミア半島奪還のための作戦に集中投入されると見られている。

旧式の戦車でロシアはどうやって戦うのか

 だがロシア側が指をくわえて見ているはずはなく、何かしらの対抗策で臨むはずだ。例えば前述の“隠し財産”から1000台単位で旧式MBTを出動させ、大きな塹壕の中に潜ませる。そして、戦車砲だけを出し、戦車上部には土嚢(どのう:土砂袋)を大量に載せて対戦車ミサイル対策とし、さらにカムフラージュも入念にして迎え撃つかもしれない。
 T-54/T-55やT-62が西側の強力なMBTと一騎打ちとなればひとたまりもないが、身を隠してキャタピラや車体後部など弱点を狙えば、多少のダメージを与えることは可能で、装甲が薄い他の戦闘車両の撃破用としても利用価値はあるだろう。
 あるいはウクライナ軍の南部での反攻作戦への牽制として、東部戦線で大量の旧式MBTを投入。陽動作戦(敵の目を引き付ける囮作戦)を実施し、西側MBTの分散配置を強いる策に打って出るかもしれない、との指摘もある。
『ミリバラ2023年版』の公表にあたりIISSは、開戦後1年でロシアが失った高性能のMBT(T-72/T-80/T-90)が2000~2300台に達し、これは実戦配備のMBTの最大半分に相当し、なかなか補充しきれない実情にある、との分析を披露した。
 また著名なオランダ発の軍事情報Webサイト『Oryx』も、直近のMBT損失数を、確認しただけでも約1800台とする。
 これらを勘案すると、ロシア軍のMBT損失数はどうやら「年間2000台前後」が妥当のようだ。仮にこのペースが続き、年間1000台規模の国内新規生産が不可能で、しかも外国からの援助もないとしたら、確かに額面上は3年ほどでMBTは底をつくだろう。
 だが万単位の“ゾンビ戦車”をプーチン氏が隠し玉として大々的に投入し始めたらどうだろうか。侮るのは禁物だ>(以上「JB press」より引用)




 深川孝行氏(軍事評論家)が「「ロシア軍の戦車が底をつく」は本当か、プーチンが隠し持つ“ゾンビ戦車”」と題して、ロシアが保有する戦車の残り台数を弾いている。ただ根拠とする数字が「冷戦後に6万台超あった戦車はどこへ?実は万単位で温存しているとの見立ても」と、ソ連が保有していた旧式戦車まで含めようとするのには無理があるようだ。
 ことに核戦争に備えて地下に保管されていたという30数年前に約6万2000台あったという戦車までロシア保有の戦車数にカウントするのはどうだろうか。ただ深川氏もすべての戦車が稼働できるとは考えてないようで、「三個一」とか「四個一」として数を弾いている。

 それにしても地下に保管していた戦車が「三個一」にしろ「四個一」にしろ、動くとは到底思えない。地下特有の湿気にやられて鉄も随分と錆びているだろうし、砲弾には錆が浮いてはいないだろうか。「四個一」でソ連当時の戦車が戦線に駆り出されたとしても1万5千台になる。確かに脅威的な戦車の台数だが、しかしそれらの戦車は動いたとしても30年以上も前に完成された部品から成り立つ旧式だ。
 だから塹壕などに本体を隠して、砲身だけを出して撃たせる、という作戦も考えられる。そうすれば旧式の戦車でも新型と勘違いして、ウクライナ軍が徒に対戦車ミサイルを消耗するかも知れない。だが、そうした陽動作戦が功を奏すだろうか。ウクライナ軍を支援する米国偵察衛星の画像情報をウクライナ軍に提供すれば、新型の戦車か旧式の戦車かは見分けがつくだろう。

 いずれにせよ、ロシアの軍需物資は兵器も含めて逼塞している。バフムート攻略に南部からも軍隊を回したといわれているが、三月中の戦果を挙げるべくロシアは全力戦を挑んでいるが、それが不発に終わったなら損害は甚大で、ウクライナ軍が攻勢に転じる分岐点になるともいわれている。
 ソ連崩壊は1991年で、当時はまだWin95すら発売されていなかった。当時の戦車に装備された電子機器はふったとしても古式蒼然たるデジタル機器しかなく、殆どは手動式だったと想像すれば良いだろう。もちろん走行しながら照準を合わせて砲撃するなど出来はしない。濛々たる黒煙を吐きながら疾駆しては、戦車部隊の居所は直ちに察知されるだろう。そのような地下倉庫の奥から引っ張り出した戦車を前線に投入してもロシア兵の犠牲を増やすだけではないか。

 たとえソ連当時の戦車が動いて、兵器として充分に役立つとして、どの戦線に投入するのか。東部戦線に投入してプーチンが公約した「三月末までに東部四州を完全に占領する」のか、それともクリミアへ送って予想されるウクライナ軍のクリミア進撃を迎え撃つ「砲台」として地下壕に設置するのか。そのいずれかだろうが、焦っているプーチンは東部戦線へすべて回すように命じるだろ。三月末までに東部四州を完全掌握しなければ、彼自身の命が危なくなるだろう。
 それならウクライナ軍はバフムートを死守してロシア軍を東部戦線に釘づけにして、その内に欧米の最新式戦車をクリミア戦線へ配置し、手薄になっているロシア軍クリミア守備隊の背後から攻撃するための空挺部隊か特殊部隊をクリミア半島内へ送り込み、クリミア守備隊を混乱に陥れてから渡川作戦を実行するだろう。

 いずれにせよ、僅か数ヶ国を除いて孤立無援のロシア軍は敗退する運命にある。ウクライナで核兵器を使用するにしても、戦術核で広島型原爆の10倍もの威力のある代物を何処で使うというのだろうか。東部戦線にしろクリミア半島にしろ、戦術核を使えば必ずロシア軍も犠牲となる。多くのロシア系民も放射能で被爆するだろう。豊かな大地は忽ち除染しなければ使い物にならない放射能汚染地帯と化すだろう。
 それでもプーチンは核兵器を使うのか。いや、たとえプーチンが「使う」と決断しても、核部隊は命令に背いて核ミサイルの発射ボタンを押さないだろう。そして核使用を決断した途端にプーチンはすべての政治権力の執行権を取り上げられて、彼の側近たちによって幽閉されるだろう。プーチンの側近たちもプーチンが甘い汁を吸わせてくれる間は命令に従うが、プーチンと心中しようとは思っていない。それが世俗な人というものだ。

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