「ザイム真理教」こそ国会で討議すべき問題だ。

<財布を出すたびに愕然としてしまう。モノもサービスもどんどん値上がりし、懐は寒くなってゆく一方だ。やるべきことは明らかなのに、何を迷っているのか。総理、あなた自身のためにも決断を。

セブン-イレブン創業者も憂慮する
 「残念ながら、もう手遅れかもしれませんね。本来は政権が、これほど物価が上がってしまう前に、この状況を読んで政策を用意するべきだったのです。アメリカの金融引き締めなんて、コロナ禍で世界的金融緩和が始まった当初から見通せたはずでしたが、日本の政府にはそれさえできなかった。
 国家の運営も企業の経営と同じで、常に変化を予測して行動しなければならない。しかしもう、今の政権に手が打てるとは思えません。せめて少しでも傷を小さくできればいいのですが……」
 都内の自宅でこう語ったのは、89歳にして矍鑠たる鈴木敏文氏。ご存じ、セブン-イレブン・ジャパン創業者で現セブン&アイHD名誉顧問だ。日本の小売業界を代表するカリスマ経営者である。
 原材料費・輸送費高騰と、それに伴う値上げ地獄は、そのセブン-イレブンにも例外なく襲いかかっている。ホットコーヒー(L)は150円から180円に、幕の内弁当も464円から496円になった。人気のパン「ベーコンマヨネーズロール」は、ベーコンの量が激減、顧客の大顰蹙を買った。
 歯止めのかからぬインフレが、暮らしを脅かしている。とりわけ海産物や小麦製品の値上がりには、目を瞠るばかりだ。  次ページの表に、この5年でいかに物価が高騰したかを示した。庶民の魚の代名詞・アジは1.7倍、毎日の食卓に欠かせない玉ねぎやにんじんは1.3~1.5倍、食パンも1.5倍になった。

「狂乱物価」よりもヒドい
 日本最大規模の外食チェーン・すかいらーく創業者である横川竟氏も、苦境を訴える。  「小売業や外食業は円安による食材価格高騰、海外との買い付け競争で敗れる『買い負け』といった複合的な危機に苦しめられ、それが消費者のみなさんに値上げとなってのしかかっているのです。
 特に我々外食業は、まだコロナの打撃からも立ち直れていない。'19年と同水準まで客数が回復したのは、持ち帰りに力を入れているラーメン店『山岡家』や『ケンタッキーフライドチキン』と、コロナでも強かったところばかりで他は青息吐息。給付金も打ち切られ、これから倒産が激増するのは間違いありません」 
 かつて、半世紀前のオイルショック前後にも「狂乱物価」が日本を襲った。そのとき消費者物価指数は年率20%を超えるペースで上がったが、国民は乗り切ることができた。物価だけでなく給料も上がったからだ。'74年の春闘では、賃金上昇率も実に33%に達した。 
 だが、今は違う。現役世代の実質賃金は右肩下がりで、特に今年に入ってから、対前年同月比でマイナス2%近い低落が続いている。 
 物価は急騰、給料は急減――これではとうてい、やっていけない。明治大学教授で経済学者の飯田泰之氏が言う。
 「各国の直近のGDPを見ると、欧米やオーストラリアなど主要国は軒並みコロナ前の水準を回復しています。一方で政府は『日本も'19年秋と同水準まで戻った』と言いますが、当時は消費税10%増税の直後でそもそも低調だった。真のコロナ前と言える'19年4~6月期の水準には戻っていません。いわば、日本経済はまだ『後遺症』に苦しんでいる状態なのです」

現実逃避している場合か
 こうした中、庶民からカネを召し上げる政策ばかりが進んでゆく。最悪なのは、10月に始まった後期高齢者の医療費負担引き上げだ。75歳以上の5人に1人が、これまでの倍の医療費を払わなければならなくなった。 
 ただでさえ、高齢者の受け取れる年金は目減りしている。老齢基礎年金を含む平均でいえば、'00年は月額17万6000円だったのが、'19年は14万4000円と、およそ20年間で8割まで減った。それなのに、国はその少ない年金からまだ搾り取ろうというのだ。
 この惨状でも、「危機の宰相」たる岸田文雄総理は、何の手立てもなく機能停止している。官邸に出入りする、ある自民党中堅議員が呆れて言う。 
「びっくりしますよ。総理の周辺では『これだけ叩かれても、まだ支持率は40%近い』『来年5月の広島サミットまでに巻き返すぞ』なんて呑気なことを言っている。レイムダックの政権末期状態で、これでは来年春の統一地方選も乗り切れそうにないと党内も皆思っているのに、現実逃避を始めているんです」
  挙げ句の果てに総理は、何を血迷ったか息子を秘書官に登用した。さんざん「無策」と言われて焦ったのかもしれないが、こんな「愚策」を繰り出すくらいなら、何もしないほうがまだマシである。
 とっくに国民は、我慢の限界に達した。岸田総理にはもう、一刻の猶予も残されていない。腑抜けの状態から今すぐに脱して行動を起こさなければ、日本は崖から真っ逆さまに転落してしまう。 
 やるべきことはただ一つ、減税だ。前出の横川氏が声を上げる。 
 「今こそ消費税を減税すべきです。今は平成の30年間、デフレで止まっていた物価上昇が一気に来ている。このままでは庶民や中小企業は耐えられません。ひとまず1年、2年の時限的措置でもいいから、消費税を5%に戻すしかないのです」

海外はどんどん減税している
 過去2年間で、欧米諸国は軒並み躊躇なく減税した。消費税に相当する付加価値税をドイツは19%から16%に、イギリスに至っては20%から5%に下げる大盤振る舞いに踏み切っている。上武大学教授で経済学者の田中秀臣氏も言う。
 「消費を押し上げて経済を回復軌道に乗せるには、日本でも消費税減税がもっとも効果が高いでしょう。国民はまだ消費税10%に慣れておらず、3年前の消費税増税の影響がボディブローのように残っている。そこへきて物価高にも見舞われ、ますます消費マインドが冷え込んでいるからです。加えて、医療保険や介護保険など社会保険料の大胆な軽減策も打ち出すべきです。たとえ数ヵ月の時限措置でも、大きな効果が出るはずです」 
 当の与党内部でも、今こそ減税に踏み切るべきだとの声が上がり始めた。自民党財政政策検討本部幹事長の城内実衆院議員がこう語る。
 「私も、一時的にせよ消費税減税を実行すべきだと考えています。物価高は、所得の低い人により重くのしかかるものだからです。総理は9月末に物価高対策のため、予備費から3.5兆円支出すると閣議決定しましたが、はっきり申し上げて額がショボすぎます。今は緊急事態なのですから、小出しではダメなのです。  あわせて補正予算も真水で30兆円が必要です。リーマンショック後の'09年、亀井静香(元金融担当大臣)先生は中小企業金融円滑化法、いわゆる金融モラトリアム法で債務支払いを猶予し、多くの中小企業を救いました。岸田総理も『令和の徳政令』を発するべきです」

減税を決して許さない「日本の怪物」
 さらに、経済政策通で知られる自民党参議院議員の西田昌司氏は「消費税ゼロ」を提言する。
 「結局は、それが一番効果が出るのです。『消費税は欧米にもあるし、税率も日本よりはるかに高いじゃないか』という人が自民党にも多いのですが、それは間違い。アメリカの消費税は州ごとに税率が違っていて、ゼロの州や食料品に課税しない州も多い。EUの消費税にあたる付加価値税は、企業が価格転嫁(小売価格への上乗せ)しなくてもかまわない『第二法人税』的な位置付けの税で、経済への悪影響が少ない。必ず価格転嫁され、国民の負担感が重い日本の消費税とは全く違います。日本もまず消費税をゼロにし、それから徐々にEU方式へ転換すればいい」
 消費税や社会保険料の引き下げ、すなわち減税こそが最善の策なのは、もはや自明のことだ。しかし、岸田政権はまるでその選択肢が見えていないかのように、頑なに俎上に載せようとしない。  財務省が、決して許さないからだ。
 国の予算を一手に握り、総理大臣よりも強大な権力を握る日本の怪物――それが最強官庁・財務省である。東大法学部トップ層のエリートたちが集い、「増税で庶民から徹底的にカネを巻き上げる」という本能だけに従って、その頭脳をフル回転させる。財務政務官を務めた経験のある、自民党中堅議員が言う。
 「彼らの『鉄の掟』は財政の健全化、つまり『緊縮財政と増税こそが絶対正義』という信念です。異を唱える者は、どんなに優秀でも出世のレールから外され、排除されます。財務省には主計局次長、総括審議官、理財局長、主計局長、そして事務次官という霞が関で一番強固なレールがある。最も優秀な人物をそこに乗せて洗脳する一方、それ以外の人間は諦めさせ、脱落させるシステムが完成しているのです」

「ザイム真理教」の洗脳
 ザイム真理教――。
 幾多の政治家を使い潰し、税率を上げることに血道をあげ、さらにそれを心底から正義と信じてやまない。その異常性を、ある自民党ベテラン議員はこう形容した。
 財務省の歴史は「増税」の二文字に貫かれている。竹下登氏、村山富市氏、橋本龍太郎氏、野田佳彦氏ら歴代総理を、平成期を通じて籠絡。'89年に3%で導入させた消費税を5%、8%、10%と引き上げた。それがバブル崩壊、デフレ慢性化の一因となり、日本経済は瀕死に陥ったが、彼らは全く意に介さなかった。
 「私が財務省の言いなりにならなければ……悔やんでも悔やみきれない」
 '97年に消費税引き上げを実施した橋本総理は、'06年に死去するまでそう言い続けていた。  下の表をご覧いただきたい。日本の税収は、'89年には35%を法人税が占め、消費税は6%にすぎなかった。ところが'20年には法人税が18%に半減、一方で消費税が35%を占めるまでに激増している。なおこの間、企業の現預金は倍増した。

 大企業の負担は軽くせよ。庶民からは搾り取れるだけ搾り取れ。現在のいびつな社会は、そんな財務省の倒錯した狂信が生み出したものなのだ。
 政権と霞が関を支配し、「増税」という信念に邁進する財務省。その「怪物」と戦い続けたのが、凶弾に倒れた安倍晋三元総理だった。生前の安倍氏の証言にもとづき、後編【安倍元総理も「ダマされた!」と激怒…財務省のヤバすぎる「政権乗っ取り」の手口】ではその暗闘のすべてをお伝えする>(以上「現代ビジネス」より引用)




 「ザイム真理教」とは云い得て妙だ。その教義は「財政規律」だ。国民経済がどうなろうと、たとえ国民の多くが貧困に喘ごうと、国民から税を徴収して国庫さえ潤沢にしていれば神は満足されるだろう、という飛んでもない信仰が日本政治の中枢を支配している。
 記事中にある上武大学教授で経済学者の田中秀臣氏は「消費を押し上げて経済を回復軌道に乗せるには、日本でも消費税減税がもっとも効果が高いでしょう。国民はまだ消費税10%に慣れておらず、3年前の消費税増税の影響がボディブローのように残っている。そこへきて物価高にも見舞われ、ますます消費マインドが冷え込んでいるからです。加えて、医療保険や介護保険など社会保険料の大胆な軽減策も打ち出すべきです。たとえ数ヵ月の時限措置でも、大きな効果が出るはずです」 と指摘する。

 いや、消費税に関しては5%減税ではなく、廃止すべきだろう。消費者物価が10%を超える勢いで値上がりしている現状を見れば、それに見合う対策は10%の消費税をゼロにすることだけだ。
 「ザイム真理教」は一度手にした財源は絶対に死守したいだろうが、それでは「金の卵を産む鶏」を殺しかねない。政治は国家と国民のためにあるのだが、国民亡き国家など存在しない。まずは「国民の生活が第一」の政治を行うべきなのだが、岸田氏は何を血迷っているのか防衛予算だけは倍増させる勢いだ。

 「ザイム真理教」の政治は安倍自公政権下で最も顕著だった。記事中にある「大企業の負担は軽くせよ。庶民からは搾り取れるだけ搾り取れ。現在のいびつな社会は、そんな財務省の倒錯した狂信が生み出したものなのだ」という政治は安倍自公政権下の八年有余の間に勧められたことを思い出して頂きたい。彼は法人税引き下げにより外国企業の国内進出や外国投資を増やすとの妄言を吐いていた。実際に何社の外国企業が日本に投資したというのだろうか。
 むしろ法人税引き下げは法人利益を労働者に分配する方向に働かず、内部留保を積み増しただけだ。その証拠は「日本の税収は、'89年には35%を法人税が占め、消費税は6%にすぎなかった。ところが'20年には法人税が18%に半減、一方で消費税が35%を占めるまでに激増している。なおこの間、企業の現預金は倍増した」という記事からも明らかだ。それなら法人税を旧に復して、労働者に分配しないのなら利益の約半分は税として取り立てる方が社会的合理性があるのではないだろうか。もちろん消費税は廃止して、経済成長を促進するためにGDPの主力エンジンたる個人消費を支援する政策を選択すべきではないだろうか。

 「ザイム真理教」こそ問題にすべきだが、国会では統一教会を問題として論議している。確かに統一教会は現在日本の問題ではあるが、「ザイム真理教」こそ退治すべき日本国家の病巣だ。何度でも云うが、税は国庫収入の「財源」だが、同時に金融・社会政策でもある。
 国民が貧困化している現在、統一教会問題は社会常識に照らして「解散命令」を出すのは極めて当たり前で、そんなことで国会審議の大部分を割くべきではない。暗愚な岸田氏は「統一問題マターで国会を済ませられれば御の字だ」とでも考えいるのかも知らないが、国民は心底怒っている。日々の暮らしが破壊され、明日が見えなくなっているインフレに対して、効果的な政策一つ打たない岸田自公政権に呆れ怒っている。

 今ほど「ザイム真理教」を打破し、「国民の生活が第一」の政治が求められる時はない。そのために必要な施策は経済成長だ。記事中にある通り「半世紀前のオイルショック前後にも「狂乱物価」が日本を襲った。そのとき消費者物価指数は年率20%を超えるペースで上がったが、国民は乗り切ることができた。物価だけでなく給料も上がったからだ。'74年の春闘では、賃金上昇率も実に33%に達した」という事実を思い返すべきだ。
 インフレを吸収する政策は経済成長しかない。政治家は強力なリーダーの下、心を決めて「ザイム真理教」と対峙して、日本を経済成長路線に乗せなければならない。そうした強力なリーダーとして思い浮かぶ政治家は、かつて「国民の生活が第一」を旗印に政権交代を果たした小沢一郎氏しか浮かばない。彼はまだ高橋是清氏が総理大臣に就任した時よりも若い。彼に一働きして頂くべきではないか。

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