先進自由主義諸国は独裁者たちを前世紀へ送り返さなければならない。

<ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ侵攻前の2月4日に北京オリンピック開会式に合わせて、中国の習近平主席と会談した。

 その時は、不安もなく自信ありげの様子であった。
 侵攻前日、安全保障会議の場で、プーチン氏が側近に「ウクライナ東部の独立を支持するか」を質問した時には、無表情を装いながらも強圧的な態度が垣間見えた。
 この会議から7か月近くが過ぎた9月15日、ウズベキスタンで開催された上海協力機構首脳会議で、プーチン氏と習近平氏が再び会談した。
 プーチン氏のその時の表情が、侵攻前の表情とあまりにも変わっていたので驚いた。
 この時、プーチン氏は自信がなく不安そうで疲労している表情を海外のメディアの写真に撮られた。
 このような弱い表情を見せたことは、大統領に就任してから一度もなかったからだ。
 プーチン氏の表情はこれまでとどう異なっているのか、特に9月の習近平氏との会談時の表情に注目し写真を比べて、分析する。
 習近平氏との2つの会談だけの比較だと、たまたまそのように見えただけ。特別な写真だけを選んだ・・・ということになってしまう。
 そこで、侵攻前、侵攻直前、侵攻を続けている時期、9月の上海協力機構会議の発表と習近平と再び会談したのもの、その後の表情を見比べて、違いを評価したい。

1.金正恩を眼光鋭く見下すプーチン
 北朝鮮の金正恩総書記に対して、非常に冷静に見下しているようだが、眼光鋭く威嚇もしている。
 ソ連邦崩壊の混乱から、ロシアを立て直した凄腕の独裁者として、自信に裏付けされた表情である。
 百戦錬磨のプーチン氏と、経験が少ない若造の金正恩氏という印象を受ける。

2.2022年2月・侵攻前余裕の表情
 金正恩氏の時と比べ、眼光鋭く威圧するのではなく、心に余裕を持って、対等の関係で会っている。
 対等ではあるが、2人の関係はプーチン氏が米国と対立する中国をサポートするという兄貴分の様子がうかがえる。
 習近平氏は、中国の冬季オリンピックに外国要人が来訪しない中、ロシアのプーチン氏が来てくれた、お互い仲間だ、ありがたいことだといった様子だ。
 プーチンの立場が上で、習近平が下といった感じも受け取れる。

3.侵攻日前後、動揺を一切見せない
 下の写真の左2枚は、侵攻直前の2月21日、ロシア安全保障会議で、側近たちにドンバス地域の独立承認を強要した時のものだ。
 プーチン氏は側近に対し、威圧的な厳しい表情と笑いを秘めた脅しの表情を示した。
 写真右の1枚は、侵攻直後の3月5日、国際女性デーで、ロシアの航空会社の女性職員らと会談した時の写真だ。
 女性を前にしているにもかかわらず、固い雰囲気であった。
 侵攻直後なので、無表情で、やや厳しい表情で説明している様子だ。本質的には、これまでと同じ無表情で自信があり、疲労感は見えない。

4.ロシア戦勝記念日5月9日、まだまだ強気
 この時期は、ロシア軍がウクライナの首都キーウ正面から撤退し、東部と南部の戦力を集中し、再び攻勢をかけた時期だ。
 プーチン氏もショイグ国防相も、笑顔はなく自信は感じられないが、顔全体にも目にも力がある。まだまだ眼光も鋭い。
 プーチン氏の髪の量は多くはないが、きれいにカット整髪されている。服装も身だしなみもすっきり整っている。
 この時点では、自分の身なりにも十分気を配る余裕があった。

5.ロシア海軍の日8月1日、戦況行き詰まる
 8月には、都市ハルキウは奪還され、東部では軍の主力を向けているのにもかかわらず、攻撃の進展も僅かでしかない。
 記念日の前日までに兵員の死者は4万人を超え、戦車約1800両・装甲車約4000両・火砲900門が破壊された。
 ウクライナ軍が欧米の兵器を得て、徐々に反転攻勢に向けて準備を進め、攻勢をうかがっている状況だ。ロシア軍の攻勢の兆しはない。
 このように、負け戦になりつつある状況での海軍記念日では、プーチンの様子はどうなのだろうか。
 プーチン氏とショイグ国防相ほか2人が小型のボートに乗船し、海軍艦艇を閲兵している様子だ。
 この4人とも、暗い雰囲気が漂っている。
 プーチン氏は、国のトップとしての自信がなくなり、何かを見ているだけのようだ。
 ショイグ国防相は目がうつろだ。海軍司令官も、黒海艦隊旗艦「モスクワ」を撃沈され、冴えない表情だ。
 この4人の暗い表情からは、ロシア軍の兵士の士気がかなり落ちていることをもうかがわせる。

6.上海協力機構首脳会議では自信喪失
 9月15日と16日、ウズベキスタンで行われた上海協力機構の首脳会議と習近平氏との会談でのプーチン氏の様子だ。
 9月15日の会談での様子だ。
 ネクタイの色は紺系だ。特徴的なのは、眼光が弱い、額には皺が多い、髪の裾が少し伸びていて整髪されていないことだ。
 これほど精彩がないプーチン氏を見たことがない。これまで無表情で見下す様子がよくあったが、今回だけは、自信がなくなって弱々しい表情だ。
 習近平氏相手に、このような表情を見せるとは、兄貴分だったはずのプーチン氏が、習近平氏の方が兄貴分になってしまって、見下されてしまったのだろうか。
 9月16日の会議の前に、習近平氏と少し話をした時の様子である。
 この日は、2人ともワイン系のネクタイだ。習近平氏はカメラの前で、一瞬のことであるが、プーチンを見ずに前を向き、わざと冷たくあしらっている態度を見せつけているかのようだ。

 プーチン氏は通訳を見ているのか、自信がある眼光の鋭さはない。どう見てもこれまでと違う。自信がないようにしか見えない。
 9月16日、会議で発言するプーチン氏の様子だ。目や口元に強さが見えない。自信を失った様子だ。これまで見たことがない表情だ。
 プーチン氏の苦悩と自信を喪失したことを表した写真だ。
 上海協力機構首脳会議での、この3枚の写真は、プーチン氏がこれまでに一度も見せたことがない顔の表情だった。
 眼光鋭く襲い掛かってきそうな表情や、無表情で見下した表情はなくなり、眼光は弱く、口元もきりっと閉じてはいない、皺が多い、整髪は決まっていないなど、全体的に老けて弱々しい感じになった。

7.苦悩と自信喪失が表情に滲む
 プーチン氏は、大統領として登場し、ソ連邦崩壊後の混乱を立て直した。ロシア国民の期待に応え、自信満々であった。
 他国の首脳と会談する時には、無表情に見下してきた。習近平氏とプーチン氏は、米国と対立する2大巨頭であった。
 ウクライナ侵攻でも、1か月ほどで征服し、ウクライナを支配下におけると信じて決断したのだろう。
 それが、米欧から支援を受けたウクライナに止められ、キーウやハルキウでは敗北を喫している。これからも、犠牲を払った分の成果を得ることはできない。
ロシアは、欧米から経済制裁され、国際社会からの評価も地に落ち、三流国家に成り下がろうとしている。
 この責任は誰にあるのか。もちろんプーチン氏一人にある。
 上海協力機構の構成国からも、反対を示す無言の態度を取られた。
 インドの首相には、「戦争している場合ではないと思う」と苦言を呈された。
 これまで連邦構成国に軍を配置して抑えてきたが、その軍部隊を抜いてウクライナに転用したために、その抑えも効かなくなってきている。
 軍作戦の失敗は、プーチン氏の責任ではなく、軍参謀本部や国防省の責任である。
 だが、軍から報告を受けて決断したのはプーチン氏でありその責任は彼にある。軍の実力を見抜けなかった失敗である。
 自分の初めての失敗を悔やみ、ロシアの明るい将来が見えないことが、プーチン氏の心にダメージを与えているのだろう。
 ポーランドの首相も同様のことを感じており、9月24日、「プーチン大統領は、追い詰められている」とも語っている。
 30万人の予備役兵を集めても、数だけ揃えても、戦う意思がない兵では、勝利することは難しい。
 これから、国内暴動も起こるだろう。モスクワでは抑えられても、広大な国土の地方を抑えることは難しい。
 ウクライナの戦いで敗北し続ければ、プーチン氏の表情は、さらに暗くなるだろう。
 彼を追い詰めれば、失脚する可能性が出てくる。ただ、失脚を恐れ、破れかぶれの打開策で、核兵器を使用することには警戒が必要だ>(以上「JB press」より引用)





 題して「プーチンの表情に明らかな変化、敗北の不安くっきりと」という論評だ。「ウクライナ侵攻前から現在までの写真を徹底分析」をして、次第に追い詰められていくプーチンの顔色から読んでいる。記事中に番号を振った順で「顔色」が変化するプーチンの写真が掲載されている。
 しかしプーチンの顔色を写真から判断するまでもなく、プーチンはウクライナ戦争で敗北を喫している。プーチンが当初の予定通り最初の2~3日間でキーウを占領していたなら、全く問題はなかった。しかし、それが出来なかったことから戦争のすべてが破綻をきたした。

 引用記事によれば「軍作戦の失敗は、プーチン氏の責任ではなく、軍参謀本部や国防省の責任である」となっているが、ロシアの最高責任者にして最高権力者たるプーチンが発令しないで群を動かせただろうか。そうではない、つまりプーチンが決断してプーチンがロシア軍をウクライナに侵攻させた。2月24日に始まったウクライナ軍事侵攻の全責任はプーチンにあることは疑いのない事実だ。
 ここに来てプーチンは「核使用は脅しではない」と世界を恫喝したが、英国の新首相トラス氏は「われわれはロシアのプーチン大統領による恫喝に耳を貸す必要などなく、対ロシア制裁とウクライナへの支援を続けていかなければならない」とCNNのインタビューに答えた(REUTERSより引用)。西側諸国はロシア軍がウクライナからすべて撤退するまで、ウクライナを支援しなければならない。

 そして前世紀的な遺物として世界に残る独裁主義国家の軍事力による国境線の変更を絶対に認めない、という先進自由主義諸国は一致した価値観を世界に示さなければならない。マスメディアは民主主義国家の数が減少して独裁専制主義国家が増加していると報じているが、それこそ文明の後退というべきだろう。
 人は支配する者と支配される者とに分けられるべきではない。すべての人が平等で、機会均等でなければならない。能力に応じてすべての人に教育が与えられ、肌の色や性別で差別すべきではない。もちろん「氏素性」で差別するなど愚の骨頂で、「貧富」や「家柄」を論うことこそが差別の原点だと認識すべきだ。

 独裁専制国家は往々にして5%への弾圧政策を採っている。少数民族を差別し弾圧して残り95%の国民に優越意識を植え付ける。トップ5%の富豪の富を取り上げて、残り95%の国民が貧困状態にあることを納得させる、という手法だ。
 独裁者はそうした差別政策により国民を統治し、見せしめに5%を徹底して差別する。それはヒトラーの独裁体制の政治手法と酷似している。そうした差別政治を人類は先の大戦と共に卒業して、独善的な独裁者を歴史の彼方に葬ったはずではなかったか。前世紀の亡霊たちをキッチリと前世紀へ送り返すまで、先進自由主義諸国は独裁者たちと闘い続けなければならない。

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