ロシアが「原爆の日」に広島市が呼ばないが、それがどうかしましたか、ガルージン氏よ。

＜ロシアのガルージン駐日大使は２５日、広島市が８月６日の「原爆の日」に開く平和記念式典にプーチン大統領と自身を招待しないことを決めたのは「恥ずべき措置」だとフェイスブックで批判した。

　広島市は例年通りプーチン氏らを招待しようと準備していたが、ロシアのウクライナ侵攻を受けて日本政府から招待しないよう促され、取りやめた。ガルージン氏は、日本側がロシアによる軍事作戦を理由に「拒絶を選んだ」と強調した。
　ロシアがウクライナで核兵器を使おうとしているとの「ばかげた作り話」を日本側が拡散しているとも主張。過去の式典で日本側がしたスピーチでは「（原爆投下という）恐ろしい民間人大虐殺を行った国がどこなのか、さっぱり分からない」と記し、米国の責任を追及しない日本の姿勢も非難した＞(以上「産経新聞」より引用)

　記事によると「広島市が８月６日の「原爆の日」に開く平和記念式典にプーチン大統領と自身を招待しないことを決めた」ことに対してロシアのガルージン駐日大使が「恥ずべき措置」だとフェイスブックで批判したそうだ。なぜ正式に記者会見で抗議しないのだろうか。

　それとも記者会見で抗議したならプーチン氏やロシア外相が再三再四ウクライナ戦争で核兵器の使用に言及していることを聞かれかねないため、直接反論されないフェイスブックに書き込んだのだろうか。何という小心者だろうか。

　まさにガルージン氏が危惧した通り、核兵器を世界で最初に使用された広島市の「原爆の日」に「核を使用するゾ」と馬鹿の一つ覚えのように恫喝しているロシアを呼ぶことなど出来ない。記事ではロシアがウクライナに侵略戦争で攻め込んだため、政府が広島市に「呼ばないように」と注文を付けていた、とあるが、そんなことなど関係ないだろう。

　しかしガルージン氏が「ロシアがウクライナで核兵器を使おうとしているとの「ばかげた作り話」を日本側が拡散している」と主張しているのは戴けない。事実、プーチン氏は何度も核使用に言及したし、彼の忠実な外相も核使用に言及している。その発言したニュース映像は全世界に配信された。ガルージン氏が「ばかげた作り話」だというのなら、本国に打電して確認したらどうか。事実に基づいた発言すら出来ないほど、ロシアの駐日大使は程度の悪い人物なのだろうか。

　ただガルージン氏が「(原爆を投下した)米国の責任を追及しない日本の姿勢も非難した」というのは正しい指摘だ。日本はトコトン米国の原爆投下の責任を追及すべきだった。それこそ大量殺人兵器を日本国民の頭上に二度も投下したジェノサイドでしかない。

　相手が誰であろうと、善悪の判断基準を曲げてはならない。世界は核廃絶へ向かって歩むべきで、たとえ冗談であろうと核兵器使用に言及してはならない。そのことだけを取っても、プーチン氏と彼の忠実な外相の戦争犯罪は免れられない。

　ロシアは米国もイラクを「軍事侵攻」したではないか。サダム・フセインを死刑にしたではないか、とロシア政府は「なぜウクライナを軍事侵攻するロシアを責めるのか」と先進自由主義諸国を批判するが、当時のイラクはクウェートを侵略し、しかも大量破壊兵器を有している疑いが濃厚だった。さらに米国一国で、単独にイラクに侵攻したのではない。複数の先進自由主義諸国が参加する「多国籍軍」としてイラクに軍事侵攻したのだ。

　2022年2月24日にプーチンが始めた戦争はどうだろうか。ウクライナが軍事力を行使して歴史的に「ロシア領土」のクリミア半島を侵略し、しかもソ連同時の核兵器を隠匿して所有している証拠があるというのなら、プーチン氏がロシアの安全のためにウクライナへ軍事侵攻するのも頷ける。だが、その場合でもロシアが国際的な協調を形成することなく、単独で軍事侵攻すれば国際的な措置ということにはならない。

　だが現実はウクライナの国土たるクリミア半島を2014年にロシアが軍事力を背景に併合を強行し、今年2月24日にウクライナ東部に入植したロシア人たちを「ウクライナ人による人権侵害から救出する」という名目で、勝手に単独で侵略戦争を始めたのではないか。

　しかもプーチン氏のウクライナ侵略戦争が杜撰な作戦で失敗すると、作戦変更して東部二州をロシアが「解放する」と称して戦争を継続している。それでも戦況が捗々しくないため、時と場合によっては核兵器の使用に踏み切る、と公言してウクライナとウクライナを支援する世界諸国を脅している。これほど愚かな独裁者が現代に存在し大きな顔をしていることが忌まわしい。

　さらにモスクワのキリスト正教会の聖職者たちがプーチン氏を支持しているのも忌まわしい。彼らはいつから「暖衣飽食」の輩に成り下がったのだろうか。彼らが「神」のシモベであめなら、大勢の民のために裸足でイバラの道を歩むべきではないか。戦争をはじめ、戦争を強引に遂行しているプーチン氏を歓待する聖職者など、キリストを冒涜する者以外の何者でもない。恥を知れと彼らを叱咤する。ロシアがなぜ「原爆の日」に広島に招待されないのか、ガルパン氏はその理由を心静かに考えて、本国に「戦争を止めよ」と打電すべきではないか。