この戦争は独裁者対民主主義国家の最後の戦いにしなければならない。

ウクライナ国防諮問委員会――。
 いま米国が中心になって、ロシアに対して積極的に立ち向かう国家間の集まりができつつある。世界約40カ国が集った、ある意味での「新たな同盟」と呼ぶことさえできる。
 米アントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官が4月24日、ウクライナのキーウを訪問してゼレンスキー大統領と会談した帰路、26日に両長官はドイツのラムシュタイン米空軍基地に寄っている。
 実はその日、同基地には約40カ国の代表が招集されていた。NATO(北大西洋条約機構)加盟国の複数の国防長官も顔を揃えていた。
 会議が招集された理由は、もちろんウクライナへの支援強化にあるが、ロシアの侵略に抵抗するために、重火器を含む大規模な軍事支援の連携を図ることが狙いだった。

 米国はウクライナでの紛争が始まって以来、米軍を派遣しない方針をとっている。
 米国とロシアが戦火を交えれば第3次大戦に発展する可能性が高いためで、直接的な交戦は避けている。
 だが経済支援や武器の供給だけでなく、今回の「新たな同盟」は、一歩踏み込んだ実質的な軍事支援を模索し始めたということである。
 同諮問委員会にはNATO加盟国だけでなく、日本、オーストラリア、ニュージランド、韓国、ケニア、チュニジアなども含まれる。

 ウクライナのレズニコフ国防相も当事国の代表として出席した。その席でオースティン国防長官がこう述べている。
「ウクライナの勇気と防衛技術は軍事史に刻まれることでしょう。硫黄島の戦いは36日、バルジの戦いは40日、ウクライナはいま62日間にわたってロシア軍と向き合い、撃退しています」
「この抵抗は自由世界にインスピレーションを与え、NATOにさらなる決意を、そしてウクライナに栄光をもたらすはずです」
 まだウクライナは明確な勝利を手にしていないが、同長官の言説はかなり前向きである。米国は今後、毎月同じ会合を開く予定でいる。
 同長官とブリンケン国務長官の姿勢からは、約40カ国が同盟という形でロシアに対抗すれば、負けるわけがないという思いが伝わる。
 さらに紛争が長期に及ぶ可能性が高いため、「明日に向けて力をつける決意がある」(オースティン長官)との意気込みを示した。
 米国はここまでウクライナに対して37億ドル(約4750億円)の支援を拠出している。特にウクライナ東部地方の戦いは「兵站で勝敗が決まる」と言われており、ウクライナと支援国家はいま、同地域に資源と物資を結集させている。

 米バージニア州にある非営利の研究機関「海軍分析センター(CNA)」の研究者は、次のように分析する。
「ウクライナは現在西側諸国から新型装備を大量に受け入れており、その量はすでにロシアが準備した武器の総量を上回っているため、戦争の初期に見られた武力の不均衡は解消されつつある」
 例えば最近では、米国から提供された榴弾砲90門だけでなく、カナダからの榴弾砲、さらにフランスからは155ミリ自走榴弾砲などが到着している。
 そして米国のジョー・バイデン大統領はウクライナ支援のために新たに8億ドルの兵器パッケージを承認した。

 こうした動きは軍事関係者からは「想像を絶するほどのスピード」との声が聞かれる。

 ウクライナを支援する動きが加速する中、英国防省の推計では、紛争が始まって以来、ロシア側は約1万5000人の兵員、2000台以上の装甲車、60機以上のヘリコプターと戦闘機を失っているという。
 一方で、「新たな同盟」がロシアに軍事的に対抗したとしても、すでにロシアが占領しているドンバス地方を奪い返すことは無理があるとの見方もある。
 仮に同地方からロシア軍を一掃させることができたとしても、かなりの長期戦になるはずだ。それに対して、ブリンケン国務長官はこう述べている。
「戦争の目的という点に着目すると、ロシアはすでに失敗し、ウクライナはすでに成功していると言えるかと思う」
「なぜなら、プーチン大統領が狙う主目的は、彼自身の言葉によれば、ウクライナを完全にロシアの一部に戻し、その主権と独立性を奪うことであるが、それは実現していないし、今後も実現しないからだ」
 
 戦争が今後、どういった方向に向かうかは予断を許さない。
 どれだけの破壊と殺戮が続くかは誰も明言できないが、オースティン国防長官は、「勝利への第一歩は、自分が勝てると信じることだ。 本物の軍備と適切な支援があれば、彼ら(ウクライナ)は勝てるはずだ。 そして、米国はできる限りのことをするつもりだ」と言う。
 プーチン大統領もここまできた以上、簡単に白旗を揚げるとは考えにくい。
 ただNATOを中心にした国際社会、特に「新たな同盟」が反ロシアで結束して行動をとる限り、ロシアに不利な結果が訪れる確率は高くなる。
 その一例が、米軍の投入した対戦車ミサイル「ジャベリン」と英国の軽対戦車兵器「NLAW」によってウクライナ軍が盛り返し、首都キーウ周辺からロシア軍を撤退させたことだ。

 この成果は世界の軍事関係者を驚かせた。
 米国は現時点で、ウクライナがロシア領になることを断じて許さないという姿勢を見せており、ブリンケン長官も「最終的な成功(領土を奪い返す)を見るまで戦いを続けるだろう」と断言している。
 こうしてみると、米国の究極の目標がおぼろげに見えてくる。
 バイデン大統領はロシアに近隣諸国を攻撃させないばかりか、ロシアの国力を弱体化させ、究極的にはプーチン政権を崩壊させることを念頭に入れていそうだ。
 公の場でこう明言する米政府関係者はいないが、多くの米政府関係者はこうしたシナリオが現実化した時にほくそ笑むはずである。
 本当にそうなるのか、それともロシアが盛り返すのか、しばらく見守るしかない>(以上「JB press」より引用)



 題して「ロシア軍に襲いかかる40カ国参加の“新同盟”、その威力とは」という論評をJB pressは掲載した。副題には「支援装備は既にロシアの投入軍備上回る、見えてきた米国の狙い」とある。
 なんだか「赤勝て、白勝て」といった運動会の綱引きでも観戦しているかのような論評だ。引用した論評を書いた評論家はウクライナで行われている戦争がロシアによるウクライナへの侵略戦争だという実態を失念しているかのようだ。そしてウクライナへの40ヶ国参加の支援こそ「独裁者による他国への最後の侵略戦争」にしなければならない、という民主主義緒国の固い決意表明だということを理解していないようだ。

 独裁者たちには「民主主義国家は烏合の衆の集まり国家だ。イザという時にはバラバラになる」と舐め切った民主主義国家への蔑視がある。なぜなら民主主義国家の大統領や首相は任期が来れば馘になり、選挙による再選を目指すか憲法規定により一般人に戻らされる。
 独裁者たちは終身国家最高権力者の地位にある。それこそ独裁者は「元帥」としての国家を運営し軍隊を指揮する。まさに神の存在に等しい。国家内に並び立つ権力者は存在しない。誰も自身の権力を奪うことは出来ない。それこそが独裁国家の優越性だと自負している。

 だから「神たる自分が核兵器を使用して地球を滅ぼそうと何が問題か、自分が存在しない世界に意味などないではないか」という、飛んでもない思考回路を持つようになる。まさにプーチン氏は独裁者のドグマに陥っている。そうした意味で、彼は一人のヒトラーだ。
 忠実な家臣は独裁者の意に無批判に従う。いやむしろ批判すれば自身の身の破滅になる。だからプーチン氏の外相まで核兵器を使用に言及して恥じない。バカの連鎖がロシア政府内で起きている。「独裁者の権力」に憑りつかれたプーチン氏は政治の世界から排除するしかない。いやプーチン氏だけではないだろう。「独裁者の権力」に憑りつかれた現代のヒトラーは他にもいる。彼らも核使用に言及し、自ら墓穴を掘っている。

 JB pressの記事は「米国の思惑」として、プーチン氏の排除を目論んでいる、といかにも米国は本意を隠して自由主義諸国を扇動しているかのように書いているが、それは米国だけの本意ではない。世界に数人存在する独裁者以外のすべての人類の総意だ。
 たとえロシア人であろうと、「独裁者の権力」が憑依したプーチン氏の狂気じみた侵略戦争で生死を共にしようとは思わないだろう。今は「独裁者の権力」が憑依したプーチン政権による洗脳で恍惚状態に陥っているロシア国民も、戦後のドイツ国民のようにヒトラーが憑依した恍惚状態から覚醒すれば普通の常識あるドイツ国民に戻ったように、ロシア国民も憑き物が落ちれば普通の常識あるロシア国民に戻るだろう。そのためにプーチン氏をロシア政治から排除しなければならないのだ。

 プーチン氏排除の第一段階として、ウクライナに侵略したプーチン氏の戦争に負けてはならない。勝たないまでも、決して負けてはならないのだ。そして目指すべきはウクライナが 2014年よりも前の版図をすべて取戻すまで、ロシア軍をウクライナ領内から追い出すまで戦うべきだ。軍事力を背景として獲得した領土は結局奪い返されるのだ、という教訓を全世界に与えなければならない。
 ウクライナはロシアに奪われたすべての領土を取り返せるのか、というと私には解らない。ただ、両軍の兵員や装備や兵器の比較だけして「勝敗」を論じるには愚かだといわざるを得ない。なぜなら戦争をしているのは個々の兵士たちだ。彼らの戦意や彼らの戦意を支える国民の総意が那辺にあるかが勝敗を決めるのではないか。ロシア国民がいつまでも「独裁者の権力」が憑依した陶酔状態にあるとは思えない。覚醒したロシア国民がプーチン氏を政治の舞台から排斥する力にならないとも限らない。そのためにも、断じてウクライナを敗北させてはならない。なぜなら、この戦争は独裁者対民主主義国家の最後の戦いにしなければならないからだ。

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