連合会長はナショナルセンターを目指すべきだ。

＜新しい資本主義実現本部の設置について

                                                                          令和３年 10 月 15 日
閣 議 決 定
１．「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトと
した新しい資本主義を実現していくため、 内閣に、 新しい資本主義実現本部 （以
下「本部」という。）を設置する。
２．本部の構成員は、次のとおりとする。ただし、本部長は、必要があると認め
るときは、関係者の出席を求めることができる。
本部長　　　 内閣総理大臣
副本部長 　　新しい資本主義担当大臣、内閣官房長官
本部員 　　　他の全ての国務大臣

３．本部の庶務は、内閣府の助けを得て、内閣官房において処理する。
４．前各項に定めるもののほか、本部の 運営に関する事項その他必要な事項は、
本部長が定める

新しい資本主義実現会議 有識者構成員
翁 百合 　　　　株式会社日本総合研究所理事長
川邊 健太郎 　　Ｚホールディングス株式会社代表取締役社長
櫻田 謙悟 　　　経済同友会代表幹事
澤田 拓子 　　　塩野義製薬株式会社取締役副社長兼ヘルスケア戦略本部長
渋澤 健 　　　　シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役
諏訪 貴子 　　　ダイヤ精機株式会社代表取締役社長
十倉 雅和 　　　日本経済団体連合会会長
冨山 和彦 　　　株式会社経営共創基盤グループ会長
平野 未来 　　　株式会社シナモン代表取締役社長ＣＥＯ
松尾 豊 　　　　東京大学大学院工学系研究科教授
三村 明夫 　　　日本商工会議所会頭
村上 由美子 　　MPower Partners GP, Limited. ゼネラル・パートナー
米良 はるか 　　READYFOR 株式会社代表取締役ＣＥＯ
柳川 範之 　　　東京大学大学院経済学研究科教授
芳野 友子 　　　日本労働組合総連合会会長　　＞(以上「内閣府ホームページ」より引用)

　岸田氏が繰り返し主張する「新しい資本主義」の実態はいかなるものか、閣議決定された設置の趣旨と委員各位が明らかになった。「「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした新しい資本主義を実現していく」と書かれているが、中身に関しては何も分からない。

　ただ財務省矢野事務次官の「緊縮財政論」に賛意を表明した櫻田 謙悟氏(経済同友会代表幹事)の名が入っている。その他にも経済団体の会長や御用シンクタンクの代表者などが名仰々しく並んでいる。しかし場違いにも芳野連合会長まで名を連ねているのには驚く。

　これで岸田氏の「新しい資本主義」が全く古い「構造改革」路線そのままだと判明した。その実態はグローバル化により「短期最大利益」の実現するために国内労働者を解雇して、企業の海外移転を促進した企業経営者やそのように助言したシンクタンクの面々が「官邸のお友達」として集まっただけだ。

　そこに場違いにも連合会長が入っている。彼女は共産党と「共闘」する立憲民主党は信じられない、などとアナクロニズムの自民党国会議員やネトウヨのようなタワゴトをほざいている。彼女が本気で労働者のことを考えるなら、派遣業法の緩和に反対して、非正規・派遣労働者を作り出す自公政権と「構造改革」路線に激しく反対すべき立場であるべきではないか。

　なぜ連合は労働者の立場から経済成長を実現するための政策を打ち立てようとしないのか。なぜ新自由主義に反対して、働き方改革と称する労働棄民を批判しないのか。なぜ野党連合の中心的立場となって、全国組織を拡大する意味からも、政治決戦を自公政権に挑もうとしないのか。なぜ連合はすべての働く者の権利を守るナショナルセンターを目指さないのだろうか。

　闘わない労働組合に「組合費」を天引きされ続けるほど、正規労働者たちは我が世の春を謳歌しているのか。なぜ上がらない労働賃金に対する不満を連合組織の幹部たちにブッつけようとしないのか。

　成長なき30年間で企業内部留保は前代未聞なほど溜め込まれた。デフレ経済下で良かったのは無能な経営者たちだけで、労働者にとっては受難の30年間だった。その責任の一端は労働貴族と化した連合幹部連中にある。

　ニギニギしく政府委員の末端に名を連ねている場合ではないだろう。芳野氏よ、政権交代の旗頭となって、野党連合を牽引すべき立場ではないのか。いい加減、労働者の賃金を上げるべく経済成長路線に政治を転換すべきではないのか。30年間もデフレ経済を放置して格差拡大と貧困化へ日本を転落させた責任は無能・無策なのは自公政権だけではない、政府委員に名を連ねるほど思考回路のおかしくなった連合も同罪だ。