コロナ禍のオリンピックを一堂に会して開催する必要があるのか。

<迷走の末、女性蔑視発言で辞任した森元首相の後任に決まった東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子新会長。18日の会見では、神妙な面持ちで「深く反省している」と過去のセクハラ問題をわびたが、今後は「中止」の判断を含め難しいかじ取りを迫られる。早速、自治体からは「聖火リレーに協力できない」と不満が噴出。トップ人事のドタバタを機に“聖火の乱”が顕在化してきた。

「現状では五輪開催に反対」「聖火リレーにも県としては協力できない」――。17日の会見でこう主張したのは、島根県の丸山達也知事だ。念頭にあるのは、政府や都の新型コロナ対策の不備。同県は聖火リレーの警備費用など約7200万円を予算化しており、知事の判断でストップも可能だ。ズサンな対策が解消されなければ、五輪には協力できないと迫った格好である。

「丸山さんは保守分裂となった2019年の知事選で、自民党本部の推薦候補を破り当選。当時、対立候補を支援した地元重鎮の竹下亘・元総務会長は18日、『知事の発言は不用意』と不快感を示したように、知事と党本部はいまだに険悪です。リレー中止発言は党本部から『菅自民への“口撃”』とみられています」(政界関係者)

 丸山知事の発言に政局的な側面があるとはいえ、聖火リレーを巡っては、以前から地方の不満がくすぶっていた。

 東京五輪に関し著書がある作家の本間龍氏が先月21日、読書家の清水有高氏が運営するユーチューブチャンネルで興味深い発言をしている。

 本間氏によると、組織委は1月中旬、都道府県の担当者を集め、聖火リレーの開催要領に関する説明会を開催。都道府県側に「聖火リレー実施日から30日前に緊急事態宣言が出されていた都道府県では、リレーを中止するということでどうか」と提言した。

担当職員はゲンナリ
 すると、都道府県側からは異論が噴出。「リレーをやれる県とやれない県で差が出るのは不公平だ」「どこかで宣言が出ていたら全国で中止すべき」といった意見が出たという。結局、結論は出ずじまい。ある組織委関係者はこの会合の事実を認めた上で、日刊ゲンダイに「説明に当たった組織委職員は心身共に弱り果て、疲れ切っていた」と打ち明けた。

 鳥取、広島両県知事も「丸山知事の気持ちは分かる」と同調。コロナ禍での聖火リレー開催を巡り、かねて地方には不満のマグマが鬱積していたということ。それが、組織委のトップ人事のゴタゴタをきっかけに表面化したわけだ。改めて本間氏に聞いた。

「予定通りランナーに走ってもらうのか、聖火到着式だけに簡略化するのか、それとも一切走らないのか、組織委は各自治体に一律の指針を示していません。運用方針がハッキリしない上、経費は自治体負担。不満噴出は当然です。丸山知事のような意見は、以前から地方の間でくすぶっていた。そんな中、組織委は会長人事でドタバタですから、『もう協力できない』と怒りの声が上がるのは自然の流れでしょう。今後も同様の動きが拡大する可能性があります」

 リレーは来月25日スタート。橋本新会長に「聖火の乱」を平らげられるのか。「政治の父」の森元首相の政治力に頼ったら、本末転倒である>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)





 女性蔑視と批判された森発言から端を発した「組織委員会会長人事」が連日マスメディアのトップを飾る、という異常事態にウンザリしている。そして「後任会長は女性でなければ国際社会にシメシが付かない」と言った極論が堂々とテレビで語られる、という「差別発言」が罷り通る後進性にも呆れ果てた。
 組織委員会の会長など男性であろうと女性であろうと関係ないではないか。そうした「性」を前提として後任人事を語るのこそ「性差別」ではないのか。

 そして、組織委員会会長はオリンピック出場者でなければならない、というテレビコメンテータの発言にもバカバカしさを感じた。オリンピック運営委員会はオリンピック出場者でなければ務まらないという理屈はないはずだ。
 果たして橋本氏に決定したが、確かに彼女は7度もオリンピック出場を果たしているが、結局手にしたメダルは銅が一つだけだ。それ以上の成果を上げている選手はゴマンといる。なぜ橋本氏で決定したのか、経緯を詳しく説明して頂きたい。

 そもそもオリンピック組織委員会は「東京都」の所管事項だ。東京オリンピック・パラリンピックをいかにしてスムーズに運営するか、という実行部隊だ。その実行部隊の会長人事にウツツを抜かすより、東京オリンピックそのものが開催できるのか、という議論を一切していない組織委員会に疑いの目を向けざるを得ない。
 何が何でも開催する、というのでは戴けない。登山で大事なのは引き返す勇気だ。何が何でも登頂する、という猪突猛進型は登山のリーダーには向かない。オリンピックもまさしくその通りではないだろうか。

 島根県知事が「聖火リレー」に消極的な発言をするや、島根県選出の「竹下亘・元総務会長は18日、『知事の発言は不用意』と不快感を示した」という。しかし「鳥取、広島両県知事も「丸山知事の気持ちは分かる」と同調」という。
 地方自治を預かる知事と東京の人々と温度差があるのは当然ではないだろうか。やっと第三波の山を越えてホッと一息ついている知事の中には人の移動を伴うイベントの開催に後ろ向きなのは当たり前だろう。「GO TOトラベル」により地方の感染患者が増加した因果関係を想起しないわけにはいかない。

 ワクチンの接種状況からしても、7月の開催予定に日本国民は間に合わないし、世界中の人たちも大半は間に合わない。そうすると無観客で開催するしかないし、無観客なら無理に東京で実施する必要はない。
 それこそ世界をネットワークでつないで、リモート開催で良いのではないだろうか。オリンピックそのもののあり方を議論する良い機会にすべきではないだろうか。「平和の祭典」とは名ばかりで、世界には少数民族をジェノサイドする政府だってまだこの地上に存在している。名ばかりの「平和の祭典」を実施するよりも、人類世界が為すべきことは他にあるのではないだろうか。

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