伝統文化としての「即位礼正殿儀」

＜天皇陛下が「即位礼正殿の儀」で即位を内外に宣明されたことを受け、海外メディアも２２日、高い関心を持って好意的に報道。中韓両国も友好的な反応を示した。（北京　西見由章、ソウル　桜井紀雄、平田雄介、パリ　三井美奈）

■中国

　国営新華社通信（英語版）は２２日、即位礼正殿の儀について「古式ゆかしく高度に儀式化されている」と言及。インターネット上では「伝統を感じる」「５千年の歴史を持つ中国は伝統文化をとうに失ってしまった」とうらやむ声もみられた。一方、中国外務省の華春瑩（か・しゅんえい）報道官は２２日の記者会見で「今後の中日関係がよりよくなっていくことを期待している」と述べた。

■韓国

　韓国政府は２２日、文在寅（ムン・ジェイン）大統領が天皇陛下に外交ルートを通じて親書を送ったと明らかにした。内容は公表しなかった。安倍晋三首相にも即位礼正殿の儀に出席した李洛淵（イ・ナギョン）首相が２４日に面会する際に文氏の親書を手渡す。韓国では李氏の出席と安倍首相との面会が関係改善の糸口になるかに注目が集まっている。

　陛下については、平和や過去への反省を強調してこられた経緯から好意的な報道も目立つ。聯合ニュースは、陛下が昨年３月ブラジルで開かれた世界水フォーラムで李氏と会われた際、ビビンバなど「韓国料理がとても好きだ」と話されたと紹介。「韓日外交に肯定的に作用するとの期待交じりの見方もある」と報じた。

■英国

　英ＢＢＣ放送（電子版）は２２日、朝からの激しい風雨が即位礼正殿の儀が始まるころに収まったと報道。「東京の空に虹が現れた」とする会員制交流サイト（ＳＮＳ）の投稿写真や、皇居周辺に駆けつけた男性の「歴代の天皇陛下よりも身近に感じる」という声を紹介しながら、祝賀ムードを伝えた。英紙ガーディアンは皇位継承資格のある男性皇族の数は限られているとして、日本国民の間で「皇位継承の危機」への懸念が高まっていると報じた。

■フランス

　仏紙ルモンド（電子版）は２２日、「いくつもの言葉を話す天皇、皇后両陛下は初めてだ」と報道。上皇陛下と同様に平和を希求される一方、「現代的で国民と打ち解けたスタイル」をお持ちのようだと評した。仏国営テレビは即位礼正殿の儀について、東京から「厳かな式典が行われた」と伝え、天皇陛下が憲法にのっとり「日本国民統合の象徴としての務めを果たす」と宣明されたことを強調した＞(以上「産経新聞」より引用)

　天皇陛下の「即位礼正殿の儀」を世界各国が好意的に報じていることに日本国民の一員として安堵した。先の大戦で日本は欧米四国と交戦し、アジア各地の植民地解放の端緒を作った。日本の「大東亜戦争」によって、植民地を失うことになった欧米諸国は本質的に日本に対して反感を持っているのではないかと思っている。

　しかし戦後日本の平和国家としての歩みを世界は承知しているようだ。その中心にあり続けたのが天皇陛下だ。日本国民の統合の象徴として、戦後の天皇陛下は世界を巡られ平和外交に寄与されてきた。

　中韓の反日・国家も政治利用としての反日を行っているだけだから、政治的権能を持たない天皇陛下に反発する必要はないのだろう。日本よりも「上位」国家を自任している中韓両国は、しかし日本の皇室に相当する「伝統」を持たない。

　両国とも極めて実用主義国家だといわざるを得ない。ことに中国は政権が代わると前政権を徹底して批判し、前政権当時の文化を棄損するのを常として来た。夜空の星ほど数多の皇帝が中国を支配して来たが、彼らの間に歴史的な繋がりは「王朝」ごとに絶たれている。

　韓国は「王朝」の伝統どころではない。戦後の歴代大統領ですら、大統領を退いた後にも国民の尊敬の念を抱かれつつ余生を全うする者は極めて稀だ。或いは投獄され、あるいは自殺する、という悲惨な運命に翻弄されている。

　そうした国家が伝統文化を重んじて連綿と千年以上も継承するとは思えない。明文化した文書ですら数世紀以前までしか遡れない。中国伝来として「漢字」を排斥してしまった。日本由来のすべてを破棄することにより韓国民のアイデンティティーを確保しようとしたが、それでは韓国の言語に深く根付き過ぎているため困難だとして断念した。例えば「感謝」や「謝罪」などは日本語をそのまま使っていて、韓国言語にそれらの日本語を置き替えられる表現はない。

　文化は影響しあってより良いものを現代人の責任として次世代へ手渡して行くものだ。それにより伝統が育まれる。だから終戦直後に日本語をローマ字表記にしようとする愚かな提唱者がいたが、漢字カナ交じり表記の日本語が現在も残っている。

　現在も日本語よりも英語教育に重きを置くべき、とする反日・日本人が教育界や政界に跋扈しているが、日本文化の伝統の水ともいうべき日本語をしっかりと次世代の日本国民に教える必要性を理解している日本人がいることに安心感を覚える。

　幼児的な流行語が中高生に氾濫しているようだが、それも日本語教育軽視の表れかもしれない。最も反日的なのは日本国民だ、と笑われている現象を日本国民は真摯に反省すべきだ。そして日本文化や伝統を育む国民は世界に日本国民しか存在しないことを自覚すべきだ。天皇陛下の存在はそうした文化と伝統の象徴でもある。