日中は価値観を共有しないし、決して相容れない。

李克強は「日本は戦争責任を深く反省せよ」と言い、習近平は上から目線で笑顔を見せなかった。他国の首相への笑顔の振りまき方と比べず、習近平が安倍首相に顔を背けなかっただけで喜ぶ日本のメディアが哀しい。
日本の多くのメディアは、20141114日の北京で開催されたAPEC首脳会談において安倍首相と習近平国家主席が会談した際の無礼極まる顔と比べて、「なぜ、ここまで表情が穏やかになったのか」、中には「にこやかになったのか」とさえ表現するトーンで今回の日中首脳会談の習近平の表情を伝えている。
まるで習近平が笑顔でも見せたような印象を与えるが、笑顔になっているかどうか、まず今回の日中両首脳の表情を見てみよう。
10月26日付けの中国共産党新聞網の写真をご覧いただきたい。習近平は厳しい表情を崩していない。顔を背けていないだけで、苦に賓として受け入れておきながら、安倍首相に失礼だろう。
冒頭に書いた210411月に北京で開催されたAPEC首脳会談でのプーチンとの握手は、習近平の方がまるでへつらわんばかりの笑顔をプーチンに見せている。実に低姿勢だ。
しかもこれは同じ2014APEC北京会議でも、開催前の2014119日にプーチンとは会い、安倍首相とはAPECが終わった最後の日の1114日に会っている。
驚くべきことに首相ではなく、ロシアであるなら、外相とでさえ、習近平は実ににこやかだ。2018423日に新華網が伝えた習近平国家主席とロシアのラブロフ外相との会談をご覧いただきたい。これを「笑顔」というのである。
習近平が「誰に、どの程度の笑顔を送ったか」というのは、非常に重要なシグナルだ。
トランプ大統領との握手は、ご紹介するまでもないだろう。習近平は満面の笑顔をふり注いだだけでなく、トランプを皇帝扱いするほどのへつらいぶりだった。
大国だけではない。たとえばカザフスタンのナザルバエフ大統領に対しても、2017年05月14日の新華社報道をご覧いただきたい。
これが普通の儀礼である。
だというのに、安倍首相に対しては、何たる態度か!
どんな形であれ、日本が「一帯一路」に参画するのは反対だし、中国の戦略にまんまと嵌っていることに関しては警鐘を鳴らし続けるつもりだ。安倍首相はおそらくトランプ大統領とは連絡し合っているとは思うが、それでも日本の計算通りには絶対にいかないと危惧している。
しかし一方では、中国の中央テレビ局CCTVで、延々と流し続けた安倍首相の苦渋に満ちた表情を見ていると、「よく耐えたなぁ...」と感心せざるを得ない。
その映像をリンクしたいと思い、かなり時間をかけて捜したが出て来ないので、やむを得ず文字で表現することにする。
CCTVは、苦渋に耐えながら習近平の高飛車な日中関係に関するお説教をひたすら聞いている安倍首相の表情をクロースアップし続けたし、世耕・経済産業大臣などは、苦渋というより「不快だ!」という思いが露わになっていた。眉をしかめた世耕大臣の顔に焦点を当てるCCTVのカメラのいやらしさ。他の日本側参加者も一様に不快感が出ているし、中国側から見れば「さあ、どうだ!参ったか!」という意思が明確に透けて見える。
北京における全ての行程を通して、安倍首相の嬉しそうな顔は、一度もなかった。
あれだけ前宣伝では、安倍首相を礼賛せんばかりに報道したCCTVは、今度はいきなり「苦渋の表情」へと貶める。
それは、日本から中国への「朝貢外交」なのだという印象を与えるのに十分な効果を発揮した。
1026日午前、習近平は南部戦区を視察して南シナ海を監視すべく、「いつでもすぐに戦えるように、指揮能力を高めよ!」と檄を飛ばした。
CCTVは、ニュースの順番として、まず習近平が南部戦区で南シナ海に対する戦闘準備のシミュレーションなどを視察する勇ましい姿と声を報道してから、安倍首相との対談の模様に入っている。
えっ?これは――!
ハッとしてネットに当たってみると、案の定、新華網が第一面のトップに習近平の南部戦区視察を大きく掲載して、その脇に安倍首相との会談を小さく載せるという、巧妙な手段に出ているのを発見した。
10月27日の新華毎日電訊の紙面の形をご覧いただきたい。
なんという、計算し尽くされた手法ではないか。
10月27日付の「人民日報」第一面は、新華網と同じように、左側に大きく、習近平が安倍首相と会談することになっている26日の午前中に、わざわざ南部戦区に行ったことが書いてある。しかし日本の大手メディアの一つである読売新聞(10月27日付け)は、「人民日報」の左側(1面トップ)に大きく書いてある習近平の南部戦区視察の部分を、「新京報」という北京の地方版の新聞で隠して、あたかも安倍首相との首脳会談が「人民日報」一面トップで大きく扱われているように工面してある。なぜ、ここまでの、まるで「イメージ操作」のようなことまでしてでも、日中首脳会談が大きく扱われたというイメージを日本人に植え付けたいのだろうか?その目的は何なのだろう。
真実を見ようではないか。真実にこそ凄味があり、そこからしか真相を分析することはできない。イメージ操作をやめないと、日本が歩むべき道を読み誤らせる>(以上「Newsweek」より引用)

 Newsweekは日本のマスメディアが偏向していることを暴露している。読売や産経は日中首脳会談が安倍外交の全面的な大成功でもあるかのように報じている。しかし実態は上記記事で暴露された通りだ。
 中共政府は南シナ海の軍事支配を辞める気は微塵もないし、軍事侵略した近隣諸地域住民の人権や自由に関して「反省」などしていない。日本と中国は「自由」貿易の価値を共有する、などと能天気なことを言っている場合ではない。

 中国は自分に都合の良い「自由貿易」だけを切り取って100%利用し、欧米諸国の自由や人権に関しては無視している。そして軍事力を背景に新・植民地主義をアジア諸国に広げている。
 日本の外交姿勢や国家のありようとは決して相容れない、むしろ相反する行動原理に対して非を鳴らすべきだ。アジアで「民族自決」主義を貫く砦に日本はなるべきだ。

 安倍氏は良く耐えた、とNewsweek紙は褒めているが、なぜ習氏との握手で安倍氏は笑顔を見せたのか。習氏の仏頂面はわざわざ中国まで出向いた日本の首相に対する対応とは言い難い。非常識極まりない態度だ。
 日本は中国を失っても大して困らない。むしろ安価な中国製品に駆逐された日本の製造業が息を吹き返すきっかけになるだろう。米中貿易戦争で崩壊している中国経済が激しくハードランティングしても、日本への影響は大したことはない。

 この際、中共政府が瓦解するまで冷ややかに見守るだけで良い、のではないだろうか。経団連は中国市場で一儲けしたいようだが、いよいよ中共政権が危うくなると再び「愛国無罪」で邦人企業が焼き討ちにあうだろう。
 中国への投資は灰燼に帰すと覚悟すべきだ。AIIBや「一帯一路」の正体を我々は知っている。決して中共外交と日本外交は価値観を共有しないし、相容れるものではない。

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