「脱デフレなお途上」とは「敗退を転進」というが如く。

 本日付(1/29)読売新聞第4面の記事「脱デフレなお途上」という記事には驚いた。金融政策だけで脱デフレは困難だ、という認識は正しいが、財政政策だけで何とかなるとの論は頂けない。
 なぜ脱デフレが出来ないのか、という病理をまず正しく認識しなければ、いかなる処方箋を下そうと見当違いになる。読売新聞は四年余り前に安倍自公政権が異次元金融緩和に乗り出した折に、「円安」「株高」で、早くもアベノミクスの効果が表れたと称賛した。

 このブログで私は「円安」「株高」で日本経済は好転しないし、それで経済成長は出来ないと警告した。すべき政策は個人の可処分所得を増やすこととUターン投資減税を行って、国内に企業投資を還流させることだと提言した。しかし安倍自公政権は私の提言とは真反対の個人所得の削減と同様の効果をもたらす消費増税に踏み切った。それにより総需要不足に陥り、デフレからの脱却は絶望的となった。

 読売新聞の提言する「財政政策」は勿論必要だが、それは一時的に景気を持ち上げるカンフル注射でしかない。持続する経済成長を実現するには海外移転した国内企業の生産拠点を日本国内へ呼び戻すことだ。
 安定した雇用と安定した個人所得がない限り国内GDPの半分を占める個人消費が上向くことはない。個人所得が安定化しなければ若者は結婚して子育てをしようと決断しない。少子化が止まらない社会の未来は悲劇的だ。それは地方に暮らせば身に沁みて理解できる。

 地方経済と社会を支えていたのは縫製工場や家電品等の組立工場だった。それらを企業の最大利益を求めて海外移転してしまったたるめ、地方の疲弊はここ十年で目に見えて顕著になった。
 今さら指摘するまでもなく、日本の農業は9割り近い兼業農家によって支えられていた。平日は縫製工場や組立工場や農協や郵便局や役場で働き、休日に田畑を耕す人たちによって中山間地は守られていた。
 しかし平成大合併で中山間地の最大の雇用団体だった役場が消滅し、郵便局が民営化で集約化され、農協も合併を繰り返して一か所に集約化された。つまり暮らせない農業所得を補う雇用の場が地方からなくなった。それにより地方は「加速的」に衰退した。

 雇用がなければ人は暮らせない。能天気なテレビが「心の時代」などといったスローライフ万歳番組を放映しているが、スローライフでは子供を育てて大学まで出すことは困難だ。人生を趣味で過ごすことは出来ない。古民家に暮らして和気あいあいとしていれば幸福だ、といった地方の暮らし万歳といったテレビ番組は地方の問題から目を背けさせ、地方に対する理解を歪めさせるだけだ。

 「脱デフレなお途上」ではなく、安倍政権の失政と批判すべきだ。実際にアベノミクスは失敗だった。速やかに「グローバル化」政権は退陣し、「国民の生活が第一」の政治を行う政権に交代することを望む


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