周回遅れのグローバリズム(TPP)を主張する安倍氏は経済がお解りでないようだ。

<中国産鉄鋼をめぐっては、国内の過剰な生産設備を背景に、作り過ぎた製品が格安で輸出にまわされ、世界の鉄鋼価格が下落。米欧などの鉄鋼メーカーが操業停止や従業員の解雇に追い込まれるなど、世界経済の不安定要因になっている。中国は、国際フォーラムの設置に積極的に関わることで構造改革に取り組む姿勢をアピールする狙いがあるとみられる。

 中国の習近平国家主席は4日の開幕式で、投資の低迷や保護主義の拡大などで「世界経済は低迷傾向にある」との認識を示し、G20が「処方箋を示す必要がある」として成長底上げの必要性を訴えた。

 日本からは安倍晋三首相が出席。初日の会合では、「G20全体で危機感を共有し、先進国も新興国も一致結束して世界経済を成長軌道に戻さなければならない」と各国に協調を呼びかけた。また、保護主義の高まりに懸念を示し、「各国が政治的困難を乗り越えて合意した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を停滞させてはならない」と早期発効を訴えた>(以上「毎日新聞」より引用)

 グローバリズムにより今日の世界は失速し崩壊する中国経済の影響をマトモに受けている。中国経済崩壊の原因は過剰投資による供給過多にある。国内消費で消化しきれない供給過多よる低価格の輸出圧力を受けて、世界各国は低廉で億室な鉄鋼などの中国製品に国内市場を荒らされている。
 世界に不況を輸出しているのは中国だ。国内消費量年4億トン(ちなみに日本の年間需要は約1億トンだ)に対して年8億トンもの生産をしている現状を変革しないで中国の深刻な事態は解決できない。しかし社会主義経済ゆえに国内統制のとれないでいる。つまり自由主義経済なら当然破綻している企業が、中国の場合は国営企業、もっと端的に言えば各地の解放軍直営の企業だから操業を縮小したり停止したりすることが出来ないでいる。200万人を超える中国の膨大な人民解放軍を支えているのはゾンビのような公営企業だ。

 鉄は国家なり、という言葉を中国に援用するなら、鉄は人民解放軍なり、ということになる。その軍そのものの鉄鋼を減産することが困難だから輸出を続けて米国などはダンピング法を持ち出そうとしている。つまりグローバル化の反対を米国が行おうとしている。
 そこで安倍氏がTPPの実施によるグローバル化を推進すべきだ、と提言したというトンチンカンぶりに、「安倍は正気か」と言いたくなる。周回遅れのグローバル化を叫ぶ安倍氏の経済感覚は世界の潮流から外れている。

 安倍氏は習近平氏に塩を送った格好になる、ということにお気付きなのだろうか。そして中国が世界に不況を輸出している現状をさらに推し進めよう、と世界へ向けて発言した愚かさにお気付きなのだろうか。
 中国は自由主義経済の旨味とグローバル化の流れに乗って野放図な生産拡大を続けてきた。投資の際限ない拡大により中国は年7%以上の成長を維持してきた。それにより経済規模は拡大したが、同時に世界各国に対して失業を輸出した。日本もその影響をモロに受けて、国内不況に喘いできた。

 日本企業の中国への投資は投資した企業に短期的な利益をもたらしたが、同時にブーメランのように日本に失業と不況をもたらした。中国に投資した企業経営者たちの判断は企業利益の最大化を短期的にもたらしただけで、長期的に見れば国内労働所得の長期低迷をもたらし、そこにバカな消費増税を行って決定的な需要不足をもたらした。
 それでもグローバル化が世界の流れだ、と発言する安倍氏は経済の実態が何もお解りでないようだ。ただ彼は小泉氏が信奉した「構造改革」路線を踏襲しているだけだ。それは米国並みの社会に日本の慣習や制度を変えてTPP導入以後に備えようとする「売国」政策に他ならない。

 なぜ関税自主権が軍事統帥権と徴税権と並んで独立国家の三要件の一つにあげられているのか。それは主権国家として対外的な政策決定の主権を保持していることを示すからだ。
 英国がEU離脱を表明したのはまさしく英国の主権を取り戻すためだった。6800万人の英国に毎年30万人もの移民が流れ込み、英国内に様々な問題を起こしているが、EUに加盟している限り労働力の移動を制限することは出来ない、とされている。だから99%の英国民はEU離脱を選択したのだ。それに対して構造改革信奉者の集まりに過ぎない日本の経済評論家たちは「英国は深刻な不況に陥る」と見当外れの論を展開してEU離脱を批判した。しかし、それは見当外れの間違いだ。

 TPP参加を主張する安倍氏は米国の1%の代弁者に過ぎない。「国民の生活が第一」の政治に背を向けて、日本と日本国民を丸ごと米国の1%に献上する売国奴だ。かつて幕閣が関税自主権の知識のないまま日米修好通商条約を締結して深刻な不況を日本に呼び込んだ失策を再び繰り返そうとしている。
 日本が後進国で米国の穀物生産よりも低廉で大量の穀物を生産する国ならTPP参加は利があるだろう。しかし高度先進国で、工業製品生産で米国と競合する日本はTPP参加により米国の1%に徹底的に日本国内工業生産産業を破壊され、国内農業を破壊され、投資のターゲットとされている医療保険制度や年金保険制度を破壊されるだろう。そうしたTPP参加後の日本が見えない愚かな政治家を宰相として戴いている日本国民の不幸を日本国民が理解できないのは、そうした情報が決定的に不足しているからだ。それは日本のマスメディアが腐り切っているからだ。

 SMAPがドウタラ、ベッキーがコウタラ、とは熱心に報道する日本のマスメディアは、その一方でTPPの実態や構造改革を推し進めた先がどのような日本を日本国民にもたらすのかといった情報は決定的に欠落している。あたかも知らしむべからず、寄らしむべき、ということを地で行っているようだ。
 構造改革があったから日本は高度経済成長が可能だったわけではない。日本国民という勤勉な労働者が終身雇用という安定的な雇用関係があったからこそ能力を発揮できたからだ。企業の技術力は労働者に蓄えられた人間力だ。企業そのものに備わったものではない。だから構造改革の進展とともに企業の技術力が削がれ、企業モラルが低下しているのだ。まさしく「企業は人なり」だからだ。そうした実態も安倍氏はお解りでないようだ。一日も早い退陣を日本国民のために願うしかない。


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