英国のEU離脱は世界の構造改革(グローバル化)路線からのり転換点だ。

<安倍晋三首相は25日、仙台市内の街頭演説で「伊勢志摩サミットで、日本は議長国として、新たなリスクに陥ることを回避するため、あらゆる手段をとらなければならないことをまとめた。準備はすでにしていた」と強調した。

 首相は5月下旬の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)の後、「世界経済が危機に陥る大きなリスクに直面している。財政面での対応も含め、あらゆる政策を総動員する」などと語り、消費増税の先送りを決めた。首相の演説の言葉は、自らの判断が正しかったと強調するものと言える。菅義偉官房長官も25日、山形県米沢市での講演で「消費増税先送りの判断は正しかったのではないか」と話した。

 ただ、首相は24日、英国のEU離脱のニュースを聞くと、驚いた表情を見せたという。この日は首相も官房長官も選挙応援に出ていた。24日夕に官邸に戻り、急きょ関係閣僚会議を開いて対応を協議したのが実態だった。

 閣僚の一人は「結果的にサミットで首相が言ったとおりになったが、『どうだ』と胸を張れる話ではない。ここで対応を間違えれば痛い目に遭う」と言う。急激に進んだ「円高・株安」の動きに歯止めをかけ、実体経済への悪影響を防ぐことに全力を挙げる考えだ。

 選挙戦では、世界経済の危機に対応するため「安定政権」の必要性を訴える作戦。首相は25日の演説で「このときに求められているのは何か。それは政治の安定だ」。公明党の山口那津男代表も同日、横浜市内の街頭演説で「世界の先行きが不透明だからこそ、安定した政権が必要だ。自民と公明の安定政権でなければ、この難局を乗り切ることはできない」と訴えた>(以上「朝日新聞」より引用)

 サミットで披瀝した安倍氏の世界経済に対する読みが正しかった、としてそのためにいかなる対応をしてきたというのだろうか。確かに来年4月から10%に上げる予定だった消費増税を二年半だけ先延ばしにした。
 しかし、それは伊勢サミットで披瀝した世界経済の新しい情勢に対応すべき先取り策ではない。消費増税8%導入により不足した需要の創出に寄与すべき目新しい政策の何もなかったアベノミクスにより、需要不足が二年も続いた結果として経済がデフレ化してきたことに対するものでしかない。

 アベノミクスの誤った経済政策により、日本企業が未だに海外展開し日本国内で実施すべき投資が海外へ逃げているのが最大の負の結果だ。英国にも日立が500億円規模の車両生産工場を建設したばかりだ。他にも約1,000社の日本企業が総額10兆円も英国に投資している。
 それらが日本国内に投資していれば失われた需要創出の半分程度役立ったはずだ。当然、アベノミクスの間に減少した正規雇用27万人も、1,000社も新規投資を国内でしていれば、雇用吸収力があったはずだ。そうした諸々の経済効果を試算したなら、国内の投資に対する減税を五年程度実施したところで十分に税収を毀損するものではない、ということがお解りだろう。

 もちろん英国に投資した企業は英国がEUから離脱するとは思いもよらなかっただろう。欧州諸国に対する関税が撤廃されたEUの一員としての英国に1,000社は投資したはずだ。
 安倍氏が英国離脱の事態を予想していたというのなら、なぜ国内投資の優遇策として魅力的で強力なメニューを用意して引き止めなかったのだろうか。安倍氏は構造改革派の竹中氏たちに洗脳されて海外進出戦略のみが正しいと思い込んでいたのではないだろうか。それが証拠に安倍氏は狂ったようにばら撒きに徹した外交政治を積極的に展開して来たではないか。

 英国内で起こっている海外との関係に政治が重点を置くのではなく、政治は国民生活に視点を据えて、国民のために税を使用すべきという主張がEUからの離脱を支持したことに着目すべきだ。格差是正こそが政治の主調低音であって、海外との安全保障や貿易戦略こそが政治の主題だというのは間違いだということに安倍氏は全く気付いていない。
 日本の近隣諸国に好戦的な周回遅れの軍事大国が存在するため、安全保障戦略こそが日本の政治の主要課題だとする勢力が「安定」こそが大事だと訴えている。しかし、彼らの主張する「安定」とは米国のポチでいることだというのなら間違いだ。

 米国こそが世界を不安定化してきた震源国家だ。米国を支配する1%は当然のように軍産とも強く結びつき、陳腐化してきた兵器や劣化した格の処分を定期的にすべき廃棄戦争を必要としてきた。
 そうした米国の都合による戦争に安倍自公政権は喜んで作業外注に応じようとしている。それが「戦争法」だ。日本から遠く離れた地での戦争に周辺事態法が適用さるべきでないのは小学生でも解るだろう。町内会の消防団が100キロメートルも離れた火事に駆け付けるようなものだ。

 日本存立危機に対応すべきだ、という議論もデッチ上げだ。そうした事態を陥った国は日本も含めて戦後70年間世界に一国もない。そうした事態が発生したなら対応すべきは国連だ。そのための国際機関のはずだが、残念ながら現在の国連は格クラブの利害調整機関に過ぎない。到底世界平和のために積極的な役割を果たす体制になっていないことを認識すべきだ。
 そもそも世界の戦乱の当事国に必ずと言っていいほど国連の安保理常任理事国が入っているではないか。日本の安全を脅かしている近隣三ヶ国のうち二つまで安保理常任理事国が入っているのが何よりの証拠だ。そうしたナラズモノ諸国が大きな顔をしている国連に何を期待するというのだろうか。

 公明党の代表が英国離脱の事態を受けて「安定」が必要だから自公与党に支持を、とは笑止千万だ。解釈改憲で日本を劇的に不安定化しようとしているのは安倍自公政権ではないか。
 日本は世界の戦乱に参加せず、国際的人道支援だけに限定的に参加する、という姿勢こそが「安定」的な日本の姿勢だ。「戦争法」は安定的な日本外交にとって危険な時限爆弾のようなものでしかない。トットと廃棄すべきだ。

 安倍氏は構造改革(グローバル)主義の申し子だ。その視点が注がれているのは日本国民ではなく米国の1%の利益だ。そのことを看破して、国民は選挙に臨むべきだ。


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