マニラAPECで言及なし、南シナ海で熱くなっているのは日米だけではないのか。

<フィリピンを訪問中の安倍晋三首相は19日、マニラのホテルでオバマ米大統領と約1時間半にわたり会談した。中国が人工島造成を進める南シナ海で米軍が行っている「航行の自由作戦」について、首相は公式に支持を表明。両首脳は、南シナ海問題で連携を強化していくことを確認した。
 日米首脳会談は、安倍首相が4月に訪米して以来。会談の冒頭、オバマ氏は日本で安全保障関連法が成立したことを歓迎し、「日米同盟は日米の安全保障の基軸になる」と語った。首相は「盤石な日米同盟をアジア太平洋地域、国際社会の平和と安定と繁栄に一層貢献するために、(この会談を)新たな日米協力の序章としたい」と応じた>(以上「朝日新聞」より引用)

 APEC会合の二週間前に習主席はベェトナムへ赴いてベェトナム首相と経済協力を約束することにより、APECで南シナ海が議題になることを避けることを約束させ、APEC議長国のフィリピンには同様に二週間前に王中国外相を派遣して何らかの経済援助を約束することで南シナ海を議題としないように約束していたようだ。
 結果としてAPECでは会議期間中に起こったフランスのテロが主要議題となり「テロを許さない」の大合唱となり、南シナ海への強引な中国進出を非難する声は何処からも上がらなかった。しかし南シナ海に面している諸国が一言も触れなかったにもかかわらず、日本と米国だけはAPEC会議とは関係のないところで南シナ海の「自由航行」を確認し合う、という滑稽な事になっている。

 南シナ海に面している諸国は中国の軍事脅威と日々向き合っている。しかも対中軍事力比較では圧倒的に中国優位になっている。だから中国との関係は米国や日本の「航行の自由」を確認する程度の話では終わらない。中国との平和関係を維持しようとする願望は日・米の比ではないのだ。
 そこに米国は対中包囲網を構築して、その包囲網の中心に居座ることで南シナ海への米軍のプレゼンスを世界に見せつけようとしていた。その思惑は「航行の自由」を掲げながら、南シナ海に面した国々に対する米国の影響力の強化に他ならない。そうした見え透いた戦略にさえ安倍自公政権は唯々諾々と従い、「戦争法」で周辺事態法を取り払った自衛隊を派遣して米軍の二軍を演じようとしている。

 ベェトナムやフィリピンやインドネシアなど南シナ海に面する国々は軍事的に弱小だが、ひ弱な国々ではない。強大な中国と対峙して独立を堅持しつつ、シタタカに、しかし柔軟に中国と外交を展開している。彼らは長年の対中外交からそうした術を体得している。
 日米はマスメディアも含めて「ひ弱な国々に日米の庇護が必要だ」という固定観念がある。しかし今回のマニラAPECで明確に判ったではないか。APEC首脳宣言で南シナ海への中国の軍事的脅威に言及する国は一つもなかった。

 偵察衛生などから南シナ海の岩礁埋立を初期段階から知っていたにも拘らず、中国基地建設を見逃してきたのは米国だ。基地建設が完成に近づいて中国の軍事的脅威を煽りだしたのは米国と日本のマスメディアだ。
 米国がそうした軍事戦略を展開している意図を日本国民に感じさせないで、南シナ海の中国の脅威は「戦争法」の必要性を日本国民に理解させる手段だったのだということが、今回のマニラAPECで解ったはずだ。南シナ海の中国の脅威を煽ることは、辺野古沖基地の必要性の根拠となる中国の軍事的脅威を日本国民に理解させる手段に過ぎない、ということも理解する必要がある。

 戦争大好き米国支配者たちにとって中国は邪悪な軍事モンスターであり続けなければ都合が悪い。もちろん北朝鮮も核武装した狂犬であり続けなければ日米軍事関係者にとって都合が悪い。そうした戦略に日本国民は乗せられていることを理解すべきだ。
 現実のこととして、中国は日本と戦争事態に陥れば即座に政権は崩壊するし、北朝鮮も軍事的暴走を行えば金独裁政権は国内から打倒される。彼らは国民に日米の軍事脅威を煽りつつ、決して日米と軍事衝突することはない。それは彼らの自殺行為に他ならないからだ。マニラAPECで南シナ海に面する国々を率いて中国包囲網を世界に宣言させようとした安倍氏の首脳宣言の場の落胆を隠せない顔が印象的だった。世界は安倍氏が考えているほど単純な外交原理で動いているのではない、ということを日本の外務省と安倍官邸は知るべきだ。そろそろ米国のポチという単純バカな外交基本戦略と決別してはどうだろうか。


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