TPPに参加すべきではない。

 自由貿易といえども節度ある国家間の取引が前提だ。それぞれの国にはそれぞれの地理的制約や歴史的制約があり、それぞれの国の国内的な事情がある。それらをすべて無視して世界的に同列に並べて競争させるのはフェアーとはいえない。何らかのハンディを設定するのは当然のことではないだろうか。
 安倍氏は国連総会などで「60年ぶりの農協改革を果たした」と胸を張ったが、全農を解体することがすなわち単協を強めることになるのだろうか。全農が単協に過大な負担金を課していたのなら、それを正す程度で良かったのではないだろうか。農協が全国組織を持つことが誰にとって不都合だというのだろうか。

 米国にも全農とは異なるが全国の穀物生産農家を支配する穀物メジャーは存在している。精肉生産農家を束ねる全国組織もある。そうした政府に対する圧力団体が存在してTPP交渉を裏から操っているのは周知の事実だ。全農が全国単協の立場に立ってTPP参加に反対したとして、何が不都合だというのだろうか。
 しかし安倍氏はTPP参加に対する抵抗勢力とみなして全農を潰してしまった。それが自由経済を標榜する日本政府のやることだろうか。確かに単協もかつての戸別農家組織力を持っていない。農協離れは進んでいる。だがそのことと全農解体とは別の問題ではないだろうか。

 医療保険も米国保険会社の餌食になるのではないかと危惧する。既に混合医療容認により「皆保険制度」の一角が崩れている。なぜ混合医療よりも迅速な医薬品認可を厚労省に厳命しなかったのだろうか。それを国内医薬品業界への配慮ととられても仕方ないだろう。しかしそのことにより日本の医薬品業界はかえって黒船が国内に直接乗り込む道を開いたことを認識べきだ。
 次に標的とされる業界は建設業界ではないだろうか。公共事業の民間事業単価よりも遙かに高額な、甘い蜜のような業界を米国の建設業界が指を咥えて眺めているとは決して思えない。新国立で明らかになったように、あの程度の競技場建設で2500億円もふんだくれるとは驚きで、米国の建設業界は目を剥いているのではないだろうか。しかも日本国内に受注できる能力のある企業が五社しかないという実態もバレてしまった。

 甘利氏は今回の各国協議を最終会議にして妥結したいと意気込んでいるが、いつの間に農産品関係は妥結に到ったのだろうか。その交渉結果を我々は知らされていない。いやそもそもTPPはすべての協議が妥結するまで、途中経過は発表しないとされている。そうした国際的な協議が許されるのだろうか。
 そうした話し合いは大国有利な協議が展開されるのは火を見るよりも明らかで、隷米国家・日本は米国の言いなりになるのは誰の目にもはっきりとしている。そこまでして、日本は米国の下僕に成り下がらなければならないのだろうか。軍事力だけでなく、食糧品や医療や保健までもすべて米国に支配され、搾り取られるTPPに参加するのに血眼になっている安倍自公政権とは一体どこの国の政府なのだろうか。TPP参加は米国の格差社社会、弱肉強食社会の日本への輸入に他ならない。断じて参加すべきではない。


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