この国の社会インフラを支える力は確実に低下している。

 首都圏の在来線の貨物機関車のパンタグラフが損壊して停車したというし、新幹線の部品が落下していたという。こうしたことが度々起これば、いつかは重大事故に繋がるというのは事故発生の分析から明らかになっている。
 時々乗る在来線の揺れが酷いのに驚いたことがある。それで時速95キロほどで走るのには脱線しないかと恐怖を覚えたほどだ。かつてはそうではなかった。在来線にも特急に食堂車があった当時、テーブルのコップがそれほど揺れていたという記憶はない。

 新幹線にもかつては食堂車があった。二階建てになった二階の食堂車は見晴らしが良くて長居したものだ。しかし新幹線から食堂車がなくなり、カレーを出していたビュッフェが無くなり、旅が味気ない「移動する時間」に変化して久しい。
 その反面、ブッタクリの「七つ星」などと称する移動するホテルが在来線に出現して、九州一周を不定期に不定時に営業するという。そうした思い付きも結構だが、JRを頻繁に使用するお客の「旅行時間の質を高める」試みを再び始めて頂きたい。

 ブルートレインを廃止したのは間違いだし、特急者などから食堂車を廃止したのも間違いだ。旅行の質を高めようとする努力なくしてJRの価値が高まることはない。同じ時間を生きる者として、かつての国鉄やJRには飛びっきり上質の「旅の時間」があったことを現代の若者たちにも味あわせてあげたいと思う。
 夜通しガタゴトと鉄路を走り、夜明けとともに東京に到着するブルー・トレインの醍醐味を経験できない現代の若者たちを不憫に思う。萩原朔太郎のように「水色の背広を着てフランスへ行こう」とは思わないが、せめては車窓を流れる景色を眺めつつ、帝国ホテルの食事に舌鼓を打ちたいものだ。

 効率化至上主義なんか糞喰らえだ。利益至上主義なんか糞喰らえだ。人生は効率化だけで語れるものではないし、そうなら味気ないことこの上ないだろう。
 一人の経営者が百億の豪邸に棲み、社員がブラックに泣くというのは現代の「女工哀史」だ。そうした経営者を持ち上げる糞経済雑誌の編集者たちは糞だ。旅情溢れる汽車の旅を経験したことのない哀れな連中なのだろう。
 JRの時代になってさらに効率化が叫ばれるようになり、派遣や外注委託が増加したのか、業務の質が低下しているように思われてならない。社会インフラの最たる鉄道の質が低下するのは由々しき事態といわざるを得ず、それがすべての社会インフラに伝搬するようなことがあってはならないと危惧せざるを得ない。


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