「戦争法案」撤回の動きが自公与党から一切起きない、この深刻な政治家の劣化。

 衆議院の憲法調査会に招致された憲法学者が三人揃って「安保法制改正案」を違憲だとした。それを受けて与党国会議員が「法案撤回」の動きに出るかと思ったら、そうした動きは一切ないという。
 菅官房長官に到っては「違憲という批判はあたらない」と木で鼻を括った答弁を記者会見で発した。彼はいつから憲法学者以上の憲法に対する勉強をしたというのだろうか。憲法学者の判断を言下に否定したのだから大魂消だ。

 国会議員たるものは違憲立法をしてはならない、と憲法に定めてある。憲法学者が「違憲」だと批判した法律案は直ちに撤回して、憲法に反する行為をしないというのが国会議員の最低の責務だ。それ以上の事柄は憲法に抵触しないならいかなる法律を制定しようが自由だ。
 たとえば同性婚を認めようが、夫婦別姓を認める法律を作ろうが、自由だ。ただし憲法違反を犯してはならない。周辺事態の縛りを外した集団的自衛権の行使は「集団侵略」以外の何物でもない。たとえば立場を当時のイラク政府に変えても、フセインのイラクに進攻した多国籍軍は「集団侵略」でないと言い切れるだろうか。

 日本は憲法で明確に「国際紛争を武力で解決しない」と規定している。ただ「防衛」だけは許されると「憲法解釈」して自衛隊に関する法律を制定し運用している。
 だが、解釈による改憲は「周辺事態」までが限界と解すべきだ。他国の領海や領空で「集団的」自衛権の行使が有り得るだろうか。それらは「自衛権」ではなく「他衛権」であって、マトモな国語では「侵略」という類のものだ。私が「安保法制改正案」を「戦争法案」と呼ぶ根拠はそこにある。

 なぜ野党も最初から「安保法制」国会で、憲法論争を展開しなかったのだろうか。チマチマとした「集団的自衛権」行使の場所の限定とか、その場合に使用する武器とは、とか武力と武器との相違はとか、馬鹿げた国語読解力の罵り合いを繰り広げていた。
 国会中継を聴取する国民はそのバカバカしさにあきれ果て、「コイツラマトモか」とテレビ画面に叫ぶしかなかった。しかしここに来て憲法学者がマトモな国語読解力のあり方を憲法条文で示してくれた。それを「字面に拘っている」と馬鹿な副総裁が批判したが、憲法の字面に拘らないのなら立憲主義国家の看板を外すしかない。憲法の字面にこそ拘った議論が国会で展開されることを国民は待っている。


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