政治家が愚かだと国家はこうなる。--ギリシャの場合。

<ギリシャのチプラス首相は28日夜、国民向けにテレビ演説し、29日から銀行を休業させ、資本規制を導入すると発表した。欧州中央銀行(ECB)が28日に資金繰り支援見送りを決めたことで、首相は「ギリシャ中銀が銀行を休業させ、預金の引き出しを制限するよう要請してきた」と明らかにした。いつまで続けるかの期間や、資本規制の具体的な内容には触れなかった。

 一方で、7月5日に予定する国民投票までの間、欧州連合(EU)やECBに支援プログラムを継続するよう改めて要請したことを明らかにした。首相は「私は民主主義に基づいた声への(債権者側の)答えを待っている」と語った>(以上「日経新聞」より引用)

 同時にギリシャのチプラス首相はテレビ演説で「欧州中央銀行の資金繰り支援の見送り決定は脅しだ」と見解を表明した。ここに到ってそうした見解を述べるチプラス首相とは一国の指導者として誤っている。
 チプラス首相は来月5日の国民投票を実施するまでもなく、緊縮財政の断行と最低でも財政均衡を喫緊に実現すべく財政再建の工程表を欧州中央銀行に提示すべきだった。ここに到って未だに国民投票に「緊縮財政か国民生活か」といった国民投票を実行する意味は政権の延命に過ぎない。究極の人気取り政策を続行して国家財政を破綻に導いた指導者としてチプラス首相の名は歴史に刻まれるだろう。

 日本の場合はどうだろうか。国民世論罫線に大きな影響力のあるマスメディアが現政権と協力して日本を米国の傘の下に繋ぎ止めておこうと躍起になっている。いや、それ以上に日本を米国の州の一つ程度に貶めようとしている。
 現実として、日本は独立国家とは言い難い状況にある。ヤクザの組の縄張り争いでもあるまいに、先の大戦以後は国連常任理事国が創出した「東西冷戦」構造により、世界の国々が色分けされた。日本は積極的に米国側の傘下に入り、米国の太平洋側の前線基地として文字通り基地を提供するのみならず、国家主権の及ぶ権利のいくつかもタダで米国に権利を奪われてきた。

 そしてここに来て、米国隷属安倍自公政権により米国の戦争に日本が日本国民の若者を最だす決定までしようとしている。なんという愚かなことだろうか。この週末にフランスで起こったテロ事件が日本でも起こる「国際化」を軍事面でも果たそうとしている。つまりイスラムとキリストの戦争と資源利権の奪い合いの戦争に、日本も自ら巻き込まれようとしているのだ。
 国家の指導者が愚かなら、たった10分のランチジョブで済まされた以前のオバマ氏の対応と、今回の米国上下両院の議員の前で演説を行う「栄誉」を与えられた意味を考えないのだろう。それは日本国民の命を米国のために差し出す決断をした「ウイ奴」との評価に他ならない、ということすら安倍氏の胸中にはないようだ。

 ギリシャ破綻によりユーロの下落は避けられない。ギリシャ国債のほとんどはギリシャ中央銀行と欧州中央銀行が引き受けている。直接的にギリシャ破綻により損失を蒙るのはギリシャとユーロ圏諸国に限定されるが、間接的にはユーロの下落により全世界に波及する。
 日本も主として為替と株式市場に影響が出るだろう。しかし最も大きな影響を受けるのは対欧州貿易の最大の輸出国である中国だ。中国の対欧州輸出にブレーキがかかるだろうし、ギリシャに輸出した対価の支払いは先送りされるだろう。経済崩壊を必死でソフトランディングさせようとしている中共政府にとって、悪い材料でしかない。

 愚かな指導者は、しかし民主主義国家では民主的な手続きに従って国民が選んだのだ。日本の安倍自公政権も日本国民が選んだ。それにより自らの若者たちの命を米国に差し出すことになる。決して日本の国防のための戦争でない戦争で、自衛隊が他国民を殺害し、殺害される事態になる。それも大した大義のない、しいて言えば米国の1%のハゲ鷹たちために日本の自衛隊が日本から遠く離れた異国の地で戦争をするのだ。
 決して愚かな人物を政治家に選んではならない。愚かな人物を選べば売国奴となって平然と日本の国家と国民を他国に売り渡す、それもその国の議会で演説させてもらえる、という程度のご褒美の代償として。なんという馬鹿なことを日本はやっているのだろうか。ギリシャの指導者と大差ない愚かな政権を戴いて、日本は泥沼の戦争の片棒を担ごうとしている。


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