日本はイスラム教対キリスト教の争いに加わってはならない。

 一人特殊部隊で戦争ごっこの好きな友人を救出しようとイスラム国支配地域へ入り込み、捕えられた邦人ジャーナリストが殺害されたようだ。何とも痛ましいが、このことに過剰反応してはならない。
 ヨルダン政府は「イスラム国」の要求する死刑囚を解放する条件としてパイロットの生存確認をさせるように再三求めていたが、「イスラム国」によるパイロットの生存を示す動画なり肉声が伝えられることはなかった。つまり、パイロットは捕えられた直後に殺害されていると考えざるを得ない。そうすれば死刑囚の奪還は「死刑囚と日本人との交換は呑めない」とするヨルダン国内の世論により困難と判断せざるを得ないだろう。

 常識的には利用価値の無くなった拉致者は殺害するよりも解放するものだが、「イスラム国」は常識の通用するマトモな集団ではなく、殺戮のための殺りくを繰り返す狂気集団だった。日本人はもとより、「イスラム国」に心情的に理解を示していた世界各国の人たちも離反することを「イスラム国」指導者たちは覚悟すべきだ。
 そして戦闘員として「イスラム国」に参加した人たちは二度と再び平穏な日常生活に戻れないことを知るべきだ。なんという愚かな連中だろうか。

 しかし日本はイスラム対キリストの戦いに参加すべきではない。安倍氏は「イスラム国」に攻撃を加えている「有志連合」各国に「人道援助」をすることにより、「イスラム国」との戦争に間接的に参加することを国際社会に表明したが、日本国民はそれを望んでいるだろうか。
 そして、後藤氏が殺害されることにより、ハワイの太平洋艦隊基地を日本が奇襲攻撃することを知った米国政府はそれを秘匿して、空母などの主力艦を基地がら出向させて旧型の戦艦などを生贄として日本軍に奇襲させて「太平洋戦争」突入の口実にしたように、安倍氏が後藤氏の殺害を「イスラム国」攻撃の有志連合に積極的に参加する口実にしないように用心しなければならない。

 もとより、民間の軍事会社を興した湯川某は銃を持っているところを「イスラム国」に捕えられスパイの容疑を掛けられていたようだが、当然といえば当然な話だ。通常の戦争でもスパイは死罪に処せられても文句は言えない。
 しかし後藤某は丸腰だった。しかもジャーナリストとしての実績もネットなどで確認できる。本来なら直ちに解放されるべき人物だが、「イスラム国」が殺害したとすめ動画が本当なら、「イスラム国」はあらゆる正当性を放棄したことになる。単に殲滅されてしかるべき殺戮集団だ、ということだ。

 宗教は麻薬だ。あらゆる常識や学識を超越する、独善的なドグマを信奉させる。そうした信者たちの陶酔状態をこれまでどれほどの野心家が自己の欲望実現に利用した来ただろうか。それは歴史上の過去の出来事だけではない。日本でも麻原某が20年前に子供じみた宗教ごっこの果てに大衆虐殺を東京で実施した。それに近いことを現在政権与党の政党を支援している宗教団体もかつては全国でやっていた。
 野心の強い者にとって宗教は便利で有効な自己実現の「道具」だ。誰彼構わず殺戮を繰り返すのは恐怖により「イスラム国」を支配し続け、宗教の麻薬が切れるのを恐れているためだ。「イスラム国」指導者の目的は明白だ。彼は石油利権を手に入れ、その資金で自己実現しようと企んでいる卑劣な人間だろう。

 しかし、日本はイスラム教対キリスト教の戦いに加わってはならない。宗教は自己陶酔であり思考停止だ。「イスラム国」の問題はイスラム教が解決すべきだ。もしも宗教にマトモな道理が残っているなら、同じ教祖を戴く信徒たちが最も強く反発するのが本筋だ。
 米国政府は後藤某の殺害を受けて「有志連合の結束が必要だ」との声明を出したようだが、日本が有志連合に参加するといつ国会で決議しただろうか。これこそ私が最も恐れる事態だ。安倍氏が後藤某の殺害により日本国民がショックを受けている間に「有志連合」に参加すべく態度表明することを許してはならない。
 もちろんテロリストを許してはならないが、今回の引き鉄を引いたのは安倍氏の中東歴訪と「人道支援」ではなかっただろうか。やらなくても良いことをやって、参加すべきでないイスラム教対キリスト教の戦いに日本が踏み込ませようとする安倍氏の策謀を強く感じる。中東への人道支援は国連がやるべき仕事であり、日本が突出すべきではない。日本国民の命を危険にさらして、何が日本の首相だろうか。


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