ロシアはウクライナ東部から手を引くべきだ。

 ウクライナ東部で戦闘を続けていたウクライナ政府軍と親ロシア派とが休戦協定を締結したものの、未だに戦闘は止んでいないようだ。20世紀は阿修羅の世紀で人類は二度にわたる世界大戦と原爆投下という非人道的武器の使用まで経験した。もう沢山のはずではないだろうか。人類は虐殺や戦闘が破壊しかもたらさない、どれほど無駄な事か十二分に知ったはずだ。
 しかし未だに世界の何処かで戦闘は続いている。人類は21世紀も阿修羅の世紀にするつもりなのだろうか。武装し徒党を組んで他者を殺害し破壊して進軍することにそれほど大きな意味があるのだろうか。

 ウクライナの戦乱は考えてみるまでもなくおかしなことだ。戦っているのはウクライナ政府軍と親ロシア派だという。親ロシア派とはウクライナ籍を有しウクライナで暮らすロシア人たちだという。
 そのウクライナに移住した大勢のロシア人たちがロシア政府から兵器と戦争専門家の援助をロシアから受けてウクライナ政府の官庁や飛行場を武力選挙したのが戦乱の端緒だった。それをロシアによるウクライナ侵略といわずして何といえば良いだろうか。

 入植とは古典的な侵略の手法だ。米国も欧州大陸から陸続と入植した白人により原住民が圧迫され、虐殺されて土地を奪われて成立した国家だ。日本もかつては満州国へ大量の日本国民を入植させようとした。
 中国は未だにチベットやウィグル地区に漢民族を大量入植させている。ロシアは帝政ロシア時代から事あるごとにクリミア半島のタタール人を迫害してロシア人を入植させてきた。そうした二世紀余りの「侵略」の手法により、ロシアは「現地住民」による投票でクリミア半島をウクライナから奪ってロシアに併合した。今度はウクライナ東部で同じことをやろうと画策している。そのためには「戦闘状態」に陥ってウクライナ政府の統治が及ばない状況がロシアにとって望ましい。だから休戦協定を破っているのがどちらかは明らかだろう。

 イスラム国は国じゃない、と米国を中心とする国際世論は決めつけているが、米国が土地を先住民から奪った手法とどれだけ異なるというのだろうか。確かにテロは良くないし、何も生まないが、そもそも中東に戦乱の火種を落としたのは米国ではなかっただろうか。
 それに日本が「人道支援」でも参加するのは良くない。現世界体制を牛耳っている「国連」に任せるべきだ。大きな顔をして「常任理事国」だと反り返っている連中に解決を丸投げすれば良い。それが出来ないなら「常任理事国」だとの看板を下ろして、民主的な運営に改めることだ。そうすれば日本も少しは世界平和に関与しても良いだろう。

 世界の戦乱の根の部分に必ず「常任理事国」が関わっているのは不思議な現象ではないだろうか。彼らは世界平和を実現しようとしているのか、それとも阿修羅の世紀を21世紀でも継続して利権拡大を企んでいるのだろうか。
 なんという醜い「常任理事国」たちだろうか。彼らが「常任理事国」でいる70有余年の間に一瞬たりとも戦火の止んだ時があっただろうか。国連とは一体何なのか、根本的な問いかけをすべき世紀になったのではないだろうか。


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