立憲主義を蔑にする閣議決定による「解釈改憲」を許してはならない。

 日米ガイドライン協議により<日米両政府が8日にまとめた日米防衛協力の指針(ガイドライン)の再改定の中間報告では、活動範囲や任務が広がり、防衛協力上の制約となっていた「地理的概念」が外れることが明確になった。米政府は再改定作業への評価を表明する一方で、中韓両国からは警戒の声が上がった>(以上『産経新聞』引用)ということになるという。
 そもそも日本は憲法により< 日本国憲法9条はその1項で〈日本 国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と, 武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを 放棄する>(以上『日本国憲法』引用)と規定している。

 いうまでもなく憲法とはあらゆる法を規定する根本原理であって、政府の国事行為も憲法に抵触してはならないと定められている。それを厳格に守るのが立憲主義であり、国家が世界に対して公にする憲法の意義でもある。
 そうした立憲主義を逸脱すると当然みなされるべき「集団的自衛権」の発動を許容するとする安倍政権の閣議決定により、直ちに日米ガイドラインに反映させるとは何事であろうか。それが立憲主義国家たる日本国政府が行うことだろうか。

 安倍氏は日本の自衛隊が海外で行う具体的な事例として「ペルシャ湾での機雷除去」などこれまで国際貢献として日本が実施してきた自衛隊の役割などを上げているが、集団的自衛権を容認した今後の自衛隊と米軍との役割が以前と全く同じだと答弁する安倍氏は嘘をついているとしか思えない。
 それなら以前と同じく個別的自衛権の範囲で済む話なら「集団的自衛権」を容認する閣議決定する必要はなかったはずだ。国民を誤魔化す小手先の答弁で立憲主義国家が覆される危険性は日本国民よりも周辺諸国の方が大きく感じているはずだ。日本が他国を「法治国家ではない、人治国家だ」と批判する資格は日本も失うことになると認識すべきだ。

 私も集団的自衛権は必要だと考える。米軍だけでなく、例えば中国軍が南シナ海で例えばベトナム軍と交戦状態に陥れば日本の自衛隊は出動して中国軍と戦うべきだと考える。しかし、その場合は憲法第9条の「戦争放棄」条項に明らかに抵触する。
 だから憲法を改正すべきだ。憲法を改正して堂々と胸を張って南シナ海に日本の自衛艦隊を派遣して中国と対峙すべきだ。ただし、国権の発動たる武力行使に関して政府の責任において行うが直ちに国会の同意を必要とし、国会の同意が得られなかった場合は首相と内閣は総辞職すべきとの規定を定めておくべきだ。

 安倍政権の閣議決定による「集団的自衛権」は同様に閣議による拡大解釈への道を拓き、ついには第9条の「戦争放棄」条項を蔑にしてしまうだろう。「集団的自衛権」容認は事前に国民による直接投票で憲法を改正して行うべきで、同時に「集団的自衛権」行使のシバリをかけておく必要がある。
 前回の戦争へと到った「軍部の暴走」という悲劇を、ふたたび日本国民が経験してはならない。そのためにはしっかりとした法整備の上で「集団的自衛権」の容認は行われるべきだ。安倍氏の内閣による「閣議決定」による解釈改憲という小手先の誤魔化しで行うべき筋合いのものではない。
 野党は国会論戦で「集団的自衛権」の中身の個別的事案を確認しているが、憲法改正議論なき個別的な事例確認が一体何になるというのだろうか。本筋を見失っては立憲主義国家という看板が泣くというものだ。安倍氏の閣議決定による「解釈改憲」の強行は国会議員諸氏の憲法に対する認識が問われているということを認識すべきだ。


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