日本の農業をどうするつもりか。

 自民党は全農・全中などの改革を通して、日本の農業全般のあり方を変えようとしている。しかしその根本的な改革要請は果たして日本の食糧に強い危機感を抱いたことにより出たものなのか、実に疑わしい。それよりも財政的に困窮してきた財務省の『減反奨励金』などの補助金漬けの農政にこれ以上補助金を支払い続けることが出来なくなった財政上の問題から、農政を改革すべきとの話が出たとしか思えない。
 日本の農政は『ノー政』だといわれてきた。しかし戦後GHQによる農地改革により不在地主の解消と大量の自作農出現により、共同購入・共同販売が必須となり農協が全国各地に設立された。それらを纏めて政治と直結させる機関として全農や全中が創設され、全国の単位農協の上に君臨してきた。それは同時に自民党の集票マシーンとして長期政権を支えてきたことも確かだ。

 しかし農業従事者の高齢化と農業人口の激減により自民党にとって農業票は大したことのない、むしろ創価学会を支持母体とする公明党の取り込みの方がメリットがあることに気付いた。宗教法人に対する税制上の優遇策を新興宗教についても認める現行税制維持は公明党にとっても生命線だ。さもなくば全国各地にある創価学会施設に固定資産税を課されたなら組織維持が困難になるのは目に見えている。だから新興宗教も従前の宗教法人と同様な税制が適用される現行税制の維持が彼らに課された政党の最大使命だ。
 だが、農業が国民の食糧と直結しているのは論を俟たない。農業製品の価格だけで農政を論じるのは危険だ。米国の穀物メジャーに日本の農業までも牛耳られたなら、かつての不在地主が小作人を牛馬同然に使役して不労所得を得ていた図が再現されないとも限らない。TPP参加と農業法人の資本割合の拡大はそうした途を開くことになりかねない。官僚と自民党の考えている農政は日本の農業を米国の1%に売り渡すことを意図しているのではないかと勘繰らざるを得ない。

 現在提示されている自民党の農業改革案は農業法人への資本参加割合を現行の25%から50%以下とすること、農業法人の役員は全員農業従事者であることから、一人でも農業従事者がいれば良い、とするものだ。なんだか胡散臭い方向へと改革案が移っていないだろうか。
 同時に農業法人の土地所有も認めようという案まで出ていることから、官僚たちと自民党は日本の農地を米国穀物メジャーやハゲ鷹たちに売り渡す途まで開こうとしているのではないかと勘繰らざるを得ない。TPP参加を梃子にしてISD条項に基づく提訴を乱発して日本の農政を米国の穀物メジャーやハゲ鷹たちの支配下に置き、日本国民の胃袋を支配しようとしているのではないだろうか。それは悪夢でしかない。

 自公政権が打ち出してきた一連の『改革』がどれほど日本社会を破壊し日本社会に深刻な格差をもたらしたか、国民は注意を喚起すべきだ。彼らの策動は結果として誰に奉仕しているのか。そして今後とも誰に奉仕しようとしているのか。少なくとも99%の日本国民に奉仕しようとしていないことだけは明らかだ。
 残業代ゼロ法案とあわせて、農業法人改革や法人税率引き下げなどのメニューを見ると、自公政権が何を目論んでいるのか透けて見える。少なくともそうした政策が『成長戦略』とはそれほどリンクしていない、むしろ経済成長を促さない政策であることを国民は認識すべきだ。安倍氏は口先で平気で大嘘をつく不誠実な人物だということは『完全にブロックしコントロールしている』発言で明らかだ。安倍氏の説明の嘘を見抜く知識を国民は持たなければならない。


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