日本の憲法の番人はタイのそれ以下か。

 タイは首相が失職するという政変に揺れているが、少なくとも日本の最高裁よりもタイの最高裁の方が優れているようだ。なぜなら<タイ憲法裁判所は7日、インラック政権下で実施された2011年の政府高官の更迭が公務員人事に対する不当な介入だったとして、違憲判決を下した。これによりインラック首相と、当時の決定に関わった閣僚9人が即時失職した>(以上『毎日新聞』引用)
 違憲判決を受ければ閣僚や首相といえども失職する、というのは憲法制度国家として当然のことだ。何人も憲法の下では平等と定められているから、憲法に反することを行えば処罰を受けるのは当たり前だ。

 しかし日本では摩訶不思議な最高裁判決が立て続けに出されている。それは選挙制度に関する判決で、一票の格差が2倍を超えるのは憲法に定める法の下の平等に反するのではないかという提訴に対する『違憲判決』だ。相次いで出された違憲判決は、しかし『違憲であるが選挙結果を無効とするものではない』などと意味不明な判決を下している。それでは行政の府が司法の府を馬鹿にするのは当たり前だ。
 その馬鹿にした挙句に『解釈改憲』などという言葉がこの国のマスメディアで踊っている。最高裁判所はついに憲法の番人たる『違憲立法審査権』という伝家の宝刀まで奪われたようだ。それでは最高裁判所も単なる行政機関の一つという法的な地位を変更するしかないだろう。そういえば最高裁判所は奇しくも高村副総裁が『解釈で集団的自衛権は容認されている』と拡大解釈も天体望遠鏡で拡大するような夢想的拡大解釈をして見せた『砂川判決』で米軍の国内駐留を『現実的な解釈』により9条に反しないと容認してしまった。最高裁判所の迎合主義はその当時からの伝統のようだ。だから安倍政権は『解釈改憲』しても最高裁判所から『違憲判決』を受けることなど一顧だにしていない。舐められたものだ。

 タイは憲法裁判所により首相の違憲と失職を言い渡された。事実関係に誤りがなければ立憲国家として至極当然なことだ。さて、日本ではどうだろうか。しかし日本のどのマスメディアも最高裁判所により『解釈改憲による集団的自衛権容認』は『違憲だ』と裁定されるとはいささかも思っていない。想像すらしていない。あとは政治家の数合わせにより解釈改憲は時間の問題だと思っている。憲法の番人も舐められたものだ。


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